近江鉄道と言えば、彦根工場の匠による奇怪で驚愕の車両群がつとに有名です。この車両も、そんな中の一系列です。
700系電車で、元を正せば西武401系電車です。同じく西武401系から改造された800系電車と比べても明らかに力が入っています。
近江鉄道100周年を記念して改造されたもので、「あかね」号という愛称が付いています。元々は2編成改造する予定だったのですが、あまりにも気合が入りすぎてお金がかかり過ぎたのか、この1本のみで改造は終了、残りの改造対象だった編成はちょっとした必要最低限の改造を施した820系となっています。
運用は特に決まっているわけではなく他の系列と共通となっているので、狙って乗車するのは困難です。
車内です。中に入って更にビックリ、所要時間や路線長の割にロングシートが大半を占める近江鉄道の中で、珍しくクロスシートの車内となっています。というか、900形が登場するまでは唯一のクロスシート車両でした。
ドアです。内外共に大変貌を遂げてはいますが、ここは種車の面影を残した化粧板も貼られていない金属地のままとなっています。
車端部です。ワンマン運転に考慮して仕切り扉はありません。
最前面です。外観はパノラマタイプとなっていますが、車内側からはフツーの近江鉄道の車両と変わらず運賃表・運賃箱が備わります。
天井です。照明はカバー付きの蛍光灯となっており、つり革はドア付近のみとなっています。やはり力が入ってるなぁと。
場所によっては蛍光灯カバーの色合いが違っている所もあります。また冷房吹き出し口はスポットタイプ、ラインデリアは一部分のみの設置となっています。
窓です。種車の二段窓から一段窓に変更となっています。日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプです。
座席です。近江鉄道ではやはり見慣れないクロスシートです。座席は東京でも知っている方はいらっしゃるかもしれません、JR東日本185系の改座により発生した転換クロスシートを搭載しています。元の設置先では系列の十の位を大人しく5~7にしておけばよかったものを「8」にしてしまったばっかりに「最悪の特急」というレッテルを貼られ(いや、もちろんその分特急料金は値下げされていますが…)、貴生川で顔を合わせる当時料金不要の「快速」として使用されていた117系との車内レベル的な意味合いでどうしようもない問題だったと思います。
元の設置元である車両では散々な評価だったこの座席ですが、ここでは中々当たらない上にロングシート以上の設備ということでアタリとして見られることが多そうです。とは言え、接続先のJR西日本にやってくるのが軒並み転換クロスシートを装備した車両ばかりなので、返ってロングシートの方が見劣りしてしまうというオチがあったり…
ドア横の固定クロスシートです。
そうそう、最近になってヘッドレストカバーがフルカバータイプからセパレートタイプのものに交換されています。本当に185系の現役当時に近い雰囲気となりましたね。え、今更「窓側に肘掛が無い」やら「灰皿が無い」だの「テーブルが無い」などと言わないでください、時代が時代ですし片や料金不要の普通列車しか走らないローカル線なんですから。
固定クロスシートを座席側から。背面をカバーにより完璧に固定されていますが、一応転換機構も残されています。転換クロスシート部分よりも少しだけ立てて設定されており、掛け心地が少し異なっています。
車端部のクロスシート二種類をご覧いただきます。転換クロスシート部分はこの向きだと足元が非常に広くなっています。
車椅子スペースです。握り棒のみが設置されたシンプルなものです。車椅子マークが丸型なのが珍しいですね。
その横に設置されたこの系列唯一のロングシートです。袖仕切りはなんとびっくり、クロスシートの肘掛けをそのまま持ってきています(^^;; 座り心地自体は背ズリがほぼ垂直に設定されているためあまり快適とは言えません。というか、みんなクロスシートに流れちゃうんだろうなぁ。と。
唯一無二の存在である700系「あかね」号。当たったときはその悦びを噛み締めて乗車したいものです。
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近江鉄道700系
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