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現在日本最長の幹線となっている山陰本線。何かしら特急が走る京都-益田間は地域輸送も何とかこなしている感じですが、特急が廃止され普通列車しか走らない益田-下関間は幹線とは名ばかりの典型的なローカル線で、定期列車も少なく新たな旅客獲得をせねばマズい状況にあります。そんな山陰本線の内、下関から東萩間でローカル線の切り札とばかりに観光列車が登場しました。
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実はこの区間、風光明媚な区間を行くことから以前から「みすゞ潮彩」という観光列車は走っていたのですが、2両編成の1両を改装して指定席車として運転しており、どうしても定期列車の片手間感がなきにしもあらずな感じでした。そんな「みすゞ潮彩」が幡生の匠により再度大改造され、晴れて本格的な観光列車として生まれ変わりました。
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「◯◯のはなし」、某尼崎出身のコンビ芸人のボケ担当が「うーわ、うぅーーわ!!」と言いそうな列車名となっています。それは置いといて、列車名に記号が入るのも珍しいですね。
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「はなし」は道中の萩・長門市・下関を表し、この列車に乗って様々な思い出はなしを持ち帰ることが出来るように、との願いが込められています。
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車体の色にも意味があり、1号車は「西洋が憧れた日本」と題した和を意味する緑、2号車は「西洋に憧れた日本」と題した洋を意味する赤とし、連結部分は両者を繋いだ海を表す青、また意匠として県花のはまゆうがデザインされています。ここが列車と写真を撮る際の隠れた撮影スポットとなっているそうな。
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なお、車番のフォントは広島支社の隅丸ゴシックではありません。
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車内です。まずは「西洋が憧れた日本」をコンセプトにした1号車から行きましょう。「みすゞ潮彩」時代はオリジナルの車内配置で座席モケットを貼り替えただけの自由席となっていましたが、ご覧の通り大変貌を遂げております。
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ドアです。鈍行仕様と変わらぬ両開き扉となっていますが、新たに化粧板が貼られ、ステップにはLED灯が仕込まれています。キハ40系列にはいわく付きの広島支社、うっかりズッコケないようにするためなんでしょうね。
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半自動ボタンは両側に設置されています。これは「みすゞ潮彩」時代からですね。
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車端部です。こちらは座席が撤去され、観光列車らしいアイテムが。
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最前面です。こちらは化粧板が貼り替えられた以外に大きな違いは見られません。それこそ、ワンマン仕様じゃないのが不思議に思う位(^^;;
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天井です。格子を付けて和風感が出ておりますが、デカい冷房装置はそのまま、故に扇風機も残されています。本当はスッキリしたラインフロー式にしたかったそうですが…。
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荷棚は網棚からガラス板のものとなり、カウンター席上にはスポットライトが設置されています。
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窓です。肝心の海側を撮らずに山側だけを撮すという失態ぶり、こちらは体質改善工事が実施されたキハ40系列同様の下段固定・上段上昇式となっています。
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なお、上段部分には手や顔を出さないようにするためかバーが追加されています。
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海側の大窓からの景色。停車ポイントでは専用の停目があります。なお、JR西日本の地方ローカル線でお馴染みの必殺25km/h制限もあるのですが、偶然景色がよかったのかそれとも…。
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座席です。まずはボックスシートから、2人組と4人組の2パターンがあります。
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2人組ボックスシートは山側、穏やかにセミハイデッキ化されています。
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4人組ボックスシートです。こちらは海側で、雄大な日本海がすぐ目の前まで迫ります。
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なお、ボックスシートの座席下とテーブル下には和を意識した車両だけあり畳が敷かれています。靴を脱いでフットレスト代わりにすることも出来ます。
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4人組ボックスシート下にも畳がありますが、さすがに4人でこれ1枚は少しキツいですぜ(苦笑)
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お次はカウンター席です。合計6席しかない争奪戦必至の席となっています。一人旅代表としては、2人以上の利用はボックス席にお願いして、このようなカウンター席は1枚ずつの発行にして欲しいと思う次第。なお、ここの区画は元々ドアがあった部分で、左側の元戸袋窓部分はどうしようもなかったのか壁となっているため、座席から出る際の通路も兼ねて2+2となる具合に寄せて設置しています。
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座席はレバーにより回転することも出来ます。回転台座を有する座席の泣き所ではあるのですが、私の指定されたこの座席は既にガタつき初めてグラグラしていたので、今後のメンテに幡生の匠がどれだけついていけるかが鍵ですね。
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ドア付近には2人分のカウンター席があります。
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なお、この列車には観光列車としては珍しくコンセントが設置されています。今考えてみても、コンセントが付いた観光列車ってかなり少ないんですよね。
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車端部の車椅子スペースです。固定用具が二つ備わっています。その奥にあるのはゴミ箱で、飲料系とその他で分別されています。
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向かい側には観光列車らしく地元の特産品や工芸品を並べた展示スペースとなっています。
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トイレです。中は洋式、オマケにウォシュレット付き温便座となっています。観光列車とは言え、普通列車にこれは異例とも言えますね。
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続いて「西洋に憧れた日本」をコンセプトにした2号車の車内です。座席配置は「みすゞ潮彩」時代から変わっていませんね。
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ドアです。こちらも化粧板貼り付けとされており、外観と同じく赤い化粧板となっています。
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半自動ボタンもこの通り。
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車端部です。こちらは車内販売のカウンターとなっています。
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車内販売カウンター下にはゴミ箱があるのですが、存在に気付かない程目立ちません(^^;; 蓋の部分だけデザインを変えるなどの工夫が必要となりそうです。
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向かい側は立ち席カウンターです。ここのドア寄りの窓は201系のような形状となっています。
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最前面です。かつてこの近くの窓は丸や三角の遊び心溢れる形状をしておりましたが、この列車のコンセプトに合わせる形で復元されています。
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天井です。丸形のカバーがかかった照明と間接照明の構造は「みすゞ潮彩」時代から変わりません。残念ながら改修を期待した冷房装置はそのまま、1号車の改修に結構費用がかかっていると思われ、こちらの天井にまで気を回せなかったのでしょう。
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窓です。1号車同様、山側はJR西日本のキハ40系列共通の二段窓です。
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海側の窓です。こちらは「みすゞ潮彩」時代に一枚窓に交換されておりました。そして、一部の窓は追加で横幅を大きくされています。
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柱には昔からある扇風機の操作スイッチがあります。
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座席です。こちらはオールロングシートで、全席が窓側を向いています。海側の席は窓越しに景色が楽しめますが、足元の暖房配管はそのまま残されています。これがまた窮屈なわけで…。
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山側のロングシートです。「みすゞ潮彩」時代にも思ったことですが、山側の座席のレベルが海側と同じとなっており、手前の座席に人が座ると漏れ無く展望に支障が出ます。このリニューアルで何とかなるかな、と思っていたのですが残念ながら改造時のままとなっております。どうやら、「みすゞ潮彩」時代からフレームがいじれなかったようで…。
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ただ、そんな中でもコンセントは完備されています。海側はテーブルの下に1つ設置されています。
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山側には肘掛部分の壁に1つ設置しています。
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車内ではアテンダントさんが日付入りのボードを持って記念撮影サービスを行っております。
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車内販売では、地元らしくふぐの骨せんべいや地ビールを販売しています。なお、列車の指定席予約後に電話予約にて特製弁当を注文することが出来るのですが、今回仕事の都合でタイミングを逃してしまいました。ちなみに、上りの始発である新下関や下関駅では駅弁業者が廃業したため駅弁らしい駅弁はありません。正直、「SLやまぐち」のように列車運転時だけでも駅にて駅弁を販売して欲しいものです。
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運転日は沿線の観光協会の方などが乗り込み案内を行います。今回の乗車では川棚温泉の方が案内をしておりまして、乗り込んですぐに地元特製のシュークリームを配布しておりました。
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案内の後はクイズ形式でゲームを行い、これまでの復習をしてくれます(苦笑) クイズに勝つと白餡がうれしい川棚饅頭を貰えます。
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大窓の景色。この時の乗車は中々止まらないことで有名な関西私鉄が軒並みストップした台風が接近(いや、ほぼ直撃)していたこともあり、普段は穏やかな響灘もこんなことに(苦笑) いや、無事に定刻通り下関に返してくれたことが何よりありがたいもので、山陰本線でそれも閑散区間で振替輸送とかあり得ないですからね。「当たり前」を作ることに尽力して下さった現場サイドに感謝。
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新下関行きでは仙崎支線にも入線します。今回の「◯◯のはなし」乗車により、めでたくJR西日本の全路線完乗を果たしたのでした。