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Channel: 車内観察日記
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阪急 新2300系

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JR・京阪と三つ巴の戦いを演じている阪急京都線。1300系から10年ぶりとなる車両が2024年に登場しました。
 

2300系、1960年から2016年まで活躍した通勤電車、初代2300系から系列名を引き継ぎ、9300系からは約20年ぶりとなる特急用車両として運用を開始しました。
 

そうそう、特急用車両で言えばかつて3つ前の代として2800系というのもいましたが、この車番も中間車として復活しています。いずれもパンタ付きのM車ですね。
 
前面は先代の1000系列をベースに、前面窓の両端及び下部に角度を付け、下部の灯具はさらにシャープに、また標識灯の面積が増やされています。かなり目つきが悪くなりましたね(笑)窓に角度を付けたことで、見る角度によっては8000系列後期車のような角度が付いた前面のように見えます。
 
一方で尾灯はかなり面積が減らされています。まぁ、付いてさえいれば問題ないですもんね。
 

そうそう、前面のマルーンとアイボリーの塗り分けですが、アイボリーが前面窓上部をベースに弧を描くようなデザインになっています。1000系列は無理矢理ライト周りもアイボリーに塗っていましたが、こっちの方がスッキリしていて好きですね。あと、地味に阪急伝統、窓のアルミ押さえですが、上部のみ額縁のような水切りがあるんですね。これでメリハリが付くようになりましたね。


側面では7000系列以来となる、乗務員室とドアの間に小窓が無いスタイルとなりました。ちょっと間延びした感じがありますので、かつてのHマークのように何かアクセントがあるといいんですけどね。

 

この2300系では座席指定車「PRiVACE」が連結されましたが、それは別項に譲りましょう。まずは車内から、「新京阪だったから」と言わんばかりの京都線の伝統、セミクロスシートで登場しています。
 
ドアです。1000系列に準じたスタイルですが、防犯カメラが標準搭載されています。増設された車両と比べるとスッキリしていますね。開閉ランプは5000系リニューアル車からの伝統、両端の2灯配置となっています。
 
LCDディスプレイは相変わらず千鳥配置となっています。こちらも1000系列に準じた大型のもので、画面を目いっぱい使って旅客案内を行っています。ちなみに停車駅は見やすさと全駅収録を重視させるため、スクロールして案内しています。
 

車端部です。まずは一般座席の区画です。9300系では補助椅子付きのボックスシートが設置されていましたが、ロングシートに落ち着いたためクロスシート比率が低くなっています。まぁ、かつての2800系並みということでしょうか。
 

優先座席とフリースペースがセットになった区画です。この系列ではモケットと日除けの生地以外に、吊革のバンドをワインレッドに区別して視認させています。まぁ…うん、ワインレッドという色が、区別の一助になっているかと言われれば地味なのでイマイチ(苦笑)
 

指定席車、「PRiVACE」の隣の車両の区画です。仕切り扉にはこの先の立ち入りをご遠慮するステッカーが貼られています。妻窓はありますが、隣の車両に妻窓が無いため、少々閉鎖的かもしれません。その妻窓ですが、相変わらず戸袋にならない窓についても2枚仕立てにしているため、肘周りの余裕ゼロなのがいただけません。ここに余寸があると、座席の実質的な有効横幅が広がり、余裕が生まれるのです。メーカーが日立に変わった9300系から、ここは一向に改善されません。結露は防げているのでしょうが…。
 

京都河原町駅方先頭車の車端部です。フリースペースがまさかの片側全ての座席の設定を取り止めて拡大させています。いや、確かに使う方々にはありがたいかもですが、9000系列以降でもそれなりに広くなった方だったと思うのです。
 

そしてこちらは大阪梅田方先頭車。座席が優先座席になっています。
 
で、一番の物議を醸したのがここ、最前面です。これまで折り畳み式も含めて必ず乗務員室直後に座席が設置されてきたのですが、座席の設置を取り止め、モケットを貼った腰掛けを設置、また小窓を廃止、仕切りに関しても仕切り扉を右側に寄せて、仕切り窓を1枚配置しています。積み込むべき機器の増加などで乗務員室を広く取らないといけなくなったのでしょうが、これまでの阪急の伝統をすべてぶち壊し…。こんな調子なので、先頭車は車端部の座席も減っていることから着席定員が大幅に減少しています。阪急としても苦肉の策だったかもしれませんが、もう少し何とかならなかったのでしょうか。
 

天井です。1000系列から大きく変わらず、照明のカバーユニットの形状が異なるくらいでしょうか。しかし、名車6300系の後継として並々ならぬ気合で登場した9300系が塗装仕上げのラインデリア&半間接照明ととってもお金をかけたデザインで登場しただけに、1000系列とさして変わらないデザインで出て来たのは、阪急でも比較的別格とも言える特急用車両という立ち位置を考えると本当に残念です。
 
窓です。9300系では2枚窓にカーテンレールを入れていましたが、柱を2本に変更し、中央の大窓にカーテンレールを入れる方式に変更しています。JR西日本225系から始まるこの配置、近年はあちこちで見かけるようになりました。構造も同様で、ドアに近い小窓は開閉可能、中央の大窓は固定式です。日除けはフリーストップタイプのロールカーテンが備わります。生地の上部の織り方を変えることで、日除けを降ろしていても立ち客がうっすら景色を見えるようにしているのはお馴染みの配慮です。
 

座席です。まずはクロスシートから、9300系から続く1本足、またヘッドレストが分かれたシルエットです。握り棒が握りやすいように形状が変更されているほか、6300系で採用されていた段織りモケットをリスペクトしたモケットになっています。ただコピーでイメージデザインしているだけで、実際に段織りな訳ではありません。
 

転換クロスシートですが、9300系に引き続きエアーによる自動転換機構を搭載しています。ただ9300系は「ガターン」と大きな音を立てていましたが、この系列では空気圧を強めに設定しているのかその騒音がかなり軽減されています。手動転換でも、そのエアー音であったり、転換後はやや押し返してくるような感覚を体感出来ます。座面のポイントがやや高い気がしますが、ウレタン成形のクッションがしばらくすると沈み込んで来ると思いますので、その内ちょうどいい具合に沈んでくるでしょう。
 
ドア横の固定クロスシートです。こちらは転換の必要が無いことから、背ズリとヘッドレストが自然な角度で作られています。阪急のロングシートのイメージがありますと、やや硬めな座り心地に戸惑うかもしれません。乗車時間を考えると、必要十分とは言えます。
 
で、京都河原町方先頭車に初めて登場した、優先座席のクロスシートです。これも最前面の座席が消滅した影響ですね。
 
さて、肘掛けについて触れておきましょう。通路側については肘掛けの実質的な長さが延長されている一方で、横幅は使えない程ではないにせよ狭くなっています。また窓も9300系比で下辺が高くなってしまったため、今まである程度自然に肘を置けていたのに、この系列では脇が開いた状態での使用を強いられます。両側ともに、実際の使用感としては9300系の方がよかったかと思います。
 
ドア横、クロスシート背面のクッションです。阪急伝統のアンゴラ山羊の毛織物を使ったモケットだと思うのですが、このモケットと形状では少々滑りやすいのが難点です。8000系のような、腰掛けるというよりもたれかかるくらいに使う方がいいと思うんですよね、相性的に。
 
続いてロングシートです。座席自体は1300系とさほど変わらないものですが、付帯設備で言えば袖仕切りと座席間仕切りに変化が見られます。まずは袖仕切りですが、下部に板、上部に半透明のガラス、それを嵌めて固定する金属のパーツで構成されています。ガラス部分は1300系に比べると上方向に伸びているのはうれしい改良ですが、ガラスにしたばっかりに肘周りの余裕はほぼゼロ、座っている側が通常利用する場合のメリットはもたれかかるくらいしか使いようがありません。ここも先代の9300系のように、肘掛けと板がセットになったようなものだったらよかったのに…。このデメリットを代償に握り棒の長さを延長させており、より下部から握られるようになりました。
 
優先座席です。続いて座席間仕切りですが、9000系列、1000系列では肘掛けとしての機能も考慮されていたのですが、開放感に振り切って斜めに切り落ちた形状になりました。今まで、空いていれば従来の袖仕切りの使用感だったので重宝していたのですが…。あと、この座席間仕切りにも握り棒が付きまして、こちらも様々な人がどこかに掴めるように配慮されています。
 
向かい側のフリースペースとセットになった区画です。ここで「?」なのは座席の袖仕切り。5人掛け座席の袖仕切りのガラス部分を省略したようなデザインですが、統一的デザインを優先しすぎです。これ単品で見た時、座席に座ってる人はこの袖仕切りをどう使ったらいいのか全く意味が分からないと思うのです。急停車時、立ち客が倒れてこの袖仕切りの角に身体をブツけたら…とか考えられると、このデザインでは作らないと思うのです。先述の通り握り棒を延長出来たメリットはありますが、それ以上は無い機能性をこれ程捨ててまでデザインを優先する必要があったのでしょうか。
 

そしてついに座席が消えた先頭車のフリースペースです。フリースペースは握り棒、非常通話装置、車椅子固定用具が備わります。ようやく他社のような充実具合になってきたのは嬉しい限りです。握り棒については横方向2本仕立て、下段の握り棒の窓下区画には薄いながらもモケット張りのクッションが巻かれており、座席に座れないまでも、何も無しで立ちっぱなしよりは楽に過ごせると思います。今一歩、妻面にも同じようなものがあってもよかったと思うんですよね。あとそう言えば、1000系列にあった戸袋上部の握り棒は設置されませんでした。あまり使われてなかったのでしょうか(笑)

 

物議を醸した最前面のクッションです。固定クロスシート背面に設置されているものと同じ形状をしています。前面に目を向けると、窓の下辺が高いのでお子様の前面展望は非常に難しくなっています。せめて、小さいセミハイデッキでも作ってあげればよかったのに、とは思います。また仕切りには握り棒も無し、近隣(というか直通してくる66系も)に同じような構造で安全のために握り棒を設置した車両が多いのに、何を見て来てこうしたんでしょう…。

 
今後9300系で運転されている運用を、順次置き換えていく予定です。ちなみに走行音はトップスピードでの惰性走行でも抜群の静粛性を誇っております。揺れも少なく、足周りはかなりの進化を見せています。 

 

 

 

 

 


 

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