日本初のSLを動態保存した鉄道会社、大井川鐵道。今でも年間300日程度運転を実施しており、もはや定期列車と言っても過言ではありません。それにしてもこの編成は"編成美"もへったくれも有りませんね(^^;;
牽引を担当したのは現存するのがこの車両のみとなったC10形です。リベット打ちの車体に、当時の溶接技術の未発達さを見ることが出来ます。
そんなSL列車の編成に連結されていたのが、今回紹介するぶどう色に水色の帯を追加したこの車両です。
形式はナロ80、屋根高さが隣のスハフ43と比べると低く、全長もやや短めになっています。
この車両、実は元「電車」で、西武の501系や312系のサハを改造してもので車長も国鉄型車両よりもやや短くなっています。2両が存在していますが、種車が異なるため通風器の形状が異なっています。
SL急行で急行料金の他別料金が必要なお座敷車として運用されておりますが運転日数が結構限られており、最盛期の「トーマス」運転時に不足する客車の充足的意味合いが強いように見てとれます。
それでは参りましょう、ドアです。電車時代はしっかりした(笑)自動引き戸でしたが、客車化に際し完全手動の開き戸にデチューンされています。しかも、この位置は当時のドア位置とは異なっているそうな。
車端部です。当時の面影が比較的残っている部分のひとつがここで、二段式の妻窓が残されています。仕切り扉は側ドアと同様開き戸とされています。
右上には車番と改造プレートが取り付けられています。車番の方はなんだか脱け殻のような消えかけ具合です(^^;; 昭和54年、電車として登場したのが30年代なので、客車になってからの方がはるかに長くなっていますね。
向かい側の仕切りには大きな額縁があり、SLの写真が入れられています。
片側のデッキには流し台が付いています。イベント列車にも充当される時もあるようですので、その際に活躍するのでしょう。
車内です。通路を片側に寄せたお座敷車両で、ボックスシートよりは余裕があります。電車時代の面影はほとんどありませんね…。
入り口との仕切りです。事実上のデッキとしての役割を持たせるためのもので、こちらにもSLやアプトの写真が入れられています。
天井です。冷房が無いばかりか、扇風機もありません。照明にはカバーがありますが、夏場はそれよりも扇風機の方が重要なだけに、ここだけはボックスシートの普通車の方が快適です。走ってる時は全開にした窓から風が入るのでいいんですよ、途中駅で止まった時が地獄なんです。
座席です。座椅子と床置きのテーブルを組み合わせたものとなっています。もちろん、土足は厳禁です。窓は二段式、ここも一応は種車から変わらない数少ない面影です。
しかし座椅子があるのは通路側のみで窓側は座布団が置かれているだけ。壁を利用せよと言うことですか(笑) しかしさすがにちょっと乱暴ですね。
座椅子はピッチリテーブルと同じ幅なので、相席だと気まずさも少々…。グループ利用の方がいいかもしれませんね。
1区画のみ2人組があります。今回はこの席に指定され相席にもならなかったので、座椅子を座布団ごと窓側へ移動させ、進行方向へ向けた上で二重座布団にして快適に移動させて頂きました(苦笑) なおここは従来ドアがあった部分で、戸袋の名残で窓間の柱が太くなっています。