1988年に、阪急創立80周年を記念して製造された8000系です。 特徴としては前面の額縁形状でしょうか。メリハリのある前面になっています。しかしこの特徴が様々な顔を生む結果になろうとは、当時の中の人も想像できなかったでしょう・・過去にはアクセントとしてライトの上に反射板がついていましたが、後に撤去されています。
最近、炭化ケイ素を使った東芝製の新型VVVFインバータ、主電動機を永久磁石同期電動機(PMSM)に換装されています。本当に8001号車の静かさったらすごいです。聞こえてくるのはお隣の8601号車からのVVVF音(^^;;
こちらシングルアームパンタグラフに交換された8008Fです。なかなかイカす編成です。
8連固定編成が出揃った後、額縁形状に起因する風きり音が問題になってきました。
そこで、製造途中であった増結用編成で前面がくの字に変更されたものが登場しました。
この編成から阪急の伝統であった貫通扉の大きな車番は左上に移動してしまいました。
個人的には締りが無いようにみえるのであまり好きになれないです…
固定編成にも改造の波が。
右側は額縁形状を埋めて空気抵抗をへらしたもので、現在は8300系に残るのみとなりました。
左側は逆に額縁を削って空気抵抗を減らしたものです。ついでに車番が移動して小さくなりました。
この左側の顔が登場したときは「やらかしたな・・」と思いましたね。せっかくの8000系の端整な顔つきが台無しです。
この改造は8031号車と8003F、8020Fに施されています。
後に改造された8000Fと8001Fは、削る量が減らされ車番もそのままです(一番上の8000Fの画像参照)。
やはり、不評だったんでしょうね・・。8001号車に関しては以前は8102号車と同様に埋められていたのですが、最近になって元の姿に戻っています。運用は神戸線系では伊丹・今津南・甲陽各線以外の全ての運用、宝塚線系では基本的に全ての運用に就いています。能勢電鉄に特急日生エクスプレスとしても運用されます。
車内です。
こちらはロングシートです。
緑のアンゴラ山羊の毛を使用した座席、マホガニー調の化粧板は阪急の伝統です。
こちら8002F~8007Fの神宝寄り2両に存在するセミクロス車です。8003Fまでは神戸線、残りは宝塚線に存在します。
ロングシートばかりの神宝線(特に神戸線)、当たると少しラッキーですね(^^)
9000系では採用されずにオールロングシート車になってしまいました。神宝線最後のクロスシート車となってしまうのでしょうか…
ドアです。化粧板の色が濃くなければどれもさして変わりがないように見えてしまいます…
LED表示機などは設置されていません。
こちら、ドア横の手すりのアップです。大部分の車両はこのような形をしていますが・・
8620および8790号車に関しては、このような手すりとなっています。普段三宮方面へ向かうときは前から3両目に乗車しているのですが、8790号車のドア横に立ってこの手すりを持ち「アレ?」と思い撮影比較を行った次第。ちょうど8200系や8300系8315F、8040型などと製造時期が被っているためこのような仕様になっていると考えられます。
天井です。
カバーの掛けられた照明が関西を走る車両であることを証明(シャレじゃないよ)しています。
またラインデリアはなんと金色に塗られています。さすが阪急。セレブ電車を地で行きます。
こちらセミクロス車の天井です。登場時期が時期だけに、つり革はロングシート上とドア左右に短いものがあるだけです。
恐らく6300系の車内思想を受け継いでいるのでしょう、クロスシート上はつり革を設置しない意向があったのでしょうか。
最前面です。窓が大きく取られていて、前面展望に優れています。
背後には2人掛けのロングシートがあります。割と関西ではよく見かける配置ですね。
乗務員室扉と前面貫通扉が左右の窓よりも大きく取られているため、小さなお子様でも前面展望がしやすくなりました。
近鉄5200系
がベースになっているそうです。なるほど、確かに5200系もそうでしたね。
車端部その1。両側は5人掛けのロングシートです。
貫通扉は窓の大きなものです。高齢者のつまづき防止と、貫通路をトイレとして使われては困るとの考えだそうです。
この窓の大きな貫通扉は関西を中心に全国に広がっていきました。
車端部その2、車椅子スペースの設置されたものです。
ロングシートなら神宝寄り、セミクロス車なら両側に設置されています。
車椅子スペース側のロングシートは3人掛けになっています。
貫通路内には電灯が設置され、暗くなりがちな内部を照らしています。
7000系の途中から設置されたこの電灯、新型の9000系には設置されませんでした。
座席です。
まずロングシートから。2,3,5,8人掛けがあります。
座席下のヒーターを黒く塗ることで座席全体を引き締めた印象にしています。
アンゴラ山羊の毛を使用した座席は通常のモケットよりも触り心地がいいものです。
座り心地は、柔らかいです。この系列は他系列に比べて(いい意味で)座り心地が一味違う気がします。
欠点としては袖仕切り。肘掛として使うにはこの板の部分は少し低いですし、何よりパイプが邪魔です。
かと言ってパイプの上に肘を乗せると傾斜になっているのでなんか複雑な感じになります。
この欠点は、各リニューアル系列や9000系列では改善されています。
6300系の座席をこの時期に作るとこのようになっていたのでしょうか。
バケット形状になったこと、ヘッドレストが分離していること、通路側肘掛の外側にもモケットが貼られて重厚感が出たことなどの違いがあります。
引き継がれた点としては、ヘッドレストカバーが同じ材質でかけられていること、窓側に同様の肘掛が設置されていることですね。
6300系ではとにかくバウンズが強く安定しない印象がありましたが、8000系では座面はある程度の柔らかさですが、背ズリが少しスカスカな印象ですね。ヘッドレスト部分も少し硬めです。
また肘掛は6300系と同様のもの・・ そう、相変わらず小さいので肘を置くには少し無理があります(^^;;
なにやら欠点ばかり言っているような気がしますがもう一つ、窓配置がロングシート車から変えられていない(というより変えられない?)ので、窓割が合わずに展望が完全に死んでます。こればかりはどうしようもないんですが…
足元にはバーレストがありますが、座席下が埋まっているためどうも生かすことができていないように思います…
ドア横は固定クロスシートです。
転換クロスシートとの違いは、転換する必要が無いことから座面が広く取られていること、背ズリに比較的詰め物がしっかり入っていること、ドア横なので唯一窓割が合っていることなどですね。
固定クロスシート背面はモケット地のクッションが貼られています。
立ち席時には重宝します。割と快適ですよ、このクッション。
ですがこのくらいの空間ならば、補助椅子の設定もできたのではないでしょうか。
阪急ならばこのクッションとあわせて、なかなか上々な補助椅子を作ることができたかもしれません。
そこでこのように開閉のボタンが設置されています。
エアーによる昇降装置になっていて、実際に使ってみるとそのエアーの音を聞くこともできます。
さて、来年で8000Fが登場してから四半世紀になろうとしています。しかしながら特徴的なデザインと走りっぷりはまだまだ神宝線の主力車両として君臨することを約束されているようです。