大阪-鳥取・倉吉間で陰陽連絡特急の一翼を担っている「スーパーはくと」。青い流線型の車体に、電車並みの高加速・130km/h運転を可能にした大出力エンジンを搭載したバケモノ気動車として有名ですね。振り子の車体傾斜装置も積んでおり、中国山地のカーブ・勾配をもろともせずにズンズンと突っ走る姿は非常にアグレッシブでファンも多数存在します。
よくJR西日本のグッズにも登場する同車、実はJR西日本の車両ではなく、途中で経由する智頭急行の所有です。 形式名はHOT7000系、Hは兵庫、Oは岡山、Tは鳥取から来ています。
一部には、鳥取県出身の漫画家、谷口ジローさんのサインなどがデザインされた編成がいましたっけ。
貫通型の先頭車も3両存在しており、増結時に重宝されているようです。そうでなくとも、よく指定席車として連結されて時折泣きを見る人がいるそうな(笑)
乗務員室扉背後には智頭急行のロゴが。
行先表示などは3色LEDとなっています。この「増(まし)2号車」というのが実にユニークですね。北海道ではたまに見られるようですが・・。
お、トップナンバー。運用は大阪-鳥取・倉吉間の特急「スーパーはくと」の限定運用となっています。それにしても、よく考えると「スーパーはくと」の名前が強そうです。それこそサメに負けなさそうですし、毛皮を剥ぎ取られることもなかったでしょうに…。
デッキドアです。プラグドアとなっており、窓も比較的大きく取られています。
ドア上には開閉時に点滅するランプが設置されています。
20周年なんですね、おめでとうございます。
洗面台です。ごくごくベーシックな装いですね。
車内です。まずは鳥取方先頭車の自由席から。一度リニューアルが行われており、座席のモケットや床などに、鳥取砂丘をイメージした模様を採用しています。
最前面です。お近くを走る「やくも」では2両しかいないパノラマ(しかもグリーン)車ですが、スーパーはくとでは鳥取・倉吉方面の場合、非貫通車両に当たると自由席でもこのようなダイナミックな前面展望を楽しむことが出来ます。貫通型車両が来た時は・・泣いてください(笑)
天井です。半間接照明となっています。荷棚は奥側が透明になっており、荷物の様子を確認することが出来ます。
座席です。こちらは後期に増備された車両の座席で、形状は683系0番台普通席と同様となっています。テーブルもシートバック/サイドアームの2種類が装備されています。
違ったところと言えば、従来車に合わせてバーレストが備わっていることでしょうか。座り心地はいいと思いますよ、683系0番台のソレで程よいフッティングですから。多少リクライニングをしてやる方が快適なのも同様です。
こちらは登場当初からの車両。100系新幹線の後期に導入された普通席とほぼ同様の座席を使用しているそうな。違うところと言えば、振り子動作による通行の安全を確保するために手すりが付けられていることでしょうか。それぞれ別の3編成に乗車したのですが、降車間際に車内を見渡して1両しか見つけることが出来ませんでした。おかげで座席の画像を撮りそびれてしまいました・・。そんなに後期車ばっかりに当たるものですかね? もしかすると、リニューアルに際して後期増備車の座席に改座された車両がいるのかもしれません。
続いて指定席車のデッキへと参りましょう。ドアです。指定席車に関しては、壁の下部に木目調の化粧板を貼り付けています。
ええ、グッドデザイン賞をもらっているようですね。自由席車はあまり変わってないというのに・・。
くずもの入れもしっかり完備。地味に消火器が隣に収納されていますが、いくらなんでも地味すぎやしませんか?(笑)
トイレもこの通り。構成は変わっていません。
洗面台です。リニューアルのテーマに「地産池消」を掲げており、陶器には因州焼き、上部の照明のカバーには、因州和紙を使用しているそうです。因州和紙は、浅草寺雷門の大提灯にも使用されている伝統工芸品です。
通話スペースです。かつては公衆電話が設置されていましたが、きれいにリニューアルされていますね。
デッキを見渡すとこんな感じ。田舎の古民家を連想させるイメージですね。
それでは指定席車の車内です。座席が改座されていますね。なお、どのタイミングかは分かりませんが中間車は全てこのタイプになっており、自由席でも2号車であればこの車両に当たることになりそうです。
デッキとの仕切りです。仕切り扉の窓も因州和紙を挟んだものになっています。モニターも埋め込み式から壁掛け式になっています。相変わらず夜間は使われていませんが・・。
車椅子対応車両では、仕切り扉が両開きとなり幅が広げられています。
窓です。日除けが横引き式から、中央にカーテンレールを増設の上フリーストップ式のロールカーテンとしています。日射の状況に合わせて自由に位置を変えられると言う実用的なメリットがある一方で、ドアレール設置により視界の連続性が途切れたと言うこと、特急用車両の体裁として横引き式で存置された自由席の方がみてくれがいいという逆転現象も生じています。
座席です。どこかで見たことあるなぁと思ったら、JR四国8000系 の指定席に採用されていた座席に酷似しているんですね。シートバックのウッドシェルがそれを表しています。付帯設備で見ると、自由席の初期導入車とはこれと言った格差はありませんが、後期導入車と比べるとサイドアームテーブルが無いという下克上状態。何ともまぁ・・。
JR四国8000系と同じくバーレストが設置されているのに加え、この系列では布製のドリンクホルダーも設置されています。振り子動作を考えるとテーブル上に飲み物を置くとちょいと危なっかしいと考えたようですが、布製で安定性が悪いのと、バーレストを足から離すと見事にドリンクホルダー下部にクリーンヒットします。中々そんな人はいないと思いますが、もし飲み物が並々入っている状態でキャップを開けたまんまでそれをすれば・・こぼれますよねぇ、中身・・。設計・組み付け段階で一発で分かるくらいの超凡ミス。布製だからぶつけてもいいってもんじゃないでしょうに。
バーレスト根元には細い棒のようなものが出ています。これはバーレスト引き下げのときにこれをキックダウンすれば下がりますよ、と。使用はお好みでどうぞ。
車椅子対応の1人掛けです。
リクライニングの図。座り心地ですが、JR四国8000系と比べるとクッションのヤワさは軽減されているように感じましたが、やっぱり前例通りと言いましょうか、座面・背ズリの共にしっかり落ち着くポジションが無いに等しいため、着席直後から既に違和感です。柔らかければいいってもんじゃないでしょうに。
デッキ仕切り際の座席のテーブルは1枚ものの固定テーブルとなっています。バーレストのユニットも忘れずに設置されています。
現在HOT7000系は二度目のリニューアルが行われており、窓側にコンセントが増設された車両も存在します。
ヘッドレストリネンは、沿線ゆかりのものが描かれています。画像は宮本武蔵のシルエットですね。
貫通型先頭車の乗務員室直後は展望構造になっていないものの、「S席」と呼ばれるセミコンパートメント席が存在します。
反対側は1列の2人掛け。座り心地は見た目通りのソファ調となっています。
中間に入るとこんな感じ。車掌台側には入れるような入れないような・・。
元々モノクラス編成として登場したスーパーはくと、連日の盛況による増結とニーズに答えて半室ながらグリーン車が導入されました。普通席の増結はもう半分の指定席区画となっています。スーパーはくとの先頭車両が普通席となっているのは実はそういった経緯があるためでして、登場当初からグリーン車が連結されていれば、確実に両先頭どちらかがそのクラスとなっていたでしょうね。
仕切り部分です。濃い木目調となっています。
座席です。初期の普通席と同じく、フレーム自体は順当に100系新幹線電車のグリーン席を使用しています。
1人掛けです。リニューアルに際し、普通席に合わせるようにモケットが砂丘柄になっています。料金が発生するからには、普通席とは色調を変えるべきだとは思うのですが・・。
全展開の図。座り心地は「新幹線史上最も(費用対効果的に)豪華な伝説の列車」と謳われた100系新幹線のグリーン席と同じ座席を使っているだけに良質なものです。が、付帯設備が「?」。本家100系グリーン席には付いていた、オーディオユニット、インアームテーブル、フットレスト・・これら3つが全て抜け落ちています。リニューアル前の様子を取り上げている方がおられるのですが、その画像を見る限りでは前述の付帯設備は全て整っています。オーディオユニットは時代の流れからしてともかく、結果的に残ったのはシートバックテーブルオンリー、ユーリティで見れば普通車指定席はおろか自由席よりも酷いという状況です。しかもフットレストについては撤去したところを板でビス留めして塞ぐというお手抜き処置、もう完全に仇、リニューアルにも関わらず仇。
壁際は固定式のテーブルと網袋が備わります。普通車と比べると幅は若干広くなっており、個別で使えるようになっています。で、やっぱりフットレスト、無いんですよねぇ・・。
1人掛けの壁にはコンセントが設置されています。しかし、なぜ1人掛け側だけなんでしょうねぇ?