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Channel: 車内観察日記
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JR四国8600系

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JR四国二代目の特急型電車、8600系です。運行初年の試験的な定期列車運行時にも乗車する予定だったのですが、そんな日に限って本当にデータ採取のための試運転が行われていたようで、2000系気動車に差し替えられたために乗車出来ず、一年ぶりの正直でキャッチした次第。画像はその量産先行車です。

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こちらは幌無しの前面です。そう言えば、JR四国のコーポレートカラーである水色が全く存在しませんね。近年登場した新車や改造車でその傾向は顕著なものとなっています。

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そしてこちらが量産車。3両編成も登場し、半室グリーン車も出ています。コンセプトは「レトロフューチャー」という、どこだったか難波だか関空だかで聞いたことのある文言となっています。前面はSLをイメージしたものだそうですが、言われればそう思うものの何とも形容し難いですね。

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前面にはフルカラーLED表示のヘッドマークも存在します。画像は「いしづち」で、石鎚山のイラストがリアル過ぎます(笑)

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そしてこちらが「しおかぜ」のヘッドマーク。まぁ特定の固有名詞でないとこうなりますわな・・。

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ドア横には行き先とヘッドマークのイラストを描いたステッカーが貼られています。昔からJR四国はこのようなロゴや文字の秀逸さに定評があり、8600系にもその伝統が受け継がれています。

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側面のロゴもこの通り。Sを二つ並べただけなのになぜかカッコよく見えるんですよねぇ。下には8000系電車のテーマである「瀬戸の疾風」を受け継いだテーマが書かれています。その名も「SETOUCHI STREAM EXSPRESS 8000」・・あれ?

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車体中央にも列車名が書かれています。この側面を見ていただければ分かりますが、鋼体は同じ川崎重工で製造されたJR北海道789系をベースにしています。


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行き先表示は四国では初となるフルカラーLED表示機が採用されています。

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それでは参りましょう、デッキドアです。基本的に配色は2色有り、2両編成では高松方、3両編成では両先頭車が黄緑をイメージカラーとしています。

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そして2両編成の松山方、3両編成の中央の車両に採用されているオレンジです。画像は3両編成のもので、すぐ横は機器室となっています。

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バリアフリー対応車両のドアです。幅が広く取られています。

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ドア上には開閉ランプが設置されています。ちなみに、ドア開閉時には東海道・山陽・九州系統と東日本・北海道系統をチャンポンにした放送が流れます。もはやカオス・・。

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最近の特急型車両に普及しつつあるドアの開閉ボタンです。現状使用しているところは見たことが有りませんが、デッキ付の車両にして半自動扱いの特急列車が登場してしまうのでしょうか、省エネにつながるならいいですが・・。

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ゴミ入れです。飲料系とその他で分けられています。

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トイレです。中はもちろん洋式ですが、四国の特急列車は和式のままである車両が数多く存在するので、乗れば必ず洋式に当たる数少ない列車でもあります。その横には全身鏡がありますが、通路が狭いのと握り棒がぶった切っています。

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バリアフリー対応トイレです。大型で円筒形なのは最近の列車ではお馴染みですね。中はウォシュレット付の温便座洋式タイプです。列車内のトイレもここまで進化したか・・。

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その奥には男性小用トイレがあります。開閉は折り戸式です。

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向かい側の洗面台と立ち席スペース、こちらは2両編成のものです。立ち席スペースには気持ちばかりの窓とテーブルがあり、立ち席でもある程度の居住性を提供しようとした苦労の跡が見えます。でもね、ここがある向きっていわゆる「山側」で、景色がいい「海側」はトイレがある方なんですよねぇ・・。抜き取り設備等のレイアウトの自由が利かない大人の事情があるとは思うのですが・・。

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ドア横付近にはコンセントも設置されています。これで繁忙期の電源確保もバッチリですね。ただし一箇所のみ、譲り合って使いましょう。

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3両編成にも同じようなスペースがありますが、窓が細長くなっていたりコンセントの位置が変わっていたりと地味すぎる違いがあります(^^;;

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3両編成の場合は、男性小用トイレが洗面台の奥に配置されています。

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フリースペースです。普段は施錠されており、車掌さんに申し出ると使用することが出来ます。

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自動販売機です。車内販売も無く行き違いの停車時間もわずかで走行距離が長いため、この設備はありがたいですね。

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荷物置き場です。デッキにあるので、セキュリティ的に不安なところがあります。

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先頭車の連結面です。車掌台部分は仕切り扉で入れないようにしていますね。

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いよいよ車内です。こちらは緑をベースにした車両です。

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こちらはオレンジの車両。明るい暖色系のイメージで個人的にはこちらの方が好みではあります。

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そしてこちらが国鉄形式で言うクロハの半室普通車部分。ミニマムな空間だけに、隠れた人気区画だったりします。

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デッキとの仕切りです。色の変化もなく淡白な気もします。

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バリアフリー対応車両のデッキ仕切りです。こちらも入り口のドアと同様、幅を広くして対応しています。

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仕切り扉上のLED表示機はフルカラー式、画像のように二段表示も可能です。

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最前面のデッキ仕切りです。前面展望を意識して車掌台側に窓が開けられています。キハ185系以降に登場した四国の特急型車両のある意味伝統とも言えるものですが、ここをデッキとしているのも伝統です。デッキ越しの前面展望というのも何だかなぁ、と思ってしまいます。ある程度理解出来るのは、副産物として仕切りを二つ挟むため運転系統の雑音がシャットアウト出来ていることですね。

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グリーン車との仕切りです。こちらにはLED表示機は有りません。松山方面を向くと、普通車内での情報量の格差が甚だしいですね。こんなところをケチらなくても…。

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天井です。照明はLED灯、金属メッシュのカバーが付けられているものの、真上を見た感覚としてはカバー無しとそんなに変わりません。ここは鋼体を持ってきたJR北海道789系と同様ですね。この車両は2両編成の高松方、「いしづち」では一部指定席となるため、座席案内専用のLED表示機が設置されています。

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窓です。一応2席に1枚の割り当てですが、日除けはフリーストップ式のロールカーテンのため、中央にカーテンレールが入っています。個別に自由な高さで降ろすことは出来ますが、景色の連続性や特急列車らしさがあまり感じられないなど一長一短ですね。

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座席です。系統としてはJR東日本のE657系の座席ですね。

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違いとしては、持ち手の形状と取り付け位置、それに伴う背ズリ上端の形状、脚台が一本足ではなく従来の形状となっていること、リクライニング時に座面が連動してせり出すようになっていること、バーレストが設置されている…等結構オリジナル点が多いですね(笑)

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車椅子対応座席の前はシートバックテーブルが無いことからインアームテーブルが備えられています。センターアームレスト内に両側2枚分が収納されています。その理由はまた後程。

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指定席に関してはヘッドレストカバーが専用のものを使用しています。黄緑に対して赤の選択はあまりマッチしているとは思えません。今更ながら、カラーコードは反対の方がよかったような…。

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そしてオレンジのモケット。愛媛の名産、みかんをイメージしたものでしょうか。そうそう、窓下の肘掛部分に木目の化粧板を貼っていますが、周囲がFRPなどの色使いになっているために変に安っぽく目立ってしまっています。やるなら徹底してやるべきというのが個人的な持論です。

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座り心地としては、かなりハードなものと評します。松山方面へ向かっていると、伊予西条辺りでその硬さが体に響いてくるかと思われます。また窓枠の下辺がテーブル代わりに広げられていますが、これが窓側に座って肘を置くと腕に食い込みます。昨今の座席を窓側に寄せすぎる設計の大きなツケがここに表れています。座席自体を少しでも通路側へ設定すればこの問題は解決するのですが・・。

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ヘッドレストピローです。高さは調節することが出来ます。やはり、硬い座席に対してのせめてものフォローのように感じてしまいます。ヘッドレストカバーは8600系専用のものが使用されています。

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座席背面下部。ドリンクホルダーも設置されており、網ポケットの伸び切りを鈍化させる役割を持っているように思います。

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センターアームレストにはコンセントが備わります。おかげで8600系では全席にコンセントが備わっていますね。正直慣れない(というか背面側から座ると視界に入ってこない)位置にあるため、使い勝手はあまりよく有りません。給電量も少なめ、ずっと使いながら充電すると充電量<使用量となりますので、ご利用は計画的に。

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バリアフリー対応車両の1人掛けです。

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全展開の図。肘掛は2/3程度が折れ曲がる構造で上げることが出来ます。

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このような肘掛構造のためか、コンセントは根元側、座面横の位置に設置されています。

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向かい側の車椅子スペースです。この前席はテーブルが一切無くなることから、先述のインアームテーブルが活躍するのでしょうね。

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デッキ仕切り際は大型テーブルが備えられたいわゆる「オフィスシート」区画です。

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続いて半室のみ設定されているグリーン車へと参りましょう。デッキはシックなブラウンの色使いとなっています。半自動ボタンが浮いて見えるくらい(笑)

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最前面、乗務員室との仕切りです。こちらも普通車同様ですね。

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グリーン車内です。1+2の3×4列、計12名分のショートな空間となっています。

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夜間になるとこんな感じ。全体的に暖色系で、寒色系がベースの普通車とは色使いだけ取ってもしっかりと格差付けが出来ているんだなぁと思わされる次第。

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普通車との仕切りです。こちら側はしっかりとLED表示機が設置されています。仕切り扉自体は普通車に合わせられていますが、それではグリーン車としていささか問題があるということで手前に衝立が設置されています。双方の空間作りについて不利益が出ないように苦心した跡が伺えますね。

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最前面のデッキ仕切りです。こちらは1+2の配列に合わせて仕切り扉を設定している為、車掌台側の仕切り窓も大きめとなっています。

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で、肝心の前面展望はこの通り。乗務員室との仕切り窓自体が小さいのと前面窓も後退角付となっているためあまり展望性はよく有りませんね。

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フルカラーLED表示機もこの通り。一段での使用となると文字も大きくなります。

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天井です。特に仕様は普通車と変わらず、LED灯が暖色となったくらいです。ここはもう少し凝って欲しかったなぁ・・。

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荷棚には毛布がセットされています。常々申している事なのですが、検札の時に車掌が使用の有無を聞く位の配慮があってもいいのではと思う今日この頃です。観光普通列車の「伊予灘ものがたり」では素晴らしいソフト面でのポテンシャルの高さを発揮しているだけに、在来線特急列車のグリーン車にもその実力を見せてもらいたいものです。それでも、あまり使用されない事を考えて埃が被らないようにビニールカバーに入れているのは在来線特急列車のグリーン車で出来るハード面でのせめてもの気配りですね。「しおかぜ」で岡山から児島までを担当するJR西日本にも見習ってもらいたいものです。

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窓です。グリーン車では1列につき1枚の配置、日除けも普通車同様フリーストップ式のロールカーテンタイプです。ここもやはりJR北海道チック。

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座席です。まずは海側の2人掛けから。東北新幹線を利用したことがあるちょっぴりお金持ちな方なら見覚えがあるでしょう、JR東日本E5系新幹線(またはJR北海道H5系新幹線)のグリーン車をベースとした座席です。

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普通車同様こちらにも地味な変更が加えられており、持ち手がヒラタケのような形状となっていること、レッグレストに加えて小型のフットレストが追加されています。

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山側の1人掛けです。プライバシー性の保証があるものの常時日射に晒されるという点では条件としてはおあいこと言ったところでしょうか。

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木目の化粧板はこちらにも貼られていますが、全体的に暖色系の色使いとなっているためあまり違和感を感じません。

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全展開の図。私は正直なところまだE5/H5系のグリーン車は未乗車なのですが、近年デフレグリーン車を連発しているJR東日本としては中々いい線行ってるのではないかと思います。2時間程度の乗車時間でも疲れをほとんど感じさせなかったのはさすがです。レッグレストですが、フットレストに足を載せてふくらはぎに当たるか当たらないかという所でストップするのが負担が小さい使い方かと。この使い方を出来るのは8600系の特権ですね。

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ヘッドレストに設置された読書灯です。これが何で方向固定式にしたかなぁ、と言うのがつくづく惜しいところ。下手すりゃ前席のシートバックテーブル辺りがぼんやり照らされる可能性も…。

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センターアームレスト横の操作パネルです。左から読書灯、レッグレスト、リクライニングのボタンが並びます。ちなみにレッグレストは電動式、やはり安全面を考慮してかその動きは鈍重です。油圧式の操作性の高さを思い知る次第。

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先端にはコンセントが備わります。差し込み口が下を向いているため、プラグが緩いと抜け落ちてしまいます。

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1人掛けはこの通り。コンセント下のランプは電力供給状態にあることを示しています。

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グリーン車にもオフィスシートは備わります。

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普通車との仕切りと衝立の間には荷物置き場があります。

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1人掛け側です。右に見える取っ手を開けると…。

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二段式の小物入れが出てきます。入れて最後忘れないようにしましょう。


総評としては、「部品の使い回しが上手くなったなぁ」と言うところ。部品レベルでは川崎重工で実績のある部品を最大限流用した上でJR四国のオプションを追加してひとつの形となっているのは、使い回しが下手だった時の作品である快速「マリンライナー」の5000系と比べると大きく進歩した所だと思います。

一方で、走りはかなり乱暴な物です。空気バネ台車の空気圧を変化させる車体傾斜装置になり傾斜角度が少なくなった事、線形を記憶させたコンピューターから台車への伝達が遅いのか、車体傾斜がカーブのカントに対して振り遅れているためにカーブに入った途端に身体が外側にガツンと振られます。正直な所これがかなり不快でして、8000系と比べると乗り心地は格段に悪くなりました。足周りの改善が望まれる所で、現にこの列車で運転される「しおかぜ/いしづち」では乱暴な運転故に危険ということで車内販売が実施されていません。現時点で日中の運転が無いのもそのせいなんだとか。


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