JR九州の在来線の中ではトップレベルの俊足を誇る列車が、博多と大分を中心に運行されているソニックです。その列車のルーツは昭和30年代、現在新幹線の愛称として使用されている「ひかり」という名の臨時気動車急行列車で、その後は利用客の実態に合わせて、定期の気動車準急列車に格下げ(当時は急行列車ですら庶民には高嶺の花であった)されましたが、本来なら急行として走ってもおかしくないような表定速度、約62km/hで走っていたそうです。
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そんな名門準急列車の系譜を受け継ぐ特急「ソニック」の専属車両として使用されているのがこの883系です。「WONDERLAND EXPRESS SONIC883」という愛称を持っています(浸透しているかどうかは別として)。JR九州としては初となる振り子による車体傾斜を装備した系列ですね。現在交流特急形電車に「881系」という形式は存在しませんが、「811系」と紛らわしいことや、専属デザイナーである水戸岡氏が、「881という数字は響きが良くない」と助言したため飛ばした、など色々な理由があるそうです。
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昔は前面のみアクアブルー、その他は無塗装とし、様々なロゴが貼り付けされているという、水戸岡氏ならではのデザインだったのですが、近年施されたリニューアルを機に全面青色塗装となっています。何でも、沿線の東海岸の海の色をイメージしたとか。ステンレスに色を塗るの、実は難しかったりします。今はそうでもないのかもしれませんが。その強烈なブルーの塗装にメカニカルな外観のカッコよさ、加えてカーブが非常に多い日豊本線において、曲線部分での自慢の振り子を最大限使用した高速走行は、多くのファンの心を鷲掴みにしています。
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反対側の車両から連結面を見てみます。幌も赤く塗られています。また内壁に関してはシルバーのメタリックとなっています。
また、青系のメタリック内壁を持つ車両も存在しています。元々ソニックの前面はこのような色でした。
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そしてお馴染み、ポスターの掲載枠とミニギャラリーです。
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こちらはフリースペースです。ちょっと車内に飽きてきたときや、携帯電話を座りながら使いたいときなど、自由に使用することができます。防犯上の理由から、全面ガラス張りとなっています。
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その他にも、立ちながら外の景色を眺めることができるようなスペースも存在します。テーブルもあるので、飲み物を置きながら、ということも可能です。なぜかこの縦方向に長い窓、外から見ていると何とも大胆で豪華な印象を持ってしまいます。
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なお、振り子作動による荷物の落下を防止するためか、飛行機のようにハットラック荷物棚となっています。ただ、先行系列である787系もハットラック式だったので、ある意味デザイン先行の採用だったのかもしれません。
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荷物棚の下には読書灯が設置されています。ハットラック式の荷物棚では照明が遮られ、窓側席を中心に暗くなってしまう欠点を補うためと思われます。
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窓です。1席に1枚割り当てられています。日除けはフリーストップ式のロールカーテンタイプで、生地にはSONICのロゴやイラストがこれでもかというくらい描かれています。
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座席です。リニューアルに伴いカラーコードが大きく変わって「和菓子」のような印象を受けますが、形状自体は変わりませんね。座席は日本発条という、車の座席の多くを手がけている会社が納入しています。何やら、この座席は日本発条が特急用として手がけたものとしては最後の座席のようで・・。ちなみに1車両によりヘッドレストの色が異なっています。展開している座席は緑茶のような色ですが、左側の座席は・・完璧にアズキですね(爆) 付帯設備は、シートバックテーブルとインアームテーブル、それとバーレストとなっています。インアームテーブルにはカップホルダーも付けられていて、車内販売の紙のカップがキッチリ納まるようになっているとのこと。振り子動作でよく揺れる車両ならではの装備といえます。
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車両は変わって青と黒の座席です。座席形状から見ても、車の座席を手がけていることがよく分かると思います。ヘッドレスト辺りは特にそれが顕著で、今回動かしてはいませんが、実は上下することができます。お好みに合わせて、という所でしょうか。この黒色のヘッドレストはいかにもなのですが、某ねずみの国のキャラクターに似ていると一時期話題になりましたよね。愛称自体が「WONDERLAND EXPRESS」と言っているので、恐らく確信犯です。かつてトリビアの泉という番組でも取り上げられていましたね。さて座り心地ですが、座面から肩部までにかけてはフッティングの良さは普通席としては超一級品であると思います。ただ、話題のヘッドレストが個人的には微妙な感想を持っています。このヘッドレスト、逆傾斜が付けられているため、頭の部分だけが前のめりにされてしまいます。本業である車のシートであれば、緊張姿勢を強いることにより安全運転を促すことができるという意味合いも持てますが、それを鉄道車両に持ち込むというのはどうでしょう・・。あくまでリクライニング利用が前提となっているようです。
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こちらの座席、リニューアル前はセミコンパートメントのボックス席となっていた区画で、リニューアル後は一般座席が設置されています。その兼ね合いもあってか、シートピッチがすこぶる広く取られており、グリーン席並みの広さを実現しています。もうシートバックテーブルまでの距離が遠過ぎること、バーレストに至っては全く届きません。従来通り、グループ利用であれば使いやすいかと。
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・・さて、改座のしわ寄せはこんな所に。かつてはボックス席には簡単な仕切りが取り付けられていたため、間の柱が大きくなってしまっています。そこに何のためらいもなく座席を置いたため、中にはこんな窓の無い修行席も存在します。
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かつてのボックス席の名残、壁面の補助照明です。この手の設備は、リニューアルなどが行われると撤去される傾向にあるのですが、リニューアル後もそのまま残されています。
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このように、ボタンを押すとしっかりと点灯します。
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一部車両に設置されている車椅子対応座席です。1人掛けとなっています。車椅子からの乗り移りを考慮したのか、肘掛が短めとなっています。
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また指定席として使用される車両を中心に、コンセントが設置されています。
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ハットラック式の荷棚では大き目のキャリーバックなどを置く事が出来ないため、車端には大型の荷物置き場が設置されています。
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二段式で、固定用のベルトもあります。手前の座席のためにテーブルが設置されています。
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続いては半室のみ設定されているグリーン車です。様々な表記が貼り付けされています。また方向幕は縦長となっています。元々開発段階で設定の予定はなかったそうですが、フルムーンパスでの別府までの旅行などの需要を考慮し、急遽設定されたとのこと。
座席です。形状などは普通席に準じています。というか、横幅もあまり変わっていません。違っている点といえば、表地が革張りであることの他に、土足・土足禁止両面フットレスト、少し広いシートピッチと言った所でしょうか。かなり急場凌ぎの設定であったことが伺えます。この座席も作動させてはいませんが、ヘッドレストの上下機構の他、座面もレッグレストの代わりなのか、全面にせり出すことが出来ます。
全展開の図。そういえば、グリーン車では窓枠のテーブル以外にも、柱部分にもミニテーブルがありますね。何かと物を置くキャパにはかなり恵まれた系列であると思います。
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窓側には全席コンセントが設置されています。2人席側に関しても1つのみの設置です。ある意味窓側専用の設備とも言えます。ちなみにこれは運転台部分から見て最前列の1人掛け座席なのですが、下部にもう一つコンセントが見えます。こちらは恐らく清掃用のコンセントと思われます。使えないことはありませんが・・。
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そして、向かい側の2人掛けの下部を見てみます。シートバックテーブル・フットレストが存在しないため、固定テーブルとオットマン(土足禁止面のみ)があります。テーブルが後述のフリースペースの関係から湾曲しており、面積の狭さも相まってかなり使いづらいです。またオットマンも、グリーン車にしてはかなり足元は狭いです。恐らくマルスでは指名しない限り、最後まで発券しない席だと思いますが・・。
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最前面には、前面展望が可能なフリースペースがあります。普通席側では平凡な壁になっているだけに、前面展望はこちらでのみ可能となります。ただ、ここはグリーン車の果てに存在するため、グリーン券を持つ者のみの特権といえます。ちなみに、ここは専属アテンダントの拠点としても使用されます。停車駅前後では、こちらで準備を整えて各席へとサービスを行います。あくまで乗客向けのスペースですが、なるべく業務の邪魔をしないようにしましょう。
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フリースペースからの展望です。正直、パノラマ車両ではないこともあり窓は大きくありません。ただ運転士の方の一挙動や、カーブを高速で進入するダイナミックな走りを見ることが出来るのは魅力です。
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運転台部分には、883系の曲線通過可能速度が貼られています。振り子静止の場合は787系と同じだそうです。
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・・さて、現在7両編成が8本存在する883系ですが、その内3本は、元々5両編成として登場しました。それらの7両編成化に伴い、2008年に2両3本が製造されています。その姿は・・うん、間違いなく885系です。ビートも無ければ材質もステンレスではなくアルミですし、断面積も全く違うという、「編成美」という3文字を気持ちいいほど粉々に打ち砕いてくれる存在といえます。さすがJR九州、やることが違います。883系1000番台を名乗っており、883と885の間を取って884と言った所でしょうか。
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まずはデッキから。ドアです。内側に関しても885系と全く変わりません。
向かい側を見てみます。少しだけよっかかることが出来る木製の椅子があります。
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デッキとの仕切りです。すりガラスが使用されています。
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車内です。何度も同じコメントになりますが、カラーコードを除けば885系そのまんま・・。なお、1両につき2パターンのモケット柄となっているため、都合編成内に4種類のモケットが存在します。
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天井です。荷棚はやはりハットラック式となっています。照明はスポット照明が2列で等間隔に並んでおり、これだけでは心もとないので、窓上に補助照明が仕込まれています。これは荷棚の後ろに横向きに設置されていて、普通に座る分には照明は見えないようにしています。球切れ時の交換は大変そうですが(^^;; この照明があるため、0番台に存在する読書灯はありません。
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座席です。885系と同形状のものを使用していますが、同系列で物議を醸した革張りのシートではなく、モケット張りとなっています。コストの限界値が寂しくなってしまったのかと考えてしまいそうですが、モケットの柄は割と凝っているほうなのではないでしょうか。座り心地としては、まず横幅が軒並みいるグリーン車に近い幅にまで広げられているため、狭苦しい印象は無く、かなりゆったりしていると思います。頭の当たる部分、ヘッドレスト部分は柔らかめとなっています。腰部分の引き締まりはまずまずですね。センターアームレストはテーブルが仕込まれているため広めとなっています。ただ何事にもツケというのがあるもので、外側のアームレストがかなり狭くなっています。またテーブルはインアームテーブル(窓側は一応窓枠のテーブルも。但し日除け不使用の場合のみ)しか無いのも、0番台と比べると不満点です。極めつけは、JR九州の全体的なウィークポイントの一つであるメンテの悪さ。僕が自由席で初めてこの車両に座った座席が、リクライニングボタンを押してもいないのに勝手に後ろへ限界値まで倒れたことですね。新手(でもってタチが悪い)の簡易リクライニングシートとなってしまっていたのが非常に残念でした。
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荷物置き場もこの通り。ただ0番台とは違い、2段式ではありません。