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Channel: 車内観察日記
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JR九州787系

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現在「つばめ」といえば九州新幹線内各駅停車タイプの種別となっていますが、かつては在来線特急で運行されており、博多-西鹿児島(現鹿児島中央)間を4時間かけて運行していました。

その在来線時代の「つばめ」として使用されたのが右側の787系です。その他同線を走る熊本止まりの「有明」でも使用されていました。九州新幹線開通後は編成換えを実施の上九州各地に散っており、管内ほとんどの電車特急の運用に噛み付いています。何やら、製造後すぐに埼玉の大宮工場まで遥々遠征したことがある様で・・。

南九州では4両編成で「きりしま」や「にちりん」等に使用されています。バラエティ豊富な内容故文字数制限ギリギリの長さとなっています。ごゆるりと。

デッキ、ドアです。真っ赤なドアは当時の九州のトレンドとも言えます。低床ホームに対応するため、ステップ付となっています。

JR九州の特急列車といえば、デッキ設備に対する比重を大きく取るイメージを持っています(ともすれば過剰なほどに)。この系列もご他聞に漏れずデッキはかなりのスペースとなっており、青や赤、緑等原色を多用したメタリックな空間が広がります。この頃はJR九州のバブルだったと言えますね。とてもお金かかってそうです。

左側はフリースペースです。携帯電話の通話はこちらで。

右側はトイレです。洗面台等は全て中に集約されています。文章のみとなりますが、洗面台下には着替えをする時に裸足になれる様に折り畳み式の小上がり台があります。更衣室代わりとして使え、長距離列車や夜行列車に導入されていたのにふさわしい設備を持っています。

連結面の通路はシルバーメタリックで未来的な内装です。

4両編成鹿児島方先頭車のデッキにはコモンスペースが存在します。

やはりテーブルと窓、ゴミ箱が存在します。

車内です。デッキとは違い、トーンを抑えながらもJR九州お得意の様々な色や模様、意匠を取り入れたデザインとなっています。その全容を把握するとなるとどれ程の労力が必要になるか計り知れません。

こちらが黄土色系の座席の車内です。座席が違うだけで雰囲気が変わりますね・・。

デッキ仕切りです。仕切り窓はえらく小さくなっています。ドア上にはLED表示機があります。

4両編成の鹿児島方先頭車のデッキです。ガラス張りで両開きとなっています。

窓です。1両に1枚の割り当て、日除けはフリーストップ式のロールカーテンです。

座席です。リクライニング角度は大きくないですが、座り心地はまずまず。付帯設備はシートバックテーブルと跳ね上げ式のフットレストとなっています。このフットレストがまた勢いよく音を立てて戻るものですから、2回目以降は若干遠慮気味に戻さねばならないという多少のストレスを感じます。

この他にも編成、車両ごとに色が違うものですからもう大変です。

続いて後期に導入された車両です。サイドアームテーブルが追加されています。またフットレストのもどりも静かになっています。この系列、電車でありながら窓側には配管を通したと思しき金属のカバーが張り出しています。近郊型気動車ならまだ解せますが、電車特急ではポジティブな印象を持ちません。こちらは黄土色系の座席。個人的に落ち着いた雰囲気がしてお気に入りです。


その他のカラーパターンです。カラーが揃っているかと思えば、柄が違ってたりするんですねぇ。よく見ると床の模様と色も車両ごとに違います。そういう意味ではJR九州の特急群にありがちな「一元さん止まりになりそうな車両」ではなく、来る度に違う車両に会うことができる飽きない系列であると思います。

緑系の座席です。この車両は4両編成に組み込まれており、前方が半室グリーン車のため、指定席として運用されることが多いです。またこの画像では隠れてしまっていますが、前述の張り出したカバーにコンセントが設置されています。おおよそ窓側専用といっても差し違えないですね。

背面テーブルやアームレストには、かつての花形運用であった「TSUBAME」のロゴが残っています。「ARIAKE」のロゴが入った座席も時たま存在します。



車椅子対応の1人掛けです。付帯設備として固定用のベルトが備わります。こちらもいくつかカラーパターンがあります。

車両の中央には空港アクセス鉄道宜しく荷物置き場があります。ピーク時には人が置かれている事もあるそうですが・・。

デッキ仕切り際や荷物置き場横の座席には固定式のテーブルがあります。2段式なのが珍しいですが、下段はどのように使えと・・? ゴミ置き場になってしまうのがオチになってしまいそうで心配です。右下にはコンセントがあり、カバーがされてないところを見ると使用は自由の様ですね。間違いなく清掃用でしょうが・・。

さて、在来線時代の「つばめ」にはビュッフェ車が連結されており、形式もJR化後の在来線では久々となる食堂車「シ」の記号が与えられたサハシ787形が活躍していました。しかし新幹線開業後は比較的短距離の運用が多くなった為、ビュッフェ車は普通車のサハ787形200番台に改造されています。元「サハシ」の記号通り、半分はセミコンパートメントとなっており、画像のようにサハ化後もセミコンパートメントは残されています。

デッキ仕切りです。セミコンパートメントの仕切りガラスが飛び出ているため仕切り扉が少し隠れています。

天井です。形状のせいでしょうか、少し高く感じます。


座席です。4人掛けのボックス席となっています。

そしてこちらも柄が異なっています。

緑系の座席です。 肘掛の上下はできますが、リクライニングは出来ません。

テーブルには照明が設置されています。メンテが悪いのか、付かない箇所もチラホラ…

座席上には荷棚があります。何気に鏡面仕上げになっています。

こちら座席の色違い。テーブルは備え付けで、折り畳み式となっている為広げる事も出来ます。

続いて元ビュッフェ部分です。現在は座席が並んでいます。

セミコンパートメント席との仕切りです。今や無くても構わないものとなりましたが、しっかり仕切っています。

元カウンター部分は車販準備室として現存し、その向かいにはミニショップとしてのカウンターもあります。もっとも、787系でのアテンダントサービス自体が現在行われていませんが…

天井です。「スーパーエッグドーム」と名付けられた天井はほぼそのままで残っており、複数設置されたライトの光が天井の造形に合わせて綺麗に反射しているのが美しいです。「よくぞ荷棚を付けなかった!」と言いたいですね。

座席です。885系とほぼ同じ座席を使用しています。違う所といえば、表地がモケット張りとなっている事でしょうか。

この車両は前述の通り荷棚が無い為荷物を足元に置くのを考慮した事と、元の窓割りに合わせて座席を設置した関係でグリーン車と同等のシートピッチとなっています。

ヘッドレストの下にはつばめロゴが描かれたチケットホルダーとバンドが巻いてあります。広々とした足元に独特の雰囲気を醸し出すデザインから、南九州の4両編成の半室普通車指定席と並んでヘヴィーユーザーが多い車両として地味に知られています。

車椅子対応の1人掛けです。

全展開の図。窓割と合わせているには合わせていますが、窓の中央にセットされている為視界に柱が入り込んできます。

この区画の操作はユンボの様なレバー式です。ペダルやボタンに慣れていると恐ろしく使い勝手が悪いです。

続いてグリーン車へと参ります。シルバーメタリックな空間はこんなところにも。

その奥には男子小用があります。

自動販売機も営業しています。

かつて公衆電話が設置されていたスペースです。携帯電話が普及した今、全国でこのようなガランとした光景を見ますね。JR九州の特急電車ではテーブルが付いた何かしらのスペースは過剰な程存在していますので、増えた所で今更な感は否めません(^^;;

4両編成の半室グリーン車との境には、この様な大型ガラスをはめ込んだ展望スペースがあります。こういった大展望も九州が好みそうな設備です。

というわけで半室グリーン車です。 かつては「有明」に運用された編成に組み込まれており、 2+1の3列配置です。

天井です。ここは普通車と共通ですね。

荷棚は飛行機のようなハットラック式となっています。収納能力が限られているため、普通車には荷物置き場があるんでしょうね。

ハットラック式の荷棚により照明が届きにくいということで、読書灯が設置されています。これは普通車にも付いています。

普通車との仕切りです。擦りガラスとなっているものの壁として仕切られているという感じはせず、直後の座席では少しもどかしいですね。

座席、まずは2人掛けから。グリーン席として必要十分のシートピッチ、サイズとなっています。付帯設備はインアームテーブルと土足/土足禁止面両面仕様のフットレストです。窓側にはミニテーブルもあります。

この座席、ボタンが二つ付いており、もう一つのボタンを操作すると背ズリの上部だけを折り曲げることが出来ます。リクライニングをしながらちょっと読書をしたい時にもいいですし、自分の好みに合った背ズリの形状に出来ます。座り心地はグリーン車ならではの程よい柔らかさで、自分の体に合ったリクライニング操作が出来ることもあり、優れた座り心地と機能性を兼ね備えた座席です。ただ難点が無いかといわれればそうでもなく、構造上背ズリが上下で分離している訳で、接合部分がゴチッと当たる感覚は避けられません。

1人掛けです。この系列で気になるのは、上座であるグリーン車でありながら窓側の配管が普通車と同じく張り出しているという事と、折り畳み式のインアームテーブルが半面では使えないという事。普通インアームテーブルといえば引き出せば半面の状態でセットでき、それを開く事により全展開となります。しかしこの座席ではアームレストの中からテーブル本体を引き出して、セットする前に下方向からもう片方の半面を開き、センターアームレストに引っ掛けて完成するという、どう考えても動線が不自然な展開方法となっています。また半面のまま使おうとすると、先述の様にもう片方の面が閉じられたままになっているためテーブル面が斜めを向いて全く使い物になりません。まさかその点を理解した上でのミニテーブルなのでしょうか。1人掛けや窓側はまだ何とかなりますが通路側は・・。なぜこのような残念設計にしたのか理解に苦しみます。座席本体の座り心地が良いだけに、周りの作りこみのヌルさが一層目立ちます。

1人掛けもこのように中折れ機構を持っています。

グリーン席に関しても、一部ロゴが残ったものが存在します。

普通車との仕切り部分です。固定式の木製テーブルが設置され、フットレストが置けないため土足禁止のみのオットマンが置かれています。

2人掛け部分は更にテーブルが大きくなっており、在来線のみならず、国内昼行列車ではトップレベルのキャパを誇ります。上り運用専用ですが…

そしてその窪みにはオットマンが二つ置かれています。

問題の配管側面に設置されたコンセントです。特に案内が貼られているわけでもないので、気づかない方も多いのではないでしょうか?

ビュッフェ車がなくなった今、この系列で最も注目といえる車両が7両のBM編成グリーン車です。この1両にグリーン個室・グリーン席・更に上座のデラックスグリーン席と、決して景気が良いとは言えない2000年代の現代にしてはなかなか贅沢な車両です。HAPPY BIRTHDAY KYUSHU PASSなどの九州管内特急乗り放題のきっぷでは、絶対に一回は乗っておくべきと言う方が多いほど、知る人ぞ知る車両となっています。

デッキ、こちらはトイレです。グリーン車のデッキは普通車のメタリックな内装とは違い木目調で固められています。ドア横の壁にはダメ押しとばかりにミニテーブルが付いています。大きくスペースを取っているのは相変わらずです。まぁ洗面台部分も一つにしてしまっているので、差し引きおあいこです。

なーんて思っていたら、この車両には外側にも「洗面室」が設置してあります。上部に設置されたこのライト、九州の特急や観光列車で本当によく見かけますよね。

最初はグリーン個室から。「サルーンコンパートメント」と書かれており、つばめマークが描かれています。


グリーン個室内です。水曜どうでしょうの「サイコロ5」で、当時の「つばめ3号」乗車時にここを利用していましたね。大泉さんは車内を見て、「僕はアガサ・クリスティの世界でしか知らないんだよ」とも言っていました。当時と比べると化粧版や座席モケット・床材等がリフレッシュされており雰囲気がガラッと変わっていますが、湾曲したソファに1人掛けグリーン座席、中央のテーブルという構成は変わっていません。

テーブルは展開することにより倍近くの大きさにまで広げられます。

ソファシートの反対側には1人掛けグリーン席が。

続いてグリーン客室へと参ります。個室を挟んでいますので長い通路を越えていきます。

グリーン客室です。基本的には先述の半室グリーン車を拡大したような感じです。

座席です。半室グリーン車と同じ座席ですが、モケットが暗いトーンの色となっており、モケットにはつばめマークが散りばめられています。

そして、787系で最上位に位置するデラックスグリーン席です。2+1配置1列のみの設定で、形式上はクモロ787となっていますが、グランクラスが登場するまで日本唯一のグリーン車の上に設定されたクラスで、実質等級記号「イ」の復活ともいえました。この区画は元々「トップキャビン」という名前で2+1配置の座席を2列分ボックス配置に固定し、グリーン客室との仕切り扉を閉めることにより個室とし、6人で車内を会議室として使用することも出来たそうです。4時間を越える列車ならではの需要を想定していたようですが、今やほとんどの列車が1時間から2時間の運転時間に収まっているということで、仕切り扉を撤去(←ここ重要)、2列分のスペースを1列分として使用する贅沢な空間となっています。この奥は乗務員室となっており(←ここも重要)、仕切りの壁にはハンガーが人数分用意されいます。

座席です。まずは2人掛けから。モケット柄は国鉄の名車、「パーラーカー」ことクロ151形に搭載された座席をイメージしたものとの事。手前がフルリクライニングした状態で、その角度なんと134度となっています。もはや座るというより「ふんぞり返る」に近いものがあります。1人掛けを2列並べたような構造で、テーブルは中央のテーブルボックスから引き出す方式となっています。レッグレストもあり、アップグレード座席として足りない装備は無いという程付帯設備には困らない座席です。

1人掛けです。やはり元2列分座席があった空間だけに、足元も広く取られています。

全展開の図。画像内に入れるのがやっとの大きさ、座り心地はだてにDXグリーンを名乗るだけに、特段の不満点は有りません。しかしこの座席、リクライニング時は座面も前方にせり出すのですが、座ってフルリクライニングしてみると、そのままの体勢でいると頭がヘッドレストリネンに届きません。わざわざ体をリネンの所まで持っていく必要があります。また小倉方行きの列車の場合、グリーン客室との仕切りは座席手前のすりガラスのみ、仕切り扉は存在しません。トップキャビン時代にはあった様ですが、2人掛け席の通路側の煩わしさに配慮して撤去、代わりに暖簾を設置したものの慣性の法則や風により逆に落ち着かないという事でこちらも撤去した過去があります。そんな訳で仕切り扉が無く、中途半端に仕切られていたのが気になりました。どうせなら引き戸にしてでも個別空間として仕切るべきだと思います。

肘掛先端には操作ボタンがあります。それぞれリクライニングの倒す・起こす、レッグレストの起こす・倒す、読書灯スイッチです。リクライニングとレッグレストは電動式、特有の鈍重な動作や軋み音も全くそのまま・・。

窓側にはコンセントのユニットがあります。グリーン客室には無い設備で、DXグリーン車設定に合わせて増設した設備なのでしょうね。

それぞれ前後には荷物を置くためと思われる台座があります。

その先端にはコンセントが2口設置してあります。このようにコンセント利用という観点では全く不自由しないのですが、ここに口を持ってくると、実際プラグを挿してコードは自分の足元・股間上を通す動線になると思われます。普通に使っても鬱陶しい上に、下手をすると足に引っ掛けて断線・・という悲惨な光景も予想できます。ここはN700系のように、アームレスト(ここではテーブルユニットか)に口を設置する方が賢明だと思います。

その他に気になった点としては、この区画があるのは台車直上、高速走行が前提でない九州島内の各路線を走る為に結構揺れるという事。元々トップキャビンがあった(そもそもこれもなぜここに作った?)場所である事や、最上座である事から人の通り抜けが無いという利点故に設置場所が動かせなかった事情は理解できますが、グリーン客室が車体中央で、それより上座であるDXグリーン席が台車直上というのは解せません。また乗務員室直後なので先頭時はATSの騒音が、最後尾では無線の騒音が無遠慮に入り込みます。静粛と快適性を売りにすべき最上級クラスとしてこれ如何に。グランクラスの登場等グリーン車以上の設備・サービスを求める声は増えつつありますが、「ななつ星」も登場したことですし、そろそろこのDXグリーン車の在り方を考え直す機会ではないでしょうか。

色々な面が存在しますが、個人的にはもう一度乗ってみたい系列の一つで、昼行列車を前提としてこれほど設備が揃った車両もなかなか無いと思います。私が経験したことの無い「バブル」の尻尾を良かれ悪かれ少しだけ見ることが出来る今となっては貴重な列車です。


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