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Channel: 車内観察日記
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近鉄50000系

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観光客が減少傾向にある伊勢志摩の起死回生を狙って、近鉄史上最も力を入れた特急用車両として登場したのが50000系です。21000系アーバンライナー以来、開発に当たってリピーターに対してアンケートによるリサーチを行うことを伝統としてきましたが、50000系ではその対象を全国規模に拡大し、徹底したリサーチを行った上で満を持して世に送り出しました。


「しまかぜ」の愛称があり、大阪難波・京都・名古屋から賢島までを結びます。


前面はHID灯をつり目状に4発搭載した鋭い目つきになってます。


この系列、車両によってかなりイメージが異なるという印象を持っています。両先頭車は白を中心としていながら、中央の車両は青を中心とした塗装としています。遊び心に溢れていますね。


賢島駅では、2編成の並びを見ることが出来ます。


伊勢志摩ライナーの2色とも並びました。


さらには、歴代伊勢志摩への観光を支えてきた特急用車両も並びます。



そうそう、この系列は2014年度のブルーリボン賞も受賞しましたね。一時期それを記念したラッピングが施されていました。


3編成が在籍しており、運用時は3方向へ向けてフル稼働することとなります。


それでは参りましょう、まずは2・5号車に連結されているプレミアムシート車両から。デッキのトイレは車椅子対応の大型トイレです。


男子小用です。進行方向に配置しているので、横揺れではかなりスリリングです。この配置はずっと変わってなんですよねぇ・・。


洗面台です。温水と冷水、ハンドソープが自動で出てくるイマドキな仕様です。


車内です。大型の座席が2+1配置で並んでいます。ちなみに、「しまかぜ」の座席車は全てプレミアムシート車両となっています。


デッキ仕切りです。座席配置に合わせて仕切り扉が寄せられています。扉自体は模様入りの全面ガラス仕様です。


車椅子対応ブロックでは仕切り扉が両開きとなっており、開口幅が広くなっています。


ドア上にはLCDディスプレイが搭載されています。アーバンライナー用の21000・21020系以来の搭載となりました。時折前面展望の映像を流していますね。


天井です。近鉄お得意の間接照明に、関西私鉄特急伝統の窓上補助照明を備えています。


荷棚にはスポット空調も備わります。ちなみに、席番「7A」の横に、黄緑の小さなランプがあります。これは空席情報を示すもので、指定されていると青色に変わります。JR東日本では普通列車のグリーン車にSuica対応車両に結構早くから設置されていましたね。関西ではこの手の表示装置は初採用ではないでしょうか。


窓です。1席に1枚が割り当てられています。


日除けは全自動式のロールカーテンタイプで、窓枠下に操作スイッチが設置されています。


続いて両先頭の展望車へと参りましょう。ハイデッカーとなっており、デッキから車内へは階段でアプローチすることとなります。


天井は光天井となっています。かなり開放的です。



こちらにはデッキにロッカーが設置されています。しっかり鍵もかかるのでセキュリティもOKです。


反対側には大型の荷物も置けるスペースがあります。チェーンで通路に滑り落ちないようにしています。


車内です。さすが展望席だけあり、視点も高いですし窓も大型です。


デッキ仕切りです。こちらはLED表示機となっています。黙って景色を見ろ、ということでしょうか(笑)


天井です。こちらはあまり違いを感じませんね。ただ、車高は建築限界いっぱいにまで広げられており、客室だけで見ると21020系と同等の空間を確保しているのだとか。


窓です。展望席の名の通り、大型の窓が並びます。


最前面です。仕切りは全てガラス張り、ハイデッキもあいまってド迫力の前面展望が楽しめます。


さらに近寄ってみました。とは言うものの、非常扉を配した柱が少々気に触らなくもないですね。


座席です。大型の電動リクライニングシートで、表地は革張りとなっています。ヘッドレストには可動式のピローが設置されています。カバーにはしまかぜのロゴも入っていますね。


座席が大きすぎるので下部を別撮り。付帯設備はインアーム・シートバックの両テーブルとレッグレストとなっています。


反対側の1人掛けです。革張りの座席というと、レザー張りの様にとんでもなく安っぽくなるか張りがなさすぎてずぶずぶと沈み込んで行くかに分かれる所なのですが、この座席ではどちらでも無い良いフッティングをしています。


全展開してみました。座り心地は程よい柔らかさであり、フルリクライニングにレッグレストをあげて使用すると寝るのにはちょうど良い体勢となります。ただ電動リクライニングの悲しき性、動きが鈍重なのは共通しています。イラチな関西人を擁する近畿地方において、操作時間の面では油圧式の方が優れているように思います。


センターアームレストの下にはコンセントが2口設置されています。この位置への設置はある意味無難ですね。


ヘッドレストには読書灯が仕込まれています。相変わらず向きを変えることが出来ないので、人によっては本ではなく手元を照らしてしまうという残念設計です。これは21020系でも同じ事といえます。入念にリサーチを行い丁寧に作りこまれている50000系にして数少ない仇。しかも同じ過ちを繰り返していて尚更仇。付ければいいって問題でも無いでしょうに…


アームレスト横には座席の操作パネルがあります。リクライニング、レッグレストの上下、読書灯の点灯などのスイッチのほかに、三つボタンがあると思います。これは・・乗ってからのお楽しみとしておきましょう(笑)


座席の回転は足元にペダルがある方式ではなく、ボタンを押して解除する方式としています。


車椅子対応座席です。わざわざ2列席を1列分潰して設置しているのはさすがというところ。というか、こうしないと大型座席故車椅子の取り回しに問題が出ますよねと(^^;;


台座部分には車椅子固定用のベルトが備わります。


デッキ仕切り際は、JRのオフィスシートのようにテーブルが大型化されています。この列車は基本的に観光特急、ビジネス利用を前提としたものではないと思いますが・・(^^;;


続いて4号車のグループ専用車両へと参りましょうか。乗降口のデッキは30000系ビスタカーのダブルデッカー以来の中央に設けられています。その天井はドーム天井となっています。気合入ってるなぁ・・。


床部分も模様入りとなっています。天井とデザインコードを合わせているようにも見えますね。


近鉄特急伝統のおしぼりホルダーも備わります。しまかぜではアテンダントさんから手渡しでおしぼりがもらえる(しかも新幹線グリーン車でもらえるような結構しっかりしたもの)のですが、それとはまた別に設定されているようです。いや、それでも言いましょう、一人一本まででお願いします。


トイレです。男女共用の洋式トイレとなっています。


女性客の利用を考慮し、パウダーコーナーもあります。これで賢島やスペイン村観光前のメイクもバッチリですね(^^;; ただ一つ難を挙げるのであれば、通路との仕切りを一つ入れるべきだったかなぁと言う事。せっかく椅子まで付けているのですから、カーテンは欲しかったですねぇ・・。


自動販売機です。カフェカーもあるわけですが、「ちょっと気軽に」と言った場合にはこちらの方がいいかもしれません。


また喫煙室も設置されています。ガラス張りとしている車両が多い中、室内側はこの扉だけがガラス張りとなっています。空間利用の制約からなんでしょうね。


さぁ、まずはサロンから行きましょうか。


サロン席です。6人一組のボックスシートが3組並び、通路は右に寄せられています。2~4人での利用であれば「伊勢志摩ライナー」、5、6人であれば「しまかぜ」という選択になりそうです。もっとも、席が取れるかどうかは話が別ですが・・(^^;; また、ルール上は一応4人からでもサロン席を抑えることができます。


通路側の窓は非常に大きく開放感に溢れています。ちなみに、こちらにも電動カーテンが取り付けられています。しっかりスイッチもありますね。


天井です。エントランスに同じくこちらもドーム天井となっており、ボックスごとに緩くカーブがつけられています。また飾り照明もありオシャレな雰囲気です。


座席です。片側3人掛けでヨーロピアンスタイルの超ハイバックシートとなっており、座り心地はとても良いものです。リクライニング機構は有りませんが、その分求められる必要な角度を的確に押さえているため自然な体勢で座ることができます。また柔らかさはソファのような感覚。それもズブズブ沈み込むようなものではなく、適度なクッション性を持っているものです。23000系もそうですが、サロンシートのポテンシャルの高さに関して近鉄は一級品のものを持っていると思います。荷棚は座席上にガラス状のものを配置しており、通路部分にも簡単なパーテーションが設置されています。



ボックス間には大型のテーブルがあります。


続いて個室へと参りましょうか。和風個室・洋風個室それぞれ1編成に1室のみしか無く、京阪名各方面往復でも一日に合計12室分しか発売されない超プラチナチケットとなります。


個室エリアです。サロンエリアと比べると閉鎖的な空間ですね。


まずは洋風個室から。全国的に見て、昼行列車で個室というのはかなり少数派だと思います。


ドア横には非常通話装置と空調の操作パネルが設置されています。



ドア上にはLED表示機も設置されています。この個室専用に設けるというのは何とも贅沢というか何と言うか・・。


座席です。こちらもソファタイプ・・というかソファですね(^^;; 視覚的な問題でしょうか、座面が少し切り詰められているような気がします。空間制約の問題でしょうか?


窓側横の壁にはタッチパネルが設置されています。テレビを見たり、何やら色々なことが出来るみたいです。


中央には座席を囲むようにしてテーブルが設置されています。こちらにはカフェカーのメニューと呼び鈴が設置されており、カフェカーのアテンダントさんがここまで注文を取り、更に注文品を持ってきてくれます。どこのレストランなんでしょうね・・。


そして、部屋の一角には空気清浄機が設置されています。今や車内に設置されるのも当たり前になってきました・・。


更にドア横には液晶画面も設置されています。手前にはテーブルも設置されていますね。

続いて和風個室へと参りましょう。ここの部屋のみ、土足厳禁となっています。


入り口には玄関と靴入れが設置されています。その上には非常通話装置と空調の操作パネルがあります。


こちらにも専用のLED表示機がドア上に設置されています。


そして空気清浄機も・・。


洋風個室同様液晶画面も設置されています。座椅子後ろの特徴的な照明ですが、間に桜の花びらを散らした和紙を挟んでいます。


座席は座椅子式で掘りごたつ仕様となっています。テーブル上にはやはり呼び鈴とカフェカーのメニューが備えられています。


最後にカフェカーです。50000系の電算記号はSV、「しまかぜビスタ」を意味するもので、この系列もビスタカーの系譜を受け継ぐ系列となっています。その証拠に、カフェカーは階上席と階下席という構成となっています。


カフェカー車内、階上席です。利用には何かしらの注文をする必要があります。基本的にはアテンダントさんが席に案内する形となりますが、希望を言えば席を選択できるかもしれません。


賢島方を向いて右側は通り抜けの通路となっています。ダブルデッカーだけあって天井がとても高いですね(笑)


賢島方の車端部です。こちらは仕切り扉上にLED表示機を、カフェエリア内の壁に液晶ディスプレイを設置しており、前面展望映像等を流しています。その下にはまたもや空気清浄機がありますね。ちなみに、こちらはカフェカーとしては反対方向を向いている訳ですが、ご覧の通りこちらからカフェエリア内には入れません。


カフェエリア内から正の方向を向いてみます。階段下には販売コーナーが設置されており、ここでしまかぜグッズなどを買うことも出来ます。カフェエリア内へはここから入る形で、一種の関所として機能しています。


天井です。オレンジ色の半間接照明となっています。伊勢志摩の海をイメージした模様が入ったパーテーションに観葉植物(もちろん造り物です。)で飾っています。


窓です。階上席だけあり眺めは抜群です。柱には飾り照明があります。


座席は本当にカフェタイプ、カウンターは湾曲した造りで、なぜだか縁には金色で塗られた手すりがあります。


階下席です。こちらは袋小路仕様となっています。座席が割としっかりしており、行き止まりの部分には液晶ディスプレイと空気清浄機が設置されています。


反対側の入口付近には洗面台が設置されています。


さてさて、登場当初は名阪の2駅から発着していた「しまかぜ」ですが、好評だったこともあり京都発着便も登場することとなりました。それに合わせて増備されたのが画像の第三編成です。先の二編成と比べ、少し仕様が異なっています。


仕様が変わったのがこちら、和風個室です。第二編成までと比べて、背後の壁が赤色になり、ド派手な色使いとなっています。


座席です。こちらも赤を引き立てる黒となり、とてもメリハリがはっきりしています。テーブルに関してもデザインが大きく変わっています。


続いて洋風個室。こちらは特に変更は無いようです。


壁側のテーブルもこの通り。ちょっとした腰掛けもあるんですね。


最後にカフェカーへと参りましょう。こちらも少し仕様変更されています。


というわけでカフェカー階上席です。基本的な配置は変わっていませんが、座席がオレンジから緑色になっています。


洗面台もご覧の通り緑となっています。


豪華な車内と人的配慮に裏打ちされたサービスレベルの高いカフェカーなど、「日常に一番近い非日常」という感想を持ちました。更にお値段も決して手が届かないと言った額では無い追加料金で乗車出来るのが魅力です。総合的に、関西でも屈指の列車に君臨したのではないかと思います。近鉄の本気を見た気がしました。


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