「鮮魚」、全国でもここでしか見られない珍種別ですが、実態としては近鉄で日曜日以外毎日運転される貸切の団体臨時列車のようなものですね。
鮮魚列車に使用されるのは、見た目はどこにでもいる顔の通勤電車ですが、塗装は全く異なります。
フル近鉄マルーンレッドの塗装は今やこの編成しか見られないものですね。
前面には白い2本の帯を入れています。
形式は2680系、塗装だけでなく形式としても1本しか存在しない珍しい系列です。
鮮魚列車専用とも言えるので側面の方向幕は埋められています。なお「伊勢志摩魚行商組合連合会」による貸切列車のため、一般客は乗車が出来ません。
この系列、一般客が乗れない以外にもマニアック過ぎるレアな部分が2点あります。まず1つ目は近鉄一般車初の冷房搭載車両であることと、世界初の高速ダブルデッカー車、初代ビスタカー10000系の走行機器を流用している点です。私は10000系を知らない世代ですが、やはり世界初の高速ダブルデッカー車と言われれば思いを馳せたくもなるものです(笑) 走行機器だけ見れば還暦を越えており、今後どこまで走り続けられるでしょうか…。
車内です。「気になる」「乗ってみたい」という皆様にお届けします、そーんなに他の一般車と変わりません(^^;;
ドアです。他の一般車と異なる点としては、広告が一切入れられていないことですね。行商の人たちしか乗らないので、広告を入れても効果がほぼほぼ無いからなんでしょうね。
車端部です。この時期の近鉄らしく両側で奥行きの長さが異なっています。こちらは長い方となります。かつてボックスシートが搭載されていたからなんでしょうが、妻窓は無く閉鎖的です。
こちらが短い方、トイレが設置された車端部です。2610系辺りとそう変わりませんね。
最前面です。こちらもかつてボックスシートがあったためか仕切り扉はかなり小さく設置位置は高めです。
天井です。立ち席が出ないことから吊革は支持棒を含めて全て撤去されています。吊り広告も無いため特急型車両並みにスッキリとしています。荷棚は網棚、最近では見かけなくなってきました。なお冷房はさすがに効きがイマイチなところはありまして、乗車率が低くても寒くなることはありません。
窓です。一段下降窓で、日除けはロールカーテンタイプです。金具は窓下1つのみで、「うりゃあっ」と引き降ろして引っ掛けるのみとなります。
座席です。ドア間は7人掛けとなります。モケットは一昔前まではよく見られた単色のもので、近年進行著しい貼り替えは実施されていません。
車端部の6人掛けです。色褪せ具合を見るに時折モケットは交換はされているようで、他編成の貼り替えによる発生品か、使われなくなったものの流用か…。なお鮮魚列車運用中は行商の方がここで一眠りすることもあるそうです。貸切ですかやC寝台をしても誰も何も言いません、実はロングシートで横になるとかなり眠れるんだそうな(シリーズ21はそうもいかないでしょうが)。
車端部の3人掛けです。モケットは優先座席ですが、優先対象者は恐らく乗ってこないでしょうし、それほどまでに混むこともありません。
最前面の3人掛けです。2610系同様背ズリに角度が付けられ座面も奥行きが大きいものを利用して長距離乗車に配慮しています。
トイレ前のボックスシートです。こちらも優先座席のモケットとなっていますが、その用途で活躍することは無さそうです。というか、行商の方たちも先述の通りロングシートを使うケースの方が多いと思うので、このボックスシートの人による使用頻度もあまり高くは無さそうです。
トイレです。中は和式です。この扉、加減速で開かないように錘が付いておりまして、開けるためにはやや力を入れる必要があります。
「お手洗い」のプレート。なんだか少しオシャレです。
で、使用知らせ灯は「化粧室」という不統一…。
さて、普段は行商の方しか乗れない2680系も貸切さえすればその他の方でも乗車は可能でして、鮮魚列車運用が無い日曜日に時折旅行会社による貸切運転が年に数回行われます。
今回、運良く鮮魚列車の貸切ツアーに参加することが出来ました。貸切ツアーのいいところは普段とは異なる経路で運転がされることですね。
というわけで、「なぜお前がこんなところに?」な湯の山温泉での1枚。
普通列車と並びました。かつて京都線用車両であった1010系で、拡幅車体のため印象が異なりますね。なお幕が破れかかっていますが、翌日の鮮魚運用では白幕で行先系統板を付けての運転となったようです…。
ツアー中は車内でお弁当が振る舞われます。鮮魚列車らしくちらし寿司ですね。
続いてやって来たのは明星駅。ツアー参加者は全員当駅で下車です。
その後歩いて到着したのは明星検車区です。
門を入るとさっそく検測車「はかるくん」がお出迎え。普段からこの位置にいるんですかね?
しばらくすると、今度は団体用車両の「楽」が出庫していきました。
近鉄にはいくつか「中々乗れない」列車がありますが、この編成もそんな中の1本ですね。今回は本当に団体臨時列車が運転されていたようで…。
そうそう、ダブルデッカーなのでこの編成も「ビスタカー」の一員ですね。
そうこうしていると準備が整ったようなので、車庫線へと向かいます。
で主役の登場とともに始まりました撮影会。白昼に全体をストンと撮影出来ることもそうありません。
近鉄陣営の計らいでライトの点灯パターンを時間により変えて…いるわけではありません、ライトがLED化されているようで、連写すると切れてしまうことがありますので遊んでみました(^^;;
シュリーレン台車をアップで。正直ボルスタレス台車よりも乗り心地はいいと感じている私です。最近はフルアクティブサスペンションにより、随分と揺れも抑えられるようになりましたが…。
近鉄独特の転落防止幌。「幌」と言っていいのか微妙ですが…。
さて、最後に様々なポジションからのショットをダイジェストでどうぞ。