車体長が短い首都圏の電車は、地方私鉄の近代化のためには欠かせない車両となっています。東京メトロの03系も、そんな車両のひとつです。
ここは日比谷線秋葉原駅でしょうか。いいえ、北鉄金沢駅です。日比谷線では21m車体の13000系導入により03系は全て引退しましたが、その引退車両を2本譲受して運行しています。帯色はシルバーからオレンジに変更しています。
系列名はメトロ時代の03系のまま、車番もそのままです。
メトロマークがあった部分は、北鉄のマークに変わっています。
北鉄入線に合わせて、前面にもパンタグラフが設置されています。
地上区間だと、こんな感じ。ローカル線へ旅立つと同時にシングルアームパンタグラフ化されるケースが多い中、菱形パンタグラフのままとなっています。割と近代的な見た目の03系に菱形の前パン、まだまだ見慣れません(^^;;
行き先表示はフルカラーLED化されています。なお引き続きパンタグラフの話ですが、先輩系列がまだまだ菱形パンタグラフなので、部品共通化の観点でもあるんでしょうね。
多少なりとも積雪がある路線らしく、スノープロウが増設されています。
そうそう、時間と駅限定ですがサイクルトレインも実施されています。混雑しない路線だからこそ、とも言えます。二次交通もチャリなので、エコと言えばエコ。
車内です。オリジナリティを残しながらも、ちょちょいと手を加えられた部分もあったり。見ていきましょう。
ドアです。中央のドアは特に変化が見えず、LED表示機もそのまま残されています。イエローラインを入れて、注意換気と引き込まれリスクの軽減を図っています。
車端部側のドアです。ワンマン運転時は入口となるため、整理券発行機が追加されています。
で、冬季の車内保温を考慮してか、半自動扱いにも出来るようです。内側には開閉両方のボタンが設置されており、何やらJR西日本で見られるタイプのボタンが設置されています。乗車したのは夏、換気の必要性もある中で、冬季は使用されるのでしょうか。
で、外側には「あける」のボタン。ゴツいネジで留めている一方、ステッカーで飾り付けているのはいいですね。
車端部です。かつては仕切り扉があったはずですが、2両ワンマン運転ということで通り抜けを考慮して撤去されています。優先座席は青色、一般座席と区別しています。
反対側の車端部です。こちらにはフリースペースが追加されています。そう言えば、妻窓は横幅が狭められています。
隅を見ますと、今は亡き(?)東急車輛のメーカーズプレートと、メトロ車両のステッカーが貼られています。
最前面です。仕切り扉・窓の配置は変わりませんが、ワンマン運転に必要な機器が追加されています。運賃箱付近は人が溜まらないようにするためか、蛍光色のチェーンが付いています。このチェーンの内側も、実質乗務員スペースということなのでしょう。
天井です。今では「こんなに必要か?」とも思える吊革の数はそのままです。照明は直管式のLED灯に交換されております。
窓です。かねてより地上区間の走行も多かったこともあってか、日除けが設置されています。窓も一部が開閉可能で、換気もしっかり出来ます。
座席です。エンジ色のモケット、溶接仕上げの荷棚、肘掛けと荷物の滑り落ち止めが一体となった袖仕切り、このセットは変わりません。立ち客との仕切りの棒にモケットを巻いている配慮も変わりません。程よい硬さのクッション性で、浅野川線の乗車時間ではちょうど良いでしょう。
フリースペースです。ヒーターや非常通話装置を備えております。ヒーターからは握り棒も伸びておりまして、ちょっとこのタイプは見慣れません。吊革はここもオレンジ、携帯電話・スマホの取り扱いには注意ですね。
それにしても、03系は地方私鉄にはちょうど良い平成生まれの掘り出し物車両な感じがします。右にいる先輩の7700系がそうであるように、これからも末永い活躍を期待します。