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「ななつ星in九州」、日本初の超豪華クルーズトレインとして華々しく登場し、その高額すぎるツアー料金にも関わらず人気は落ち着くどころか上昇を続けており、抽選倍率も相当なものとなっております。それに輪を掛けるように運行当初から値上げが続いており、益々庶民に手の届かない列車となりつつあります。そんな状況の中、善良なる一般庶民から「一度は乗ってみたい」という声が寄せられるようになったためか、少しでもその雰囲気を味わえるような観光列車が登場しました。
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『JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」』、2015年に九州島内で走行区間を変えながら走るツアー専用観光列車として走り始めました。「或る列車」とは、かつてJR九州の前身に当たる私鉄、九州鉄道がアメリカに発注した特別列車のことで、日本へ到着したものの殆ど運用されることなく大正時代に教習車として全国各地に散逸し、全5両がそのまま廃車となった幻の列車と言われています。そのあまりにも謎が多い列車であることから「或る列車」と言われるようになったそうな。
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ベースとなったのはその車両を東京田町で留置されていた姿を見た鉄道模型作者、原信太郎氏がスケッチの上作成した模型車両で、この黄金に輝く車体は同氏がオリジナルで付け加えたものだそうです。実際は黄緑やら青やらと言われているそうなので、その通りに作るとかわせみ やませみみたいになっていたかもしれませんね。
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ドア横に飾り文字として47DCの文字、「九州の観光列車化はキハ47に限る」と言わんばかりに順当にキハ47を持ってきましたが、今回は島内に適当なキハ47がいなかったのか、JR四国から2両を譲渡してもらい改造しています。そこまでしてキハ47じゃないとダメだったのでしょうか・・。
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なお形式名は前代未聞の「キロシ47」、グリーン食堂車というキハ40系列のみならず、国鉄時代から通じてみても初めて設定された形式名となります。
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その他の部分にイラストロゴや文字で溢れているのはいつものことですが、そのデザインは明らかに普通の列車向けのものではなくワンランク上のものとなっているような気がします。恐らく視覚上そう見えるのでしょうが・・。
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窓の無い側面もこの通り。なおお値段ですが、安くても片道1万5千円程度、後述する個室ともなると3万円と乗れないではないにせよ中々お高く付きます。これまで私が乗車した列車の中で間違いなく一番単価が高かった列車ですね(^^;; さすがに往復出来るほどの財政的余力は無かったので、帰りは普通列車とゆふいんの森5時間耐久レースで博多まで戻りましたとさ(笑)
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こんな列車ですが、運転に関わる人は運転士さんのみのためワンマン列車となっています。こんな豪華なワンマン列車が今まであったでしょうか(^^;;
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転落防止幌にも文字入り。2両でひとつとなっていますね。
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サボ受けも健在です。
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乗務員室の窓にもロゴマーク。
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大分駅にて「あそぼーい!」と並びました。片や子供向け、もう片方は大人向けと、ターゲットがくっきり分かれていますね(笑)
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いよいよ車内です。まずは1号車からですが、一歩踏み入れた瞬間の印象はただただ「すげぇ」、そのデザインは「ななつ星」のラウンジカー、「ブルームーン」の流れを汲んでいるように見えます。ちなみにいつものことですが私はあくまで鉄道趣味者、「インスタ映え」的視点とはズレていると思いますがご了承頂きたく。
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ドアです。両開きのままで残っていますが、窓にはステンドグラスのデザインが施されています。なお、扉扱いをしない場合はこのようにロープが張られます。乗車時にきっぷと名前の確認が行われ、席に案内されることとなります。
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ドア上にも英字ロゴが入っています。毎日磨かれているのかピカピカになっています。
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何をどういじってもキハ47には変わりないのでステップが残っているわけですが、段差部分に飾りの覆いを取り付け、一段目にはカーペットが敷かれています。元が素っ気なくぶっきらぼうなこともありますが細かい(笑)
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最前面方向です。最近のJR九州の観光列車では統一的になっている感もある仕切り窓が無い仕様です。業務感を出さないようにするためなのでしょう、「とことん楽しめ」と(^^;;
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仕切り扉上にはアーチ状の飾りが入っています。
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車端部です。料理を出すカウンターが設置されており、裏で盛り付けが行われます。
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「BAR ARU」ですか。とは言え、ここで立ち飲みが出来るわけではありませんし、飲み物はアテンダントさんに座ったまま頼むのが基本です。
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奥にはショーケースがあります。こちらもケースが磨かれており景色が反射します。
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バーカウンターの向かい側です。このデザイン、やはり「ななつ星」でも見ることが出来ますね。
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カウンター端にはお盆とコップが置かれています。使うこともあるとは思いますが、普段はオブジェですね。
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カウンター手前にもショーケースがあり、ここにもグラスが入っています。
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天井です。こちらも造形はななつ星で見られる格子状のデザインが施されたものです。それぞれの枠にクローバーが入れられており、デザインが異なっております。中には6つ葉がいることも…。
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窓と座席上の飾り照明です。日除けは横引き式のカーテンで、手前には木製の飾り引き戸がついたものとなっています。本当に手が込んでますね…。なお、飾り照明とは言うものの天井には席の部分に少しばかりのLED灯があるだけなので実質メイン照明と言えそうです。
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座席…というより"お席"ですね。こちらは4名掛け席で、椅子自体はドーンデザインで見覚えのあるそれっぽいものです。背後に座った人に頭をぶつけないよう、透明のパーティションが設置されています。
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2人掛けのお席です。何だかんだ言って車両種別は食堂車、座り心地を語るのは野暮ですね。速度は早くないので、地方交通線の路盤状況やキハ47という元のスペックを考慮してもあまり気になりません。
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乗った方や勘のいい方なら気付いているとは思いますが、テーブルの裏には照明が入っており、暗くなりがちなテーブル下を明るくしています。見た目の印象だけでなく、何かモノを落とした時でも探しやすいですよね。
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入り口横のショーケースには或る列車の模型が飾られています。本当はこんなに金ぴかじゃなかったとしても、やっぱり夢がありますね。
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車両間を連結する幌には防音カバーが付いており、それも金色となっています。
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渡り板は三枚仕立て、なるべく段差を小さくしています。
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続いて2号車へと参りましょう。こちらにもドアがありますが、普段は使用されません。
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車端部にあるカウンターです。こちらからも飲食物を提供しています。
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その向かい側は壁になっていますが、光を使った芸術の場と化しています。
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車内です。こちらは個室席となっています。
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ドアのステンドグラスにズームイン。ロゴにあるハートがデザインに含まれています。
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天井です。1号車とは違い、光天井となっています。全席個室席だから、ということもあるんでしょうね。
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さて、個室のお席です。こちらが私の席で、運転台方向を向いて右側、ドア横にある22番席です。
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モノ自体は1号車と大きく変わりません。小言を申すなら、ここの席は窓が奥の狭い部分のみとなっています。2号車が先頭となる運用では、車窓はほとんど楽しめません。しかしこの列車は「Sweets Train」、逆にお料理に集中出来たのでそれはそれでアリかもしれません(^^;;
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戸を閉めるとこんな感じ。こちらのお席は椅子が二つあるものの、扱い上は1人用個室となっています。恐らく、両側に座席を置くことでどちらの進行方向に進んでも逆向きに座るようなことがないようにするためと思われます。案外気付きにくい配慮かもしれません。
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扉は大川組子と呼ばれる伝統工芸品を使用しています。ネジを一切使用していないのに崩れないというよく出来た逸品です。まぁこんな感じなので、「個室」という響きには少し疑問を感じるところではあります。
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なお、真ん中辺りはピンを留めることで開くことも出来ます。
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壁には鏡細工の飾りが設置されています。
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2号車乗務員室寄りにあるサニタリースペースです。列車の空間として連続性を持たせるためにここへ設置したんでしょうね。そして客室とは別の空間とすべく、仕切り扉が設置されています。
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内部です。化粧板の色がガラリと変わっています。
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入ってすぐのところには車椅子置き場があります。
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洗面台です。鏡や陶器、何から何まで凝った作りになっています。
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一番奥の乗務員室との仕切りです。この手前右側に洗面台があるため、仕切り扉は全身鏡となっています。
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窮屈な撮し方ですがトイレです(^^;; 左側がバリアフリー対応、右側が女性専用トイレとなっています。この列車はやはり女性客が圧倒的に多いんですよね。
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で、私は普段トイレの中は撮影しない主義ですが、今回ばかりはついつい撮ってしまったんですねぇ(^^;; その理由はご覧の通りで言わずもがな、トイレの中までオシャレな化粧板を使い、きれいにまとめられています。
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さて、この列車は乗る前までは車両自体がメインな感がありますが、やはりこの列車はお料理がメインです。というわけでお料理をご紹介しましょう、お席にはメニューが置かれています。
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メニューに加えて乗車時点で既に一品目がスタンバイしています。今回の乗車は8月のお盆、料理名も「灼熱の太陽」となっています。当たり前と言えば当たり前ですが、メニューは季節によって変わりますし、ローテーションとも限りませんので何度も乗ってみるのもいいかもしれません(おいそれと乗れるかって話ですが…)。
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軽食の後はスイーツが4品出てきます。どれも甘すぎというわけではない上品な甘さ加減、私は甘党ではありませんが、上等なお店でスイーツを食べるとこんな感じなんだろうなぁ、とぼやけた想像をしておりました(感想力がありませんね…苦笑)
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なお飲み物はフリーとなっています。グラスは或る列車のロゴ入りとなっています。