JR九州次世代のスプリンター、885系です。外観のデザインがドイツのICE3に似ていますね。
今回紹介するのは、博多から大分・佐伯を結ぶソニック系統で使用される編成です。かもめ系統に導入された兄貴分の初期編成もいますが、当初より検査や予備編成の都合から両列車との間で使用編成が入れ替わることも多く、最近になってかもめ編成の塗装をソニック編成に合わせています。
派手な色使いが得意なJR九州の中にあって白を使った大人しい印象ですが、やはりロゴや文字はふんだんに使われています。
それでは参ります、デッキドアです。窓が左側に寄せられ下部まで引き伸ばされたデザインで、両側にはスリットの照明を仕込んでいます。
ゴミ箱です。外に飛び出して配置しているのが珍しいですね。案外こっちの方がゴミを放りやすいと思いますが、やはり蓋があった方が防臭性には優れていますよね。
かねてよりJR九州はデッキの比重がやたらと大きい会社ですが、885系でもデッキの充実度は中々のものです。こちらはフリースペース、携帯電話の通話などはここで行うことも出来ます。窓を大きくしたフリースペースの側面展望もJR九州がお好きなキーワードの一つです。
このようなスペースが様々な所に存在しています。テーブルの下には握り棒もありますね。
そして場所によっては窓の面積が大きくなった箇所もあります。
上部にはこのようなサインマグも設置されています。しかし、丸印にBS、衛星放送とは…。かつてはテレビ放送があったのでしょうね。
元々フリースペースが多数あったわけですが、それに加えて携帯電話の通話スペースもあります。暖簾で区切られているだけなので、正直騒音は筒抜けです。
その室内です。元々公衆電話も設置されていたようです。
自動販売機です。車内販売が無くなった今、飲み物を調達するためにもありがたい存在です。
車内に一ヶ所、バータイプのベンチシートを設置したフリースペースがあります。常時混雑するソニック系統、自由席難民がいち早く目指す場所となりそうです。
そしてもう一回フリースペース。こちらは簡単な腰掛けが設置されています。
壁面には照明二つと、中央にソニックエンブレムが設置されています。
この壁の裏にはトイレがあり、列車内のトイレにしては珍しく男女で区別されています。こちらは男子トイレ。中は洋式です。
そして反対側の女子トイレです。
サービスコーナーへと参りましょう。天井の照明がちょっとしたディスコ風です。
かつて車内販売が営業していた名残で、右側には車販準備室、左側には冷蔵庫等が備わります。今となっては必要ない存在となってしまいました。
885系ではデッキ通路に芸術を施しており、ちょっとしたギャラリーにもなっています。
ようやく車内です。平凡な通勤電車ならこの辺で書き終えている所ですがまだまだ続きます。個人的に個性の塊のような印象を持っており、フツーの特急型車両と比べると、やはり異彩を放っているなぁ、と。
デッキとの仕切りです。仕切り扉はスモークがかかった全面ガラスです。その上にはLED表示機が備わりますが、字はかなり小さめです。
天井です。照明はダウンライトが二列で等間隔に並べられています。荷棚は883系に続いてハットラック式となっています。暴力的な走りを見せる日豊本線での荷物の投げ出しを防止するためなのでしょうね。
窓です。各列一枚配置、日除けはフリーストップ式のロールカーテンタイプです。ダウンライトとハットラック式の荷棚という環境故薄暗くなることから、補助照明が仕込まれています。
座席です。この会社は常識が通用しない会社として有名ですが、ここでも常識を覆す仕様、表地にはなんと本革を使用しています。グリーン車などではよく見ることが出来ますが、普通車に使用されるのは中々前例がありません。一応オチが無いわけではなく、目に見えない程のキズが入ったアウトレット品を使用することにより、コストを通常のモケットと同程度にしているそうです。テーブルはインアームテーブルで、センターアームレスト内蔵なので下手なグリーン車よりもアームレスト幅が広がっています。しかしその煽りを受ける形で、サイドアームレストは文字通り肘掛け程度の狭さ、加えてかなり貧相です。そしてそのテーブルも面積が大きくない上に形状が悪いです。食の宝庫である日豊本線を走行する車両としては少し残念です。
ヘッドレスト背面にはソニックのロゴ入りチケットホルダーが設置されています。またヘッドレスト下部にはバンドが回されており、ここにも別タイプのSONICロゴが入っています。
車椅子対応の1人掛けです。固定用のベルトも備わります。フレームの関係か、テーブルは窓側備え付けの固定テーブルのみです。これがまた小さいこと…
リクライニングの図。座り心地ですが、全体的にコシの無いスカスカな印象、座面は特にそれが顕著です。見た目のこだわりはJR随一ですが、それと座り心地が反比例するのはJR九州の悪いクセです。
車椅子の乗り移りを考慮し、斜め45°でも固定出来ます。そうそう、革張りの座席が話題を呼びましたが、革張りというのは特有の臭いが有り好みが分かれるようで、一部自由席に関してはモケットに貼り換えられた車両が出るとのこと。
ハットラック式荷棚では収納能力に限りがあるため、一部車両に荷物棚が設置されています。
続いてグリーン車です。883系に倣ったのか、相変わらず半室グリーン車となっています。
デッキにはソニックエンブレムが。照らし出すためのダウンライトも設置されていてカッコいいですね。
グリーン車の扉を越えると、右側に専用の携帯電話の通話スペースがあります。
上の画像の反対側です。化粧室も兼ねているようです。
鏡の横にはコンセントが二口設置されています。盗難には気を付けましょう。
専用トイレです。こちらは男女共用となっています。
車内です。1+2の3×4列=12人分のみのミニマムなスペース、満席となることもしばしばあります。
デッキとの仕切りです。木目調の化粧板で、仕切り扉はやはりスモークがかかった全面ガラスです。
LED表示機です。やはり字は小さいです。
最前面です。ガラス張りで乗務員室も丸見えですが、前面形状の都合もあり展望性が優れているとは言えません。運転士さんの挙動を観察するには打ってつけだとは思いますが…(笑) ちなみに、この仕切りはマジックガラスとなっていて、運転士が非常ブレーキを掛けると自動的に曇るようになっており、緊急時に前の惨劇を直接"中継"しないようにしているのだとか。非常ブレーキ自体は駅停車時にも入れるので、緊急時でなくても時々見ることが出来ます。
天井です。こちらは普通席と変わりありません。
窓です。885系に共通して言えることですが、窓がかなり小さくなっています。特に上下方向の狭さが目立ち、ちょっとした圧迫感を覚えます。グリーン車では柱部分に飾り照明を設置しています。
座席です。まずは2人掛けから。普通車と同様表地は革張りとなっていますが、こちらの方が生々しい色になっていますね(^^;;
横から。パッと見た印象が普通車とあまり変わりません。いや、そりゃ大量生産する関係上、なるべく仕様を合わせりゃコストは安くつきますよねってのは分かりますが・・。
2列席扱いではありますが、それぞれ独立した座席であり、回転も個別となります。その煽りか、アームレストはグリーン車にしてはかなり貧相・・というか、普通車とあまり変わりません。1人掛けもあるという状況で2人掛けをわざわざ個別にする理由も謎ですし、何より個別に回転して一体誰が特をするのか分かりません。であれば一体型にでもして、アームレストの幅に還元してやれよと…。
テーブルです。両席の中央、回転に支障が出ない範囲で設置されています。見よ、この実用性に多大なる疑問が出るこの大きさとデザイン、ドリンクポケットはあるものの、振り子による暴力的な走りをするにも関わらず縁取りすらされていないスリルの満点さ、安息を提供するはずのグリーン車にしてずっと緊張感を張り詰めなければならない仕様なのは利用者の目線に立てていない証拠です。
デッキ仕切り際のテーブルは大型の固定式、ここへ来てようやく駅弁を気兼ね無く広げられるレベルに達しました。しかし、相変わらず縁取りはありません。
続いて1人掛けです。
デザイン的には2人掛け(…なのでしょう)と変わりません。
リクライニングの図。座り心地は、こちらも普通席と同様、全体的に張りがなく底付き感満点の残念なものです。それに加えて革張り特有の滑りやすさにより、リクライニングすると前方にズルズルと引き降ろされます。え、九州のグリーン料金は他より安いんだから我慢しろ?何を言いますか、エクストラチャージに変わりありませんでしょう。787系を最後に、JR九州の座席は何かと残念な事例ばかりなような気がします。
テーブルは窓側備え付けの折り畳みテーブルです。金属部分にはやはりソニックのロゴが入っています。畳んだ状態でも広げた状態でもカップホルダーが使えるのは◯、しかし相変わらず縁取りがないのは×です。
885系、日豊本線の振り子を駆使した突っ走りは見事なのですが、座席が…嗚呼座席が…
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JR九州885系
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