「國鐵廣嶋」や「ボロは西へ」などの迷言が生まれた、JR西日本広島地区。国鉄時代から関東圏で使用された車両の行き着く場所であり、JR化後も近畿地区や岡山地区の国鉄型車両の流転先としてJR世代の在来線電車が1両たりとも存在していなかったこの地に2015年、遂に待望の新車が登場しました。
広島に舞い降りた紅の翼、227系で、國鐵廣嶋の歴史に終止符を打った記念碑的存在の車両です。2015年3月のダイヤ改正で運用を開始し、山陽本線で復活した快速「シティライナー」や呉線直通の快速「安芸路ライナー」を中心に、山陽本線福山-岩国間、呉線、可部線で運用されています。運転開始当初は配備両数の関係もあって運転両数の削減を強いられていましたが、同年7月に車両が増備されたために増結や運用増加が図られています。今なお絶賛増備中で、試運転列車に出くわすことも多々あります。車両が増える度に増結される運用が増えていくと思われますので、今しばらくの辛抱ですね。
こちらがその快速シティライナーです。この快速列車、広島シティネットワーク内の速達運用が主体で、ネットワーク外(特に東側)への遠距離運用は各駅に停車する普通列車が引き続き担っているため、18きっぱーとしては使いにくい列車かもしれません。広島で休憩して岩国よりも西側へ向かう分には合わせ易い列車ではありますが・・。
快速表示もこの通り。せっかくのフルカラーLEDなんですから、シティライナーや安芸路ライナーなどの文字を交互に出すなどすればいいのになぁとも思うのです。
221系以来、JR西日本の新型車両は種別表示を幕、行き先表示を3色LED表示機としてきたのですが、この系列からこれらを一体化の上フルカラーLED表示機としています。ちなみに画像は1日1本のみ早朝に運転される由宇行きです。
広島地区初のステンレス車体で、ステッカー貼り付けで華を添えます。国鉄型車両が軒並み末期色もとい濃黄色にされていたことから新車もそれを踏襲したデザインになるかと思われたのですが、厳島神社や広島県木である紅葉、広島東洋カープなどの広島らしさをイメージした赤を使用しています。また前面貫通扉には「広島シティネットワーク」のロゴマークが張り付けられています。
「Red Wing」という愛称があります。由来は「前面に設置されたままとなっている転落防止幌が翼を広げているように見えることから」だそうな。幌を付けっぱなしにしている時点で不格好に見えるものですが、アイデアで乗り切ろうということなのでしょう。何であれモノは言い様、この辺りの発想はさすが広島支社らしいと思います。
あき亀山にて。可部線の終点で、全国のJRで初めて一度廃線となった路線の復活事例となりました。
車内です。内装に関しても赤を推していることが分かるかと思います。
ドアです。化粧板が貼られたドアはこれまた広島地区初ですね。注意喚起のため、ドアの端は黄色となっています。
半自動機構も装備しており、車内には開閉両方のボタンが設置されています。
外側にも「あける」のボタンが設置されています。
ドア上にはLED表示機が設置されています。何気に広島地区では初めての採用ですが、LCDディスプレイではないのですね・・。その下には開閉ランプが設置されています。走行中消灯、開閉時は点滅、開いているときは点灯という具合で、225系と同じパターンとなっています。そうそう、ドアチャイムも設置されていますが、アーバンネットワークのJR世代車と比べると音程が少し異なっています。
車端部です。仕切り扉は最近の傾向通り化粧板が省略されています。
車椅子スペースを有する車端部です。左側に窓が開けられていますが、戸袋窓となっています。逆にするべきだと思うのですが・・。
そして優先座席を有する車端部。印象が少し異なりますね。
トイレを有する車端部です。何気にバリエーション豊かですね(^^;;
最前面です。仕切り扉はこちらも最近JR西日本で流行の引き戸式となっています。貫通構造となっており、併結時は通り抜けが可能です。この辺り、アーバンネットワークでも見習って欲しいなぁと…。
併結時の通り抜けも可能で、その様子がこちら。車掌台側は開放されており、混雑時は重宝しそうです。
運転台です。表示は全てLED画面のグラスコックピット化されていますが、その表示がアナログとなっているのが面白いですね(笑)
天井です。ラインデリアが目立たないようになっています。つり革はこれまた広島地区では初採用、黄色で径が太いものです。でもね、やっぱり無いんだ、照明カバー・・。521系の3次車には付いていて、227系には付けない、この辺りの線引きがよく分かんねぇよJR西日本…。207系体質改善工事車もカバーが省略されたことから、JR西日本もカバーを廃止する方向に向かっているのかもしれません。照明はこちらも広島では初登場のLED灯ですが、207系リニューアル車のように反射式ではなく、蛍光灯タイプの直接式となっています。
窓です。225系と同じ窓配置で、ドアに近い窓が中型、中央が大型の窓となっています。日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプです。
座席です。まずはクロスシートから。 転換クロスシートです。モケットは外観同様、広島のイメージカラーである赤色のブロックパターンとなっています。125系やキハ122・127など、赤色系統の座席もそれなりに種類がありますね。
座り心地自体は先に搭載された115系と変わらず、平板チックで体に馴染み難いものです。また窓割りは一応合ってはいますが、柱の部分は眺望に難が出る上に、画像右側の席では窓の桟に腕を置くと柱が食い込みます。安全上太くしているのは承知ですが、もう少しドア側に寄せれば多少は軽減されるのではないかと思います。
ドア横は固定クロスシートです。
転換する必要が無いため、こちらの方が座面は作りこまれた感じがします。それでも背ズリが見るからに薄そうですが見た目通りです(笑)
クロスシートの優先座席です。ヘッドレストカバーの上部を緑色にして、右上に4つのピクトグラムを配しています。
ここは座席モケットにピクトグラムを散りばめる暴挙には(伝統的に)出ていません。
ドア横にはこちらも広島では初登場、補助椅子が設置されています。
相変わらず大穴が空いたものです。金輪際背ズリが出てくる補助椅子は登場しないのでしょうねぇ・・。
で、たまにその気になれば補助椅子が設置できそうな部分であるにも関わらず腰当だけが設置された区画もあったり・・。
車端部の4人掛けロングシートです。321系と同様のカンチレバーシート(片持ち式とも。壁で座席を支え、通路側に柱などが無い状態の座席を言う)で、相変わらず硬くて薄っぺらいです。広島から数駅程度であればまだ耐えられますね。袖仕切りは大型の板となっており、内側にはモケットが貼られています。
優先座席です。ピクトグラムを散りばめたJR西日本共通のものです。壁になっている側の妻面には立ち上がりの際に捕まることを想定した手すりが設置されています。
車椅子スペースです。握り棒と非常通話装置、埋め込み式のヒーターが設置されています。何気にセノハチを筆頭とした広島の山奥は冷え込んだりするのでありがたいですね。
トイレです。大型円筒形のバリアフリータイプとなっています。
その向かい側も車椅子スペースとなっています。