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Channel: 車内観察日記
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近鉄16200系

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近年相次いで登場している観光列車、大手私鉄でも趣向を凝らした観光列車が登場しています。関西で古くから有料特急列車を運転している近鉄、各方面から伊勢志摩方面へと走る標準軌用の50000系「しまかぜ」は連日満席に近い乗車率を誇り、土日祝日ともなると未だにプラチナチケット化する程の人気を見せています。

 

一方の狭軌で互換性が無い南大阪・吉野線系統、「さくらライナー」というフラッグシップこそ存在しているものの、観光色を全面的に出した列車が存在していなかったため、新たな観光特急を誕生させるに至りました。

 

沿線の名所や魅力に溶け合いながら快走する様を"交響曲"に見立てた観光列車、「青の交響曲」です。貫通扉にレリーフが付けられています。英字でも「観光特急」と書かれていますね(笑)

 

標準軌路線程の投資効果が無いと判断されたか(苦笑)、既存車両の改造により仕立てられた列車となります。しかも車両を見て分かる通りまさかの通勤電車、6200系を改造して10,000を追加するという一聞すれば暴挙にしか聞こえない荒業ですが、実はかなりポテンシャルの高い改造となっています、また後述しましょう。外から見てもかつてあった3/4のドアはきれいに消えてますね。

 

連結面にはミュージックホーンが仕込まれており、起終点駅進入時やドア扱い時にハイドンの交響曲101番「時計」の第2楽章が流れます。アイデアとしてはJR九州の「海幸山幸」やJR四国の「四国まんなか千年ものがたり」と同じですね。

 

駅の行き先案内についても、専用の表示がなされています。さくらライナーですら他の特急と同じく赤地に白文字なのに…(笑)

 

英文字もこの通り。斜字にして速そうです。所要時間が長くない南大阪・吉野線を経路としている関係で、運転日は1日2往復の設定となっています。

 

吉野駅のパタパタにも入っています。ここだけ後から追加されたためか、この列車だけ行き先の表示が「大阪阿部野橋」となっていますね(笑)

 

ドア配置が特殊なためか、ホームには乗車位置ステッカーが貼られています。行灯式の乗車目標はあるものの明確なドア位置が分からない近鉄だけに、珍しく乗車位置が分かる列車とも言えます。

 

まずはデッキ、ドアです。両開きとはなっていますが、位置は元々この場所ではなく車端部方向へ寄せられたものとなっています。そうまでして両開きにする必要性は「?」ですが、そのデザインが特急型車両らしく細い窓になっています。

 

ドア横には通勤電車時代そのままに握り棒が付いていますが、こちらもオシャレなデザインで仕立てられています。

 

天井には飾り照明が付いています。奥に見える飾りにはさりげなく桜があしらわれているのが、何とも乙ではありませんか。やるな近鉄…。

 

ドア横にはくずもの入れと、青の交響曲の観光パンフレットがセットされています。連結面の仕切り扉は中央に小さい窓があるのみ、デザインも工夫されております。

 

トイレです。バリアフリー対応の大型トイレで、近年近鉄特急ではよく見かけるものですね。中にはベビーベッドも備えています。

 

男性小用トイレです。扉は横引き式、スペースは広くありません。広くなくて問題ないのですが(笑)

 

洗面台です。鏡面に照明を仕込んでおり、近鉄というよりJR西日本っぽいかも。しまかぜやリニューアルACEでは蛇口・石鹸・ジェットタオルがセットになったものでしたが、こちらでは蛇口と石鹸が個別に配置されたよくあるタイプになっています。ただ陶器が平凡なものではなく若干芸術品っぽくなっているのは観光列車としての意地でしょうか。

 

それでは車内へ参りましょう。木目調の化粧板に飾り照明が目を引く、パッと見で日本離れしたヨーロピアンテイストなデザインとなっています。こちらは1号車で、左手前に車椅子対応座席があります。なお、「青の交響曲」は全車デラックスシート扱いとなっています。料金は「さくらライナー」のデラックスシートと同額となっています。1から新造した「しまかぜ」は独立した「しまかぜ車両料金」よりも費用は抑えられているはずなので、この料金設定に落ち着いたんでしょうね。

 

一方のこちらは3号車。こちらは車掌さんから明確に「団体専用車両」と放送されており、窓口やネット予約では販売されない車両となっています。ということは、3両編成のうち一般客が手に出来る座席は1号車のみ、そりゃあ平日ならともかく休日は取れんわな…。

 

デッキとの仕切りです。こちらは3号車、座席配置が2+1なので、それに合わせて仕切り扉が配置されています。デザインは先に紹介した連結面の仕切り扉と同一ですね。

 

1号車のデッキ仕切りです。車椅子の通り抜けを考慮し両開きとなっています。実は座席配置も3号車とは異なっています。

 

最前面です。通勤電車の面影はどこへやら、すっかり特急列車らしいデザインに変わっています。前面展望こそ出来ませんが…。

 

天井です。三角形の蛍光灯カバーは無くなり、LEDタイプのスポットライトに変わっています。ラインデリアも無くなっていますが、特急型車両には無粋ですね。

 

窓です。全て固定窓となり、かつてドアがあった部分についてもきれいに窓に変わっています。日除けは横引き式のカーテンとなっています。

 

窓間の柱には飾り照明が設置されています。メインとなるスポットライトだけでは照度不足となるために付いたものなのでしょう。

 

それでは座席へと参りましょう。座席は回転リクライニングシートとボックスシートが混在した、ちょっと日本離れした配置となっています。こちらは片側2人掛けの席です。

 

まずは回転リクライニングシートから。欧米諸国と違うところは、2人掛け席が固定式ではないことですね。この当たりは非常に日本という国を考えてのことでしょう。というかそこまで考えなくとも回転することは前提としてあったと思いますが(笑)

 

そして4人掛けボックスシート。「サロン席」と名付けられており、これは「伊勢志摩ライナー」と同様ですね。この座席、1号車は2区画、3号車は3区画が用意されています。そう、ここの区画は全て元ドアがあった部分に配置されています。こうすることにより、回転リクライニングシートとしてしまうとどうしても元戸袋で柱の幅が広くなってしまう修行席を潰しているのですね。近鉄恐るべし、観光列車を開発する同業各社もしかと目に焼き付けろと言いたいレベル。

 

1号車の衝立手前にある座席はテーブルが広くなったオフィスシート区画となっています。デラックスシートとしてはリクライニング量が絞り気味でセンターアームレストも広くないですが、裾絞りの無い狭幅車体故、頑張れるところまでは頑張ったと見るべきでしょう。

 

続いて片側1列の席へと参りましょう。

 

回転リクライニングシートの1人掛けです。回転リクライニングシート区画は元々窓だった席に2列ずつ配置されています。

 

リクライニングの図。座り心地としては、縦方向に線というか、筋が入るというような、人によっては謎でやや不快な座り心地かもしれません(少なくとも私は違和感しかなかった)。

 

背面はこんな感じで、網ポケットには車内販売のメニューが入っています。シートバックテーブルには青の交響曲のロゴが入っています。

 

窓側にはコンセントが備えられています。2人掛けでも一口だけですので、ほぼ窓側席専用ですね。

 

そして「ツイン席」と呼ばれる2人組ボックスシート。座席自体はリクライニングシートと同様ですが、固定式のため回転レバーが無く、背ズリはやや倒した状態でセットされています。

 

ツイン席・サロン席には大型のテーブルが備わっており、窓側にはこのような飾り照明が設置されています。車内販売のメニューも窓側に立て掛けられています。

 

で、お一人様利用者にたまらない席がここ。座席種別上は他と同様デラックスシートなのですが、固定座席な上やや斜めにセットされており、ボックス席のようにややリクライニングした状態となっています。

 

コーナーを埋めるように固定テーブルも備わっており、ちょっとした引きこもりの書斎感覚。3号車は駅で指定できず、座席は固定式のため進行方向を向けるのは大阪阿部野橋行きの2本、1日合計2席しか発売されない争奪戦必至の超プラチナチケットとなります。

 

続いて1号車に設定された車椅子対応座席です。この席、普段は発券ブロックが掛けられており、ある一定条件を満たさねばチケットを取ることが出来ません。吉野行きでその条件を満たした健常者のお客様がおられました。なんたる幸運…。

 

リクライニングの図。両側にテーブルが付いていることから、インアームテーブルはありません。また、この席はコンセントもありませんね。

 

続いては中間に連結された2号車へ参りましょう。ラウンジカーとなっており、定員0人のフリースペースとなっております。

 

車内です。欧米のホテルのロビーをイメージしただけあり、落ち着いた大人の雰囲気が漂います。

 

デッキとの仕切りです。手前の席には通路へ誘導させるためのディバイダがあります。

 

号車表示から車番に至るまで、専用のデザインが用いられています。こう言うのも特別な空間を作り上げる上では必要なものなんですよねぇ。

 

天井です。間接照明に中央と壁に追加された飾り照明、よく見ると近鉄勝利の方程式ですよ本当に。

 

窓です。わざと小さくしてあるのは、提供される軽食やスイーツを楽しんでもらうためか、長居を防ぐためか…。

 

座席です。窓側はロングシート、通路側はソファシートが並びます。しまかぜとは異なり一応フリースペースですが、優先されるべきは車内販売を利用する者ですし、長居は非常に迷惑となりますので自重願います。

 

車内販売カウンター手前にある4人組テーブルです。そそ、床は大理石調となっています。

 

大阪阿部野橋方にある車内販売スペースです。こちらもホテルのフロント風となっており、テーブル下の壁にはクッションが貼られています。

 

ビールサーバーが整っており、車内で生ビールを飲むことが出来ます。

 

奥の棚は柄が入ったガラスで囲われており、照明が入れられています。いやあれですね、近鉄から言わせれば、「Barだとか文字を入れるのは我々の行く道ではない」ということなのでしょうか、そんなことせずとも伝えるぞ、と。

 

奥には車内販売で提供されるドリンクや軽食を返却するスペースとなっています。飲み残しのドリンクを捨てられる他、くずものもここで処理出来ます。トレーは置いておけば壁の向こう側にいるアテンダントさんが扉を開けて回収してくれます。

 

車端部です。ラウンジ区画から漏れた埋め合わせ感がすごいですが(^^;;

 

左側には本棚があります。デザインは工夫されていますね。

 

で、向かい側にはベンチ状のロングシートが設置されています。何気にヒーターまで備わっているのでは…?

 

さて、車内販売にも少し触れておきましょう。先程のカウンターではアルコールやソフトドリンク、軽食、スイーツの販売を行っています。こちらはサンドイッチとコーヒーのセットで、サンドイッチは味もおいしく小腹を満たすつもりがかなり満足してしまいました(笑)

 

付けてくれるおしぼりは厚手のしっかりしたもの、柄も吉野方面への特急を意識したか桜柄、かなり雰囲気出てるじゃないですか…。

 

またドリンクでは梨のハイボールなるものや、柿の葉寿司まで販売されています(※画像はイメージ、実物と異なる場合があります)。

 

ひとつ気になった点としては、正直4両編成でもよかったのではないかとも思うのです。先述の通り実質2両の座席車のうち、1両は団体専用となっており指定席は1両のみ、おのずと競争率も高くなります。また一番の問題は臨時のスジでもなく定期列車を置き換えて設定していることで、ちょっとした短区間利用や行楽利用で事前予約していない利用者が「特急」への乗車機会に恵まれないのは決して良いことではないと思うのです。平日ならともかく、休日であればレギュラーシート車くらい連結すればいいのに、と要らぬ心配をした余所者でございました。

 

 


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