かつて旧型客車の置き換え用として投入された50系客車、その車体色から「レッドトレイン」と呼ばれて登場したものの、既に時代は動力分散式が主流であったため一部が気動車や事業用車に転用された以外はほとんどが廃車の憂き目に遭いました。そんな中、日本最大級の広さを誇る京都鉄道博物館の中にある旧梅小路機関区の横に、当時の姿を今に伝えるレッドトレインが1両います。オハフ50-68で、姫新線や播但線など姫路をベースに活躍していたそうです。
梅小路機関車館時代からこの地で休憩室として使われており、京都鉄道博物館でも保存車両ではなくあくまで「休憩用車両」だそうです。なお、渡り板には京都鉄道博物館になってからツバメマークが入れられています。
まずはデッキドアです。ステップ付きの片開き式で、キハ40のそれに近いものがあります。
トイレです。休憩用車両だけありさすがに閉鎖されています。
車内です。レッドトレインらしく、座席モケットも赤色となっていますね。で、やはりこの車両が「保存車」ではなく「休憩用車両」たる明らかなポイントが左側に・・。
デッキとの仕切りです。地方ローカル線の特徴は「朝夕激混み昼ガラガラ」、来る時は来るラッシュに耐えうるよう仕切り扉が両開きとなっております。
トイレを有する側の仕切りです。さすがに片開きとなっていますが、最大限開けるよう壁の一部が凹ませてあり、仕切り扉の持ち手が収まるようになっています。考えたものですね・・。そう言えば、ロングシート上にあった吊り革が撤去されています。多分にぶら下がり防止のためと思われます。
天井です。元々非冷房で登場した同車ですが、右側に家庭用エアコンが取り付けられています。吹き出し横には「霧ヶ峰」の文字、もうそろそろこんな霧ヶ峰は嫌だなぁと思う年代モノ、次交換される時には自然な形のものがいいなぁ、と期待しています。冷房設置の関係で、こちら側の荷棚は撤去されています。
窓です。二段窓で、日除けもフリーストップ式のものが残されています。なお、下段はツマミが撤去され開かないようになっています。止まっているとは言え転落の危険性がありますもんね。
座席です。見切れていますが、この座席の根元近くにある蓋は蒸気暖房の調整をするためのものだそうです。今のフツーの若者には「蒸気暖房」なんて言っても通じません。ましてや私も生で体験したことはありません。現在、真岡鉄道の「SLもおか」で実際に使われているようですね。近々乗りにいきましょうかね。
座席はキハ40でも見られる国鉄フレームのボックスシートです。窓側の足元には気動車ばりに配管が張り出しており窮屈な思いをしそうです。なお、座席周りは現役当時のままとなっており、テーブルの類はありません。休憩用車両としては飲食物の置き場がないのが何だかなぁとは思いますが、現役当時のままで残っているのもある程度「保存車」としての存在価値を見出しているのかもしれません。
続いてロングシートです。恐らく6人掛けなのですが、背ズリは3×2、座面については2×3+謎のスペーサーとなっています。国鉄らしからぬ計算ミスなような気がしてなりません(^^;; それとも、どこか違うところから持ってきたのでしょうか。
こちらは2+3の5人掛けです。ええ、ここはピッタリとなっています。
トイレ横の3人掛けです。さすがに灰皿は撤去されていますね。