415系などの雑多な国鉄型車両の置き換えと、つくばエクスプレスとの対抗も兼ねて常磐線に導入されたのがE531系です。足回りは特急型車両と同等となっており、JR東日本の普通列車としては初の130km/h運転を行っています。
車内です。まずはロングシートから。一応近郊型電車ですが、209系に端を発する車内思想を(良くも悪くも)色濃く受け継いでいる印象です。
ドアです。無塗装のステンレス地のままで、注意喚起のためのイエローテープが貼られています。半自動機能も付いており、右側に開閉ボタンがあります。ドア上のLED表示機は二段式で、停車駅案内や、他線区の運行情報なども流す多機能型となっています。ですが横方向の表示数が少ないような・・。あ、「2段を繋げれば通常と同じ表示量」ですかそうですか(^^;; そして、表示機右側にはドアコックが設置されています。この位置にドアコックを持ってくると、操作可能な方を極端に制限してしまいそうな気がします(子どものイタズラなどは防げるとは言え)。
車端部です。仕切り扉もステンレス地のままです。
そして優先座席を有する車端部です。仕切り扉は風の通り抜けを防ぐ目的のみで設置されているようで、騒音防止はどこ吹く風、反対側は省略されています。「携帯電話の電源オフエリアだから、ちょっとうるさくしてやれ」と言った考えがあるような無いような(多分、無い)。大型袖仕切りで優先座席かどうかが判りにくいですが、つり革を黄色にして区別しています。
最前面です。中央に大型の窓があり、乗務員室との仕切り扉が右側に設置されています。左側にも扉の準備工事のようなものがありますが、衝突事故などが発生した際に、ここを外して救助ができる様になっているそうです。
天井です。この系列から、つり革が黒色で大型のものになりました。蛍光灯は剥ぎ出しのままで、やはり一部が抜き去られています。今後東京オリンピックも開催され、多くの外国人が乗車することも予測できる中、日本を代表する都市を走る車両として、このサービスレベルは如何なものかと思います。実際問題、夜や地下区間などでは程度の差こそあれ薄暗くなるのは明白であり、精神衛生の面でも決して良いとは言えません。今一度、「経費削減」のための節電なのか、「電力消費量を抑制するため、または環境問題に取り組む」ための節電なのかを考え直し、サービスレベルを落とさない節電に取り組んで欲しいと思います。
窓です。蛍光灯を抜き去る節電方法を採っているのはこの窓にも原因が。着色ガラスを用いており、日除けはありません。そのせいで、昼間の明るい時間帯に消灯すると全体的に薄暗くなってしまうため、あのような方法に至るのかと推測しています。結局こちらも経費削減・メンテ面など会社側の都合であり、お客様目線に立った設備とは到底言えません。
座席です。こちらは7人掛けです。袖仕切りは毎度お馴染み大型袖仕切りです。また2+3+2で区切るようにして、2本のポールが走っています。
優先座席セットの6人掛けです。優先座席の柄も、これまた東日本管内の車両に新旧問わず瞬く間に広がった背ズリが赤のストライプ、座面がグレーのものです。
先頭車両、乗務員室からドアを挟んだ直後にある4人掛けです。座り心地ですが、12年間耐え続けた乗客から遂に不満が出たのか(?)、E231系
と比べるとSバネを仕込んだだけあって改善はされているようにも見えます。技術と居住性の進化を見ることができますが、ソフト面を変えてもハード面がこれっぽっちも変わっていないので救いようがありません。
車端部は3人掛けです。画像は優先座席です。妻面には若干の余裕を持たせるために窪みが入れられています。が、「余裕」と言えるほどの余裕はありません。
続いてセミクロス車です。画像は先頭車のため、ロングシートも備えています。
トイレを有する車端部です。最近流行の車椅子対応の大型トイレです。向かい側は車椅子スペースとなっています。
クロスシートです。相変わらずのボックスシートです。このなんというか、フレームにモケットを貼り付けたように見える時点で、「沈み込み」という概念を木っ端微塵に粉砕する破壊力を持っていると言えます(笑) 通路側の肘掛はまさに「肘掛」としての機能しか持っていません。要するに、短い。
ヘッドレスト部分をアップで。よーく見ると、逆傾斜となっていることが分かると思います。このヘッドレスト、クッション性は皆無であり、ヘッドレスト上部に頭をぶつけると確実に怪我をします。決して身長が高くない(165cm)僕でも痛い思いをしていますし、このヘッドレストがしっくり来るのは小さなお子様だけなのではないでしょうか? 何をコンセプトとしてこのような造りになっているのか問いただしたい所です。これ以降にも同様の座席が出てきているだけに、メーカーも並々ならぬ意図と自信を持っておられるようですが、お世辞にも快適に座ってもらおうという気持ちは微塵も感じられません。
テーブルはありませんが、窓枠を広げてペットボトル程度なら置けるようになっています。北海道のキハ40形 を思い出しました。
クロスシート背後のロングシートです。大型袖仕切りも相まって引きこもり席の様相を呈しています。
ロングシートが設置できない区画に関しては、阪急8000系
のように背面にモケットが貼られています。この辺りの配慮って、これまで色々書いてきた上で、(良い意味で)JR東日本っぽくないかも(苦笑)
さて、E531系導入に際して、つくばエクスプレス開業により混雑も多少は緩和されたと判断したのか、グリーン車が導入されました。これまで散々書いた車内設備は、グリーン車誘導のための伏線なのではないかと本気で勘繰りたくもなる今日この頃。そして、50kmまでの自由席特急料金よりも高い料金をぼったくっている殿様商売がよく成り立つなと思うのは、首都圏よりも混雑率が低く、料金不要にして首都圏の普通車とグリーン車の中間程度のクオリティの車内環境で育ってきた関西人の弁です。そもそもの料金設定が、50km以上の利用を想定していると思われるので、ある意味妥当ではありますが・・。しっかし、なぜ平屋部を撮った、自分(T-T)
ドアです。片開きですが、ステンレス地のままなのは普通車と変わりません。
天井です。限界目一杯に広げています。当然ながら、荷棚はありません。
ちなみに蛍光灯は金属メッシュによるカバーとなっています。難燃性基準の強化によるものと思われます。んー・・。
座席上には、Suicaの読み取り機が設置されています。駅のグリーン券購入機での支払いが完了したSuicaや、モバイルSuicaをかざすと、赤色のランプが緑色に変わります。こういう技術面での設備の先進性には「おー」と思った田舎モンがここにいます(^^;;
仕切りにはLED表示機が設置されています。普通車同様、2段式のものです。
天井です。平天井となっているため、多少の圧迫感は否めません。
階上席と比べて採光性に難が出るためか、読書灯が追加されています。
そして車端部の平屋席です。占有面積的にはこちらに軍配が上がるため、狙って乗車する人も一定数いるようです。画像の3列席と、上に上げた2列席が存在します。
座席です。階上席のものを載せました。回転リクライニングシートとなっています。リクライニング角度はまずまず、シートバックテーブル装備など、料金を取る車両としての付帯設備はまずまずと言ったところ。その他をあげるとすれば、背ズリ上部にきのこのようなグリップがあること、背面に折り畳み式のコート掛とカップホルダー、傘や杖などをかけるためのゴムバンドがあることですね。
壁面に関しては折り畳みテーブルとなっています。特急型電車のように大荷重タイプではありませんし、コンセントもありません。普通列車としてはサービスレベルに限界があるのでしょうか。区間によっては自由席特急料金よりもお高くつくこともあるだけに、あってもいいようには思いますが・・。