中央東線では高速化のため平成初期より制御振り子方式のE351系を導入して速達型列車である「スーパーあずさ」に使用してきましたが、制御振り子方式とは言え乗り物酔いする乗客が多発したことと、車両自体の老朽化も気になり始めたこともあり、「あずさ」系統に新型特急型車両を導入する形となりました。
E353系、2018年より「スーパーあずさ」として運用を開始し、全てのE351系を置き換えています。今後E257系についても全てこの系列で置き換える予定で、「あずさ」や「かいじ」もこの系列で統一される見込みです。
それにしても、このクリーチャーじみた前面のインパクトたるや中々のものですね。9+3の12両編成、前面はどの先頭車も貫通仕様に見えますが普段先頭に立っている車両は全て非貫通構造なんだそうな。
ロゴは側面にもあります。字面的に両側を揃えたくなったんでしょうねぇ(笑)
行き先表示はフルカラーLEDタイプ、英字が妙に凝っているのはJR東日本ではお馴染みです。
それでは参りましょう、デッキはドアからです。ドア自体は白い化粧板ですが、周りはブラックの木目調で固めています。この辺りはE657系と同じ色使いとなっていますね。
くずもの入れは飲料系とその他で分別しています。
トイレです。こちらは共用タイプで、洋式トイレとなっています。
向かい側には洗面台と男性小用トイレが配置されています。男性小用トイレは折戸式、カーブでガツンと揺れても通路へ放り出されることはありません。
洗面台です。蛇口・液体石鹸ともに自動化されています。新幹線とは異なりジェットタオルは無いのですね…。
バリアフリー対応トイレです。円筒形の最近よく見るタイプ、中にはベビーベッドなどもあります。開閉はボタンによる自動式、開閉には少々時間がかかります。
トイレ横は通路になっています。広告枠もありますが、特に何も入っていませんね…。広告枠下のガードは、車内販売だんじりによるアタックをブロックするためのものなのでしょうね。
奥にはうなぎの寝床的に男性小用トイレがあります。
併結時の乗務員室です。こちらにもやはりガードが貼られています。
さてようやく車内です。こちらは普通車で、上部を白、下部を黒、その真ん中をブルーとしてグラデーション感を感じさせるデザインとなっています。決して悪いとは思いませんが、工業デザイナーが手掛けるとどうしても「私がデザインしたこの作品を見て!」みたいなアピールが入ってくるよねぇ、と思わずにはいられません。
デッキとの仕切りです。仕切り扉は全面ガラス、衝突防止のため横方向にラインが入っています。情報案内はフルカラーLED、この辺りは最近登場した特急型車両ではお馴染みのアイテムですね。
車端部です。仕切り扉が窓の小さいタイプになっており、視覚的に出口が無いことをアピールしていますが、伝わっているかどうかは…(笑)
天井です。照明の造形はE257系と同じようにスリット入りのカバーとなっております。光源がLEDとなり、通路側は余計にリクライニングすると光が直撃するようになりました。LEDになったのですから、そろそろスリットにアクリルなり挟んではいかがでしょうか。
荷棚にはE351系からもはや伝統とも言える冷房の吹き出し口が設置されています。単なるこだわりではなく、突然使用感を変えるとお客様が戸惑うという配慮もあるのでしょうね。で、その右側には不穏なランプ…ついにこの系統でも始まるんでしょうかねぇ、常磐線とは違って快速が遠方まで行く訳じゃないのでやめといた方がいいと思いますが…。
座席です。先述の通り背ズリ上部の青は梓川のうねりをイメージさせるものですね。基本的な構造はE657系を踏襲したものとなっています。
車体傾斜装置搭載はあまり関係ない話だと思いますが、やっぱり座席を窓側に寄せすぎです。窓側で肘をアームレストに置くと窓枠にガツーンと…。センターアームレストが長くなっているのは窓側と通路側を明確に区別するためのものかと思いますが、サイドアームレストが短い可能性も否定できず…。
車椅子対応座席前の2人掛けではシートバックテーブルが無いためセンターアームレストに収納式のテーブルが入れられています。その関係でセンターアームレストが壁となっているため両者が明確に分けられており一人あたりの座面幅は担保されていますが、テーブル出す時両者が他人だったら気まずいですよねぇ、その辺りはご理解とご協力を強制するスタンスなのでしょう…。
車椅子対応の1人掛けです。そうそう、一般席のコンセントはE657系では肘掛け先端にありましたが、この系列では座席背面の基部へ移動しています。こうなると、窓側から乗降やトイレなどによる移動時にコードを引っ掛けてしまう可能性があるので決してファインな場所とも言えないんですね。
リクライニングの図。なおこの座席や壁際の座席については肘掛け下にコンセントが付いています。座り心地はやはり硬め基調、ヘッドレストピローにより頭部分はラクですが、「硬め=疲れにくい」という実態に合っていない考え方もいかがなものかと(逆も然りですが…)。
一部車両には荷物置き場があります。インバウンド需要でやたらデカい荷物を持ち込む客が多くなったための装備と言えるでしょう。
続いてはグリーン車です。E657系に続いて車両の半分近くを客室外スペースに充てています。
多目的室です。普段施錠されているのはいつものことです。奥には荷物置き場が配置されています。
トイレです。普通車と基本は同じですね。
違うことと言えば、AEDが設置されていることですかね。
グリーン車内です。カラーコードこそ反対の色を用いて雰囲気を変えていますが、座席だけで見れば普通席比でのショボさが際立ちます。
デッキとの仕切りです。グリーン車らしく仕切り扉に窓は無く、小さくグリーンマークが入れられています。
天井です。照明は天板の色以外普通車と何が違うの、と言いたいです。普通車ならまだ解せますが、夜間の窓側の暗さを認識していないのか読書灯までどこかへすっぽ抜くお手抜きさ、内外の各シーンごとのシミュレーションをグリーンとして出来ていないんじゃない?
窓です。普通車と変わらないよねぇ、ええ…。
座席です。需要的には1+2の3列配置で1両分が必要なところ、普通車の座席増のためトイレなどの客室外スペースをグリーン車へ持ってきていると想像します。その結果が2+2の4列配置というこの座席が出来上がるのでしょうね。
普通車と同様、壁際の座席だけはコンセントが肘掛け下に付いています。都合、この状態では一人あたりのコンセントは2つになるということですね。車端になるので揺れもひとしおですが…。なお、テーブルは前方方向へスライド可能です。N700系辺りで初採用されたこの機構、シートバックテーブルを採用した車両では軒並み見ることが出来るものとなりましたね。
背面を見ると、通常パターンの座席にあるコンセントとバーレストが見えますが、グリーン車にしてバーレストというお手抜きさへの憤りは置いといて、跳ね上げ式バーレストにしてこの位置にコンセントを持ってくるのは本当に悪意と悲劇しか無いと思うのです。バーレストに足を載せた状態でコンセントさして、その足をバーレストから離したらコンセントへの接触、引き抜け、最悪断線に至ることが容易に想像付くでしょうに。
窓側の肘掛けを見ると、ええグリーン車にしてこのゆとりの無さ、肘掛けに肘を置けば上腕が窓枠直撃です。オマケにその肘掛けも普通車と何ら変わらない幅と来たもんだ。
壁際の座席はオフィスシートとしてテーブルの面積が広くなっています。
車椅子対応座席前はやはりインアームテーブルが備わっています。逆向きの場合、指定はラストプライオリティにあるのでしょうね。座り心地は普通車との対比なのか適度なクッション性をもった柔らかさかと思います。
車椅子対応の1人掛けです。主たる利用者のため普段は発券ブロックが掛けられていますが、唯一のグリーン車らしい1人掛けブロックにしてデッキ仕切り際で一番両台車から遠い席だけに揺れないんですよねぇ、一番快適な席が発券ブロックというのもどうなのかと…。
全展開の図。肘掛けが一般座席よりも貧弱感と跳ね上げ部のジャム感があまり誉められないなぁと…。
コンセントは肘掛け下です。
グリーン車は普通車と色が異なるヘッドレストカバーとなっています。
車両の開発に当たっては、空気バネ式にしたことにより振り子車両のような「ゆらゆら」が無くなっているなと感じました。また傾斜角度を緩めたことで全体的な揺れ自体もかなりおさえ目になっています。車体傾斜のタイミングについてかなり血眼になって調整したとのこと…。ですが、それでもE351系では感じられなかったトップスピードでカーブに突入した時のガツンと来る横方向へのショックは、JR四国8600系でも感じられた空気バネ式で共通するものかと思います。もうちょっと何とかならんかねぇ…。