5800系からのモデルチェンジ車として、引き続きL/C機構を搭載して登場したのが5820系です。奈良線と大阪線に所属しており、奈良線については阪神直通の快速急行から普通まで幅広く使用され、大阪線ではラッシュ時に五十鈴川までの快速急行などで使用されますが、日中は青山町駅以西の急行、榛原駅以西の準急・普通で使用される他は、トイレを備えている関係上団体用として車庫で待機していることが多いようです。何やらダイヤが乱れたときなどで、たまに名古屋線に入ることもあるようです。奈良線では5本存在しますが、大阪線では2本しか存在しない上、先述の通り車庫待機していることも多いので、なかなか見ることは少ないのではないでしょうか。「人にやさしい」をコンセプトとしたシリーズ21の一員です。2001年に第41回ローレル賞を受賞しています。あ、5800系も1998年の第38回ローレル賞を受賞していますね、書くのを忘れていました(^^;;
続いて中央が回転します。
車内です。5800系と比べると明るく感じますね。主にモケットの変更が大きいかと。
ドアです。5800系と比べて簡素になりました。LED表示機の小ささは相変わらず、ドア横の立ち席スペースが皆無なのも相変わらず・・。
最前部です。乗務員室が拡大されたのか、5800系と比べてスペースが狭くなりました。仕切り扉は横引き式になり、窓が大きく取られています。しかし、前面窓が比較的高い位置にあるため前面展望は少し厳しいと思います。また、前面の貫通扉が中央にあるにも関わらず、仕切り扉が右側に寄っているのも気になります。動線的にはあまりよろしくないと思うのですが・・。機器の関係でしょうか。
車端部です。かつての紅白車は一部を除き妻窓がありましたが、シリーズ21からは再び廃止されていました。で、こちら優先座席となります。シリーズ21のロングシート車同様の座席が採用されています。ですが袖仕切りだけはなぜかL/Cのものです。確かにこちらの方が風を避けることはできますが、この座席が優先座席であるかどうかを見分けるのには不向きに思います。
そして車椅子スペースを備えた車端部です。実はこの系列の優先座席の有無はこの車椅子スペースにあります。向かいの座席は通常のロングシートになっています。
天井です。この系列一番の特徴といえるのがこの天井なのではないでしょうか。ラインデリアから荷棚を支える場所にかけてラインの造形による装飾が施 されています。画像では分らないですが、実は蛍光灯にもこのラインが入っています。つり革も引き続き色々な長さを取り揃えています。
座席です。5800系のL/Cのシートモケットを赤くした形になります。こちらの方が車内が明るく、そしてちょっぴり豪華に見えますね。
縦撮りにしてみました。評価としては,5800系と比べて座面が少しばかり硬くなったように思います。その他は全く一緒ですね。そう、シリーズ21のコンセプトは「人にやさしい」なのですが、この鈍器と化したヘッドレストは相変わらず人に厳しいです。また、色合いは高級感が出ていますが、触り心地は5800系よりも毛立が少ないフラットで少し安っぽいものです。
座席下は、自動回転機構の関係で埋まっています。ヒーターが仕込まれているほか、脚を置くことを想定したか、モールで巻かれたバーもあります。バー自体そこまで大きなものでもないので、効果の程は「?」ですが・・(^^;;
袖仕切りの足元にはこのように蹴込があります。ただでさえ足元が狭くなるこの箇所、ここを一点支持にすると風が通り過ぎるのでこのような処理をしたと想像します。このようなささやかな気配りはうれしいところ。
車端部のロングシートです。5800系ではL/Cをモデルにした座席だったのですが、やはりメンテの手間が勝ったか、他のシリーズ21と同様の座席が設定されました。座り心地・・、見ての通り「カッチカチ」です。なんと言いますか、座り始めはしっかりサポートしてくれている感じですが、長距離には退場願いたい一品です。
こちら優先座席バージョン。座面と背ズリの間に黄色の塗装を入れてひそやかにここが優先座席であることを主張しています。
車椅子スペースです。ヒーターと手すり、非常通話装置が低い位置に設置されています。
最後に大阪線所属車両のトイレです。開閉はボタンによる自動式、2枚の扉が一緒に片方向に開くため、車椅子の方もラクに出入りが出来ます。
阪神なんば線開通以後、直通工事を受け快速急行に投入され更なる活躍が見られる5820系、これが5800系からの進化形となるわけですが、やはりどこかまだまだ改善点があります。デザインも色使いのセンスも申し分ないですが、実用性に欠ける部分が多くあるのが悲しいところ。今は製造が一段落していますが、今後新系列が登場するときにはこの欠点をしっかり潰して欲しいと願っています。やればできる子なんですから、多分・・