JR東海というと真っ先に「新幹線」を思い浮かべる方が多いと思います。そりゃあ収益の大部分が東海道新幹線から来ているわけで、在来線なんてオマケ程度にしか思われていないというウワサがあったりなかったり…。そんなJR東海道新幹線のオマケ、在来線特急電車のフラッグシップとして活躍するのが383系です。
足回りは振り子仕様、名古屋-長野間の「しなの」を主に活躍し、一部列車は名古屋-中津川間の「ホームライナー中津川」としても運用されます。かつては名古屋-長野間の夜行急行「ちくま」や名古屋-中津川間の「セントラルライナー」の一部にも使用されましたが、いずれも姿を消してしまいましたね・・。ちなみに大阪-長野間で運転されていた「しなの」9号と16号の1往復は、定期の昼行在来線特急列車では最長距離を走破していた列車で、JR西日本・JR東海・JR東日本と3社の路線に跨がって走行していました。2016年3月のダイヤ改正で大阪-名古屋間が廃止され、「しなの」は全列車が名古屋-長野間の運転となりました。
名古屋方先頭車と増結編成は貫通型となっています。よーく見てみると、完全なる切妻じゃなかったり・・。
基本・増結両編成がトップナンバーと言うのは珍しいのでしょうか。
それでは参りましょう、デッキドアです。モノトーンなデザインはいかにも実用性本位を追い求めるJR東海らしいです。
ゴミ箱は飲料系とその他で分別されています。
バリアフリー対応車両のドアです。幅が広く取られています。
その横にはこのようなフリースペースがあります。かつては車内販売の対面販売カウンターだったようですが、今や車内販売そのものが無くなってしまっています。
その向かいには公衆電話跡があります。他の車両と違い、下部が台になっていないので携帯電話の通話スペースとしても使えません。まぁ先程の対面販売カウンター跡がその代わりになるのでしょうね。
自動販売機です。割と種類は豊富な方です。
トイレです。この辺りの色使いもかなり地味です。中は和式となっており、一般区画で洋式トイレが普及し出すのはもう少し先になりますね。
洗面台です。在来線特急用車両でこの構成は共通化されているように思います。
普通車車内です。同時期に登場していた300系新幹線とカラーコードが揃えられています。
デッキ仕切りです。LED表示機の配置が限りなく300系ですねぇ。仕切り扉はセンサー式の自動扉となっています。
最前面です。普通車故一両につきドアが二ヶ所あるため、最前列でもデッキを挟むことになります。「ワイドビュー」の冠フレーズを被せてしまったので仕方なく仕切り窓を設置した感がありますね(苦笑)
中間の連結面です。導線は微妙に斜めとなっています。
そうそう、ローレル賞も受賞してるんですね。
天井です。照明はカバー付きの蛍光灯です。カバーが大きくなっており明るいですね。
座席です。回転リクライニングシート、色調はグレートーンでビジネスライクな印象です。似たような座席として、JR北海道のキハ283系の自由席車やその座席を転用したキハ183系が存在します。
座り心地は特に悪いものではなくこれと言った不満点はありませんが、周りの組み付けにJR東海の悪いクセが。「振り子車両」に必要不可欠な低重心と「ワイドビュー」という窓の大きさの両方を実現したツケとして、窓側の肘掛に肘を置くと、窓の下辺を広げたテーブルが見事に腕に直撃します。この悪いクセは、その後登場する700系新幹線でもヤラかしてしまうこととなります。全く反省してませんね。
後述する車椅子対応座席の直後の通路側はシートバックテーブルが存在しないため、インアームテーブルが増設されています。2号車に設定されており、名古屋方面行きの場合はインアームテーブル・シートバックテーブルの2枚のテーブルを使用することが出来ます。長野方面行きの場合はやはり落ち着かない席となるので、特に指定がなければ最後の方で発券がされるのだとか。ちなみに窓は2席に一枚の割り当てで、奇数列が名古屋方面、偶数列が長野方面でワイドビューを得ることが出来ます。
足元にはバータイプのフットレストが備わります。一応画像のように固定することもできるのですが、一部座席ではメンテが追いついていないようで跳ね上がってしまう席もちらほら存在します。
車椅子対応座席です。肘掛けには固定用具が備わります。
リクライニングの図。肘掛けは乗り移りを考慮して跳ね上げることが出来ます。
デッキ仕切りには、荷物置き場が存在します。奥の方に、何やら折りたたみ式のテーブルのようなものがありますが・・。
これをセットすると二段式の荷物置き場に早変わりします。木曽は雪深い場所、スキー場も多いのでデフォルトの倒した状態はスキー板を置くことを想定したのでしょうか。
続いてグリーン車です。まずはデッキから、大型の洋式トイレが備わります。
向かいには男性小用トイレがあります。扉は開き戸になっており、トイレは横向きに設置されています。ええ、ただでさえ振り子を利かせた暴力的なコーナリングをするこの列車、左カーブを曲がろうもんならバランスを崩してそのまま通路へドロップアウトです(実際にやらかした、私)。この辺りは内側からロック出来る様にするなどの改善を切実に求めている被害者です。
そして洗面台。この辺りはあまり変わりません。
あ、投入年次によっては照明の形状が異なっていたり。
さてグリーン車の車内です。1両丸まるグリーン車で2+2の4列配置なのは、純粋な在来線車両では珍しい気がします。え、最近JR東日本では増えているって?あちらは安かろう悪かろうの妥協デフレグリーン車でしょうよ・・。
デッキ仕切りです。普通車より若干仕切り扉の色が明るいかなぁ、と言った程度、それ以外は変わりません。
最前面です。「ワイドビュー」と呼ぶからにはこれがないと始まらないですね、パノラマタイプとなっています。・・誰ですか、「うちの方がよっぽどワイドビューだ!」なんて言ってる会社は(^^;;
で、こちらは4両編成に存在する貫通型グリーン車の最前面です。普通車とは異なりデッキを挟まないとは言え、10時打ちなり何なりしてやっとこさ取った最前列でこれだと、非貫通先頭車を考えるとかなりのショックとなることでしょう。加えて基本編成と付属編成との走行距離調整のため、それなりの確率で遭遇するんだとか・・。
二度目ですが併結時はこんな感じで通り抜け可能です。車掌台側はロープで仕切られています。
天井です。一部蛍光灯カバーを暖色系にしている以外は普通車と大きく変わりません。この辺りは照明で大きく差を付けないJR東海らしいな、と。
窓です。2席に1枚の割り当てとなっているのは普通席と同様です。
そうそう、荷棚下には読書灯が設置されています。方向固定式で、角度の調整は出来ません。
座席です。振り子運転中の移動に対応するためか、ヘッドレスト後ろにある大きな持ち手が特徴です。
付帯設備は角度可変式・土足/土足禁止の両面を備えたフットレスト、シートバックテーブル・インアームテーブルなのですが・・インアームテーブルを出し忘れてますね・・。何でかって言い訳すると、グリーン車にしてこのサイドアームレストの普通車並の貧弱さ、全席2+2の4列かつ座面幅を広く取ったしわ寄せの結果こうなったわけですが、こんなのにインアームテーブルが収まっているとは思えなかったのです(^^;; 振り子車両の命、重心のバランス取りと名古屋-長野間の都市間輸送需要を考慮し定員を最大限に取りたいという気持ちは分からないでもないですが、残念ながらグリーン車の肘掛け部門でのゆったり感はゼロと見えてしまいます。
こちらは違う編成、微妙に色合いが異なっております。というわけでインアームテーブルも出してみました。せめてもの救いは4列ながら大型の座席・・と言いたい所ですが、いくら「ワイドビュー」でもこれだけ座席を大きくしてしまうと展望もへったくれもありません。実際問題、前面展望のワイドビューを得られるのは最前列のみ、2列目以降は完全にお察し下さいの状態です。3列目くらいまでの通路側であれば辛うじて身体を通路へ振ると見れるかもしれませんが、グリーン車でやるような体勢ではないですよねー。座り心地はグリーン車だけあって十分なクッション性、どっしりと身体を預けることが出来る造りになっているのはJR東海のグリーン車の良さであると思います。
デッキ仕切り際のテーブルは一部折りたたみ式です。駅弁辺りを広げないのであれば、無理に展開する必要もありません。
そしてその奥には荷物スペースがあります。
普通車と同様二段式にも出来ます。
後期に導入された編成では電灯が追加されています。少し薄暗いですもんね。
最後に振り子車両恒例の裾絞り。あまり大きく絞り込んではいませんね。