東北新幹線が320km/h運転を開始した後、必ず最速便と併結する秋田方面の「こまち」にも新型車両が登場しました。
E6系、E5系譲りの長いノーズのため定員が減少することからさりげなく1両追加された7両編成となっています。それにしても、先代のE3系はカッコ良さの中に愛嬌を秘めた文字通り「秋田小町」然とした顔だったのですが、…うん、なまはげですね、なまはげ。
側面は思ったよりもモノトーン、雪の田沢湖線や奥羽本線では同化してしまいそうです。それはそうと、この車両は半分近くが非客室スペースとなっていますね。
それでは参りましょう、デッキはドアからです。E5系ではやたらと生々しい色使いだったのですが、この系列ではかなり大人しくなった気がします。
くずもの入れです。なぜだかドアから角を曲がった部分に設置されています。
トイレです。こちらは男女共用ですね。
で、特に案内はされていませんが荷物置き場らしき穴があります。ご丁寧にセーフティバーもありますし…。
バリアフリー対応トイレです。中にはベビーベッドも備わります。
男性小用トイレです。まぁそんなに広く無いですよねぇ…。
多目的室です。他の列車群と同様、通常は施錠されています。利用の際は車掌さんにお声掛け下さい。
洗面台です。水、石鹸液、乾燥を一度に出来るタイプですね。
AEDです。もしもの備えとして最近は増えてきました。
そしてスマホ全盛期のこの時代にも残りました公衆電話。
さて車内です。米所秋田らしく、稲穂に分け入る高揚感をイメージしているとのこと。
デッキとの仕切りです。仕切り扉の窓には稲穂が描かれています。フルカラーLED表示機の横幅はやはり短めですね。
荷物置き場が設置された車端部です。また後程ご紹介しましょう。
天井です。照明はカバー付き、2本にひとつ仕切りのような板が入っているのがアクセントでしょうか。E5系のような妙なカーブの造形はありません。
座席です。先述の通り、座席モケットは稲穂をイメージしたものです。ヘッドレストピローは今やJR東日本の特急型車両ではマストアイテムとなっていますね。
E3系では登場当初は自由席があり、指定席との間でシートピッチに違いを設けてささやかな格差としていたため、全席指定席化後に同じ指定席でありながらシートピッチに違いがあるという理不尽な状況でした。この系列では当初から全席指定席が前提のため、シートピッチは全席で揃えられています。なお、窓下にはコンセントが一口設置されています。
バリアフリー対応席後ろはシートバックテーブルが使えないためサイドアームテーブルが仕込まれています。シートピッチはE3系時代の指定席と同等ですが、盛岡まで併結するE5系が1,000mmを越えるピッチとなった今、ちょっとした格差を感じずにはいられません。
バリアフリー対応の1人掛けです。
全展開の図。E5系よりも厚めの背ズリを見るに「クッションもそれなりに入っているだろう」と少し期待するところではありますでしょう? だがしかし残念(苦笑)、背ズリは見た目によらずかなりハードです。また在来線直通ということで横幅が狭く2列×2の4列配置ですがバケット強めのこの座席ではどうしても窮屈に感じてしまいます。盛岡を基準点に乗車(または降車)する程度であればまぁまだ、と思えますが、基準点を超えての乗車となるほど疲労が二次関数的に増大する勢いです。
荷物置き場です。上下段ともにセーフティバーが設置されています。在来線直通なだけにカーブを考えると必要な装備ではありますね、向かい側は座席ですし…。
続いてはグリーン車です。需要を考えるとグランクラスは無いですわね(笑)
デッキ、ドアです。ドア幅は車椅子利用を想定して広めになっています。
荷物置き場です。デッキにあるのは少しセキュリティに不安が無いでもありません。
グリーン車の車内です。色調こそ変わっていますが、横4列の座席が並ぶそれは「普通車と何が違うの?」と言われても仕方が無いような気がします。
デッキとの仕切りです。普通車と異なり窓が無く、最近のJR東日本の特急型車両らしいですね。仕切り扉の木目調は、白神山地のブナをイメージしているのだとか。
天井です。造形自体は普通車と変わらず、カバーが電球色になっています。
荷棚下には読書灯が備わります。うん、この辺りは在来線チック。
座席です。水色のヘッドレストリネンがアクセントですね。表地としては中央をモケット、両側を革張りとしており、実用的な部分とデザイン的な部分を両立したものとなっています。
テーブルはシートバック式とインアーム式の両面仕様、足元にはレッグレストが備わります。レッグレストは電動式で動きがやや鈍重なのは相変わらずです。
シートバックテーブルはスライド式です。最近よく見かけるようになったとは言え、まだまだ隠し機能感がしています。
センターアームレストにはリクライニングボタン、レッグレストの操作ボタン、コンセントが備わります。
回転はペダル式、2席に1箇所飾り照明が仕込まれています。
で、このグリーン車、肘掛けの幅がかなり細く作られており、それこそ「普通車と何が違うんだ?」と疑問に思うところ。オマケにこの壁への寄せ様、そりゃあ在来線直通なだけに車体幅が狭いからこうしないとダメだったんだろうけど、グリーン車にしてこんな窮屈な配置はまぁ普通なら有り得ません。座席幅も広いかと言われれば、正直体感としては普通車とそんなに変わりませんよ?(笑)
デッキ側にある1人掛けです。空間の使い方としては、通路向き固定の関係で窓側から少し離して設置されている関係で2人掛けのような窮屈感は有りません。しかし、車椅子利用者前提のため普段は発券ブロックが掛けられています。私はとあるタイミングで券売機を操作したところ、ブロックが解除されており何事もなく指定をしましたが…。
リクライニングの図。普通席のハードな座り心地はグリーン席との格差設定のためでないかと勘繰りたくなるくらいには悪くは有りません。ただ電動式レッグレストを仕込むための強度の関係なのか、座面先端はややクッションが薄めな気がします。
壁際には大型テーブルとカップホルダーが設置されています。毛布はセルフサービス、数に限りがありますのでご利用はお早めに。
秋田新幹線、新幹線なのに山中断崖絶壁を徐行で走行し下道の車に追い抜かされる田沢湖線や、複線を逆走するアクロバティック走行をしながら普通電車を追い抜く奥羽本線と、これまで乗ってきた新幹線のイメージを大きく覆す面白い路線でした。なお、この編成はE6系のトップナンバーでして、グリーン席の読書灯が荷棚ではなく座席に取り付けられた(E6系としては)特異な編成となっております。乗ろうと思えば乗れたのですが、特急料金をケチって普通電車で秋田へ向かっていると峰吉川でぶち抜かれました…(苦笑)