山形新幹線も世代交代を果たして久しいですね。初代新在直通用車両として登場した400系を置き換えたのは、E3系をマイナーチェンジした2000番台です。
外観で異なるのはライトで、1000番台と異なり少しだけ柔らかい印象ですね。そうそう、塗装がかつてのシルバーをベースにしたものからホワイトに藍色や赤・オレンジのグラデーションを加えたものとなりました。意訳しすぎの解釈ですと山形県知事の鶴の一声でこうなったそうですが、非常に派手になりましたね…。
行き先表示はフルカラーLED表示機となりました。今回乗車したのは山形線のみを走る在来線特急「つばさ171号」で、普通車は全席自由席となっております。新幹線直通ではこの15号車は指定席として運転されますが、この列車では珍しい「自由席」表示が見られます。
編成には山形の春夏秋冬を表すイラストロゴが入っています。かつての"つばさ"ロゴ、かっこよかったのですが…。そうそう、山形新幹線も高速化のために後継のE8系の製造が決まっていますね。このグループの先行きもそう長くは無さそうです。
それでは参りましょう、ますは普通車のデッキドアからです。1枚引き戸、裾絞りが在来線直通の証ですね。
くずもの入れは連結面付近にあります。乗り降りの妨げにならないように考えたのでしょうか。
トイレです。中は洋式、ベビーベッドも備わります。またこの番台区分では中に着替え用の収納式ステップも備わっており、中で更衣も可能です。
男性小用トイレは相変わらずの狭さです。奥は洗面台となっています。
洗面台をクローズアップ。鏡は1枚ものです。
1000番台から引き続き水、液体石鹸、乾燥が一体となっているタイプですが、それなりに時間が経ったこともあり今時見られる一体的でスッキリしたタイプとなりました。
荷物置き場です。この辺りは1000番台と変わらず、デッキに有ります。やっぱりちょっと心配ですよねぇ、在来線区間は頻繁にドアが開きますし…。なお長尺物も置けるようにバンドがあります。山形県、蔵王などスキー場も有名ですね。
公衆電話です。最近は使い方を知らない世代も出ていると聞きますが、もしもの時は使えた方がいいと思いますよねぇ、奥羽本線の山間区間が気になりますが…。
そして最近の新幹線らしくAEDも完備されています。普段は開けるなよ、絶対に開けるなよ。
普通車の車内です。この番台区分ではカラーコードだけでなく、普段自由席車として運用される山形・新庄方2両のシートピッチが指定席車に揃えられており、料金による格差も解消されています。編成あたりの着席定員は8名減ですが…。
デッキとの仕切りです。木目調は1000番台と変わりませんが、色はモノカラーとなりました。旅客案内はフルカラーLED表示機へと進化しています。
バリアフリー対応車両の仕切り扉に関しても一般車両と同じ幅とされています。
天井です。間接照明は変わりませんが、形状が少し変化していますね。
この番台区分では荷棚下に読書灯が追加されています。窓側が暗くなりがちだった間接照明の欠点を良く潰していますね。
窓です。最高速度は1000番台から変わらないため、面積は大きく取られています。
座席です。こちらについても1000番台からマイナーチェンジを図っています。なお、前述の通り自由席と指定席の接客設備水準が揃えられているため、座席モケットはこの1パターンのみとなります。
1000番台の座面スライド機構がついたリクライニングシートをベースにして、ヘッドレスト両側の張り出しを大きくしたタイプとしています。E257系辺りから使われ続けたこのタイプの座席については、このスタイルが最終形となるのでしょうね。以降登場する車両に関しては、ヘッドレストピローを装備した全く異なるスタイルで登場しています。
車椅子対応座席手前に関してはシートバックテーブルが無くなるため、インアームテーブルを備えています。形状自体は1000番台から変わりませんね。
車椅子対応座席の1人掛けです。
リクライニングの図。座り心地は1000番台と大きく変わりませんが、モケットがゴワゴワしたものになっています。冬場の車内の居住性を考慮したものでしょうか。
そうそう、窓側には全席にコンセントが設置されています。これも1000番台から大きく変わったところですね。
壁際の座席はオフィスシートとなっており、コンセントも両側に設置されています。
続いてグリーン車へ参りましょう。1000番台から引き続き若干色調が異なっています。
ここのデッキのくずもの入れのみ、少し飛び出たものとなっています。
普通車に共通しますが、ドア横の一部壁は鏡面仕上げとなっており、降車前に身だしなみを整えることが出来るようになっています。
そして手すりを見ると…さくらんぼのデザインが入れられています。かわいいですね(^^)
トイレはバリアフリー対応で、1000番台とは異なり通路がややクランクしています。車椅子の取り回しを考慮して少し変えたんでしょうね。
多目的室です。普段は施錠されておりますので、利用の際は車掌さんにお声掛け下さい。
男性小用トイレです。こちらは普通席と変わりません。
洗面台はこちらも車椅子利用を想定し、カーテンが大回りに仕切られるようになっています。
さて車内です。在来線並みの横幅にも関わらず着席定員稼ぎの姑息な4列シートは今更として、カラーコード自体は1000番台から変わっていません。
デッキとの仕切りです。こちらは大きく変わりませんね。普通車同様、LED表示機がフルカラータイプになったくらい。
最前面との仕切りも同じく、そのまま。
昨今新幹線でのセキュリティが叫ばれる世の中ですが、防犯カメラが設置されています。
天井です。照明の色調以外は普通車と変わりません。
読書灯も普通車と同一、付いているだけ偉いですが、グリーン車くらい照射角度を変えられるものにしてやれよ、とも思わなくはありません。
窓です。面積の広さはともかく、ダメなところはあるもので…それはまた後程。
座席です。普通席とは異なり、1000番台からモデルチェンジしたものが搭載されています。
決定的に違うのは、フットレストが廃され代わりにレッグレストが付いたとこ。フットレストと違って土足で汚されるリスクが低いからなんでしょう。電動式で、やはり安全性を考慮してか動きは鈍いですね…。
で、先程は省略しましたが、サイドアームレストを見ると…どう、この寄せ過ぎっぷり。サイドアームレストの細くて頼りないのも大概ですが、これだけ寄せると窓枠が腕に直撃します。ゆとりと安息を提供すべきアッパークラスのはずがこの不快感、通路幅を確保しなければならないのでこれだけ寄せたなら、窓枠形状を工夫して肘周りに余裕を作るなどの配慮くらいは欲しいものですね。ただでさえ在来線規格にして新幹線並みの着席定員を確保しようなんて無謀にしてケチ臭い策に出た結果が、これ‥。
コンセントはセンターアームレスト先端に付いています。この辺りは大体の新幹線に共通した位置になりますね。このセンターアームレストも、グリーンにしてこの問題作るか、な肘掛け戦争が起きそうな勢いの幅…。
車椅子対応の1人掛けです。詰め込み一辺倒な一般席と比べると、この座席は通路側への固定の関係からかやや通路側に寄せてセットされているため、肘掛けもちょっぴり余裕を持って使うことが出来ます。ただし、普段は発券ブロックが掛けられており、とあるタイミングにてブロックが解除されます。
全展開の図。山形・新庄行きではあまり問題はありませんが、東京行きではシートバックテーブルがイマイチ使いにくいです。インアームテーブルという苦し紛れのフォローは有りますが…。座り心地としては1000番台よりもやや硬めにシフトしましたが、クッションを詰めた良い意味での硬さだと思います。この辺りは上々なんです、肘掛けが全てを台無しにしていると言っても過言でないくらい。
オフィスシート区画はグリーン車にも存在します。コンセントは各席にあるため、テーブル部分には有りません。
最後に車内のご案内です。
昨今の普通車とグリーン車の格差の縮小傾向を見ると、この番台区分の編成はそのはしりとも言えるものかもしれません。普通車のグレードアップに関しては、利用数的割合から見た全体的な満足感は高いかもしれませんが、反比例して(E3系以降相変わらず?)グリーン車の質が落ちるのは余分にお金を出す側としては頂けないと共に、「高いカネだしてこんなもんか」とガックリさせられる点で庶民の夢も無いというものです(笑)