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Channel: 車内観察日記
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東武12系

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首都圏から最も近場で乗れるSLのひとつが、東武鉄道のSL大樹です。元々JR北海道から借り受けているC11を使用した1列車分の運用でしたが、真岡鐵道から譲受したC11を追加で導入、更に私鉄で使用後保存されていた異色のC11を整備の上投入して2列車分の運用を可能にし、更に予備機関車を確保しています。

 

そしてATS機器を搭載したヨ太郎ことヨ8000形も漏れなく一緒で、転車台でも仲良く一緒に回転します。そうそう、1運用時代は補機でDE10が連結されていましたが、現在は日光から鬼怒川温泉へ運転される「SLふたら」を除いて単機運転に変わっているようです。

 

で、毎度のことながら私のメインはこちらの客車です。あちこちのJRから余客車をかき集めて運用に充てております。

 

その中でも今回紹介するのが、真ん中に連結された12系客車です。波動輸送をメインに増備された急行型客車で、登場時は普通車のみで、急行列車の衰退後はジョイフルトレインや普通列車用に改造され、現在では国内でも可動(稼働と言い切れないものも含む)車両は20両に満たないくらいにまで減少している貴重な存在です。

 

東武鉄道に来た12系は2両、かつて大阪-高知間を結んだ夜行の臨時快速列車、「ムーンライト高知」に使用されていたもので、座席を3列リクライニングシートやカーペットに取り替えたグリーン車、「オロ12」として走っていた車両でした。こんな車両構成だったので、「ムーンライト高知」は多客時に普通車が増結されない限りは全車グリーン車指定席という、ムーンライトを名乗る列車で唯一青春18きっぷが使用出来ない列車でした。なおその時の増結車両は主に14系客車、現在も同じような状態ですので、当車も懐かしんで走っていることでしょう(笑) 14系と共に東武へやってきたのですが、しばらくは南栗橋の片隅でウダウダする日々が続き、晴れて運用入りしています。

 

側面には大樹のロゴ、そしてサボ受けには国鉄をイメージしたサボが入っています。そうそう、この車両に方向幕が無いので、案内も兼ねているのでしょう。

 

オマケ的に14系の方向幕を。かつては行き先も書かれていましたが、日光へ行くこともあるようになったためか、ロゴのみの表示に変わっています。

 

それでは参りましょう。まずはデッキから、ドアです。絶滅危惧種となった折戸で、上下辺が丸い窓にも懐かしさを感じます。走行系だけでなくこういう所のメンテにも手を焼くのが、現在の国鉄型客車の難しいところでもありますね。一応、所有は信頼と実績の東武博物館ですが…。

 

元洗面台区画です。洗面台には蓋がされ、運行用の端末が置かれています。しかし、鏡や換気用窓はそのまま残されていますね。

 

トイレはロックされ使用出来ないようになっています。まぁ、14系にもトイレが備わってますので、困らないっちゃ困らないですね。

 

車内です。カーペットやリクライニングシートは全て撤去され、むしろ登場時を彷彿とさせるボックスシートに再リニューアルされています。というか、外観には緑の帯が入ってましたが、あれってグリーン車ってことですよね…。あ、指定席料金は全車一律ですのでご安心を。

 

デッキとの仕切りです。オリジナルスタイルはそのままに、化粧板を木目調のものに交換しています。これだけで印象は大いに異なりますね。

 

反対側、出入り口側を見てみましょう。新たにサービススペースが設けられたため、少し奥行きがありますね。古めかしい非常ボタンを付けていますが、わざわざ移設させたのでしょう。

 

天井です。分散冷房は変わりませんが、照明は蛍光灯から直管式のLED灯に交換されています。また荷棚はパイプ式のものはそのままに、板を増設しています。物が落ちるリスクは減った反面、見通しはやや悪くなっております。

 

窓です。不思議だったのは、JR時代にグリーン車ながら二段窓が維持されていたことです。下段はツマミが撤去され固定、上段は開閉可能…現在の運用では問題ありませんが、グリーン車の夜行列車となればまた話は変わってきます。種別上快速列車とは言えグリーン車としてそれなりの運賃・料金は払うでしょうから、その対価として冬季の窓側のさぞ冷えたであろう仕打ちをお見舞いされるのは…ねぇ?

 

座席表示のプレートは国鉄時代のそれをよく再現しています。またかつては固定式の帽子掛けがありましたが、収納式のものに改まっています。元のまんまでも十分ノスタルジックでよかったとは思いますが…。中央にはマイクの機器が増設されています。

 

座席は全席ボックスシートとなっています。この辺、14系がほとんどそのまま使っているのとは対照的ですね。一説には、JR東日本で廃車となったキハ40系列のボックスシートを譲受したとか。

 

中央にはテーブルもあり、駅弁を広げるのにはちょうどいいでしょう。ただ乗車時間がさほど長くないので、その辺は注意が必要です。このテーブル付き座席からの出入りを考慮したせいか、本来12系にあるはずの窓側の肘掛けも無ければ、通路側の肘掛けまでありません。

 

壁際の座席に関しても、しっかり横幅を切り詰めるという国鉄慣習を忠実に守っています。持ち手は交換され、早い時期のボックスシートに搭載されていたカマボコ型持ち手に近い形状のものにされています。あちらは金属でしっかり握れる形状ですが…。

 

サービスコーナーです。改造の上設置された区画で、アテンダントさんが案内したり、各種準備に使用しているようです。左側にはマガジンラックがあり、パンフレットが入っています。

 

向かい側にはモニターが備わりますが、この日は特に何も放映されていませんでした。

 

続いてはぶどう色塗装のトップナンバーです。赤帯も入っており、何やらJR北海道や真岡鐵道を彷彿とさせます。

 

ドアです。出入り口にはステップがあり、足元を照らすための照明が仕込まれています。

 

元洗面台区画です。

 

あら、内張りの塗装が違えば、鏡上の照明のカバーも違うし、換気窓が塞がれてる…って違うところだらけ(^_^;)

 

車内です。基本的な構成は-2と同一なのですが、元洗面台区画ほどではないにせよ、多少の差異があります。

 

異なるのはここ、窓です。地味に窓枠サッシが塗装されているんですよね。なんでこんなとこだけ違うのやら…。

 

座席です。出自は同じなので形状は変わりません。14系の方が比較すると快適だとは思いますが、汽車旅の雰囲気であったり、乗車時間を考慮するとこちらでもいいかもしれません。

 

サービスコーナーです。ここは特に変わりはありません。
 

さて、今までスルーし続けていましたが、この12系客車はかつての出入り口を展望デッキに大改造しています。一応かつてのドア配置の名残がありますが、突然現れた展望デッキの衝撃たるや…。

 

この手の展望デッキは車端部に配置するのが常ですが、方転が難しいことや、しないにしてもSL直後は危険かつ締め切り扱いにしないといけないケースもあるので、この位置に落ち着いたのでしょう。

 

車番は展望スペース設置に伴い記号が「オハテ」に変わっています。国鉄→JRの12系には存在しなかった車番ですね。そうそう、車番の上には行き先表示のサボが入っています。

 

という訳で展望デッキです。固定窓の14系では五感で楽しむべきSL列車にしてちょっと物足りない感想を持っていたので、このスペースの出現はありがたい限りです。ただ、早めに腰掛けは埋まってしまいますし、乗車時間も長くないので終点まで埋まってることもしばしばです。

 

天井は化粧板を全て撤去しています。この辺り、同じ12系を改造したトロッコ車両を知っている身としては少しお手抜き感がしなくもありません。

 

側面、肩部にはガス灯を思わせるような照明が付いています。夜間もトンネルも走りませんが、こちらは逆にムードが出てると思います。

 

座席は簡単なベンチで、手前右側はお子様の着席を考えたか一段低くなっています。また壁には簡単な腰掛けがあります。座れなくても最低限そこ、という選択肢も無くはありません。

 

ベンチ下には飾り照明が仕込まれています。ここまでおしゃれにされると、天井のぶっきらぼうさがつくづく残念です。

 

車内のプレート。こちらは青の-2のものです。国鉄っぽいプレートで忠実に再現しております。

 

SL大樹、日光·鬼怒川温泉観光の起爆剤として登場し、機関車·客車ともに増強が続いてる状況です。東武鉄道で都心から特急列車で来てもらい、SLに乗車する。こうして増収を図ろうとしており、観光列車のお手本のような運行スタイルとなっております。

 

SLも3機体制となり、DL代走を極力減らそうとした努力もありますので、観光資源として益々の活躍を祈りたいところです。










 

 



 

 



 

 



 

 



 

 




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