国鉄特急型車両の吹き溜まりであった福知山地区。ここに2015年になって、ようやくJR世代車で統一される時代がやってきました。
やってきたのは、北陸地区在来線特急の再編により「しらさぎ」から転戦してきた683系2000番台…なのですが、交流機器を停止させた上で、なんと新形式289系として運用を開始しました。新型車両でもないのに新形式を付与されるのは中々前例がありません。しかし、福知山地区に流線型の非貫通先頭車、未だに見慣れません(^^;; それにしても、今後登場するJR西日本の特急型車両の系列名はどうするんでしょうね?
運用当初は北近畿地区の全電車特急の運用に就いていたため、福知山駅ではこのように流線型先頭車が3本並ぶ時もありました。現在は「こうのとり」運用に限定して運用されているため見ることが出来ませんが、なんとも贅沢。
一方こちらは貫通型先頭車です。ダークレッドの帯が「はくたか」を彷彿とさせます。
"先輩"となる287系と並びました。どちらも華がないですねぇ…。
こちらは「くろしお」系統で使用されるグループです。帯がオーシャングリーンになってますね。以前"先輩"287系が充当されていた白浜止まりの「くろしお」で運用されており、287系は381系で運用されていた新宮までの「くろしお」に使用されるようになりました。白浜までの区間運転列車が1両丸々グリーン車で、乗車率がありそうな全区間運転列車が半室グリーン車、あれ?
貫通型先頭車もこの通り。カーブが多い紀勢本線、とうとう振り子機構を持つ車両も283系のみとなってしまいました。これでも低重心構造採用により、かつて存在した485系の「くろしお」よりは頑張っているそうですが、下と比べる評価はポジディヴではありませんね。
それでは参りましょう、デッキドアです。画像はバリアフリー対応車両のもので、幅が広げられています。
くず物いれです。飲料系とその他で分別されています。入れ口を含めた蓋がステンレスになっているのは、多分に汚れを落としやすくするためなのでしょうね。
幅が狭い箇所に関しては飲料系の入れ口が省略されています。
公衆電話跡です。テーブルでも追加してやれば、携帯電話の通話スペースとしても活用出来るのですが…。
福知山地区の基本編成に存在するトイレです。バリアフリー対応の大型トイレとなっています。
その隣には全身鏡があります。通路は狭いですので、使用時は周囲への配慮が必要です。
男子小用トイレです。やはりスペースは狭いですね。
多目的室です。ご多分に漏れず普段は閉鎖されています。
洗面台です。鏡に照明を仕込むJR西日本でよく見ることが出来る仕様です。
福知山地区付属編成のトイレです。223系2000番台のように台形状をしています。
男子小用トイレも配置を見直しています。
基本編成と付属編成の連結面です。導線は斜めとなっています。
車内です。交流機器を停止させただけなので、内装に違いはほとんどありません。画像は座席モケットがサーモンピンクの車両で、福知山地区の基本編成では自由席に割り当てられます(付属編成では指定席の場合もあります)。
デッキとの仕切りです。まずはその1、通常のものから行きましょう。仕切り扉はセンサー方式による自動ドアとなっており、窓は細長いものを使用しています。その上にはLED表示機と各種サインが並んでいますね。両側に設けられた広告枠、正直特急列車ではあまり歓迎されないような気がするのですが・・。せめてデッキに留めて置くべきです。
デッキとの仕切りその2、車椅子対応のデッキ仕切りです。仕切り扉の幅が広げられていますね。
そして、289系オリジナル点と言えるデッキ仕切りその3です。その2と同じく車椅子対応となっていますが、左側に何やら違和感があります。これはまた後ほど・・。
乗務員室との仕切りです。窓がなく、暗黙の威圧感を感じます。この先に出口がないことを視覚的に感じさせるためで、一応床面にも出口が反対側であることを示しています。共通項として、LED表示機が備わります。
天井です。暖色の間接照明はJR西日本の特急型電車のアイデンティティのひとつですね。特に夜は暖かな光に包まれます。こういう光の使い方、実に素晴らしいです。
間接照明で窓側は暗くなってしまうので、読書灯が全席に備わります。ただし方向固定です。位置が合わないと悲惨ですね。
窓です。一部を除き2席に1枚の割り当て、日除けは横引き式のカーテンです。
座席です。683系時代の座席をそのまま使用しています。
付帯設備にも変更はありません。サイドアームレストの灰皿を塞いだような金属部分もそのまま。これがあるせいで肘宛部分が残念な短さとなっており、実効面積に制限が出てしまっています。座り心地は見た目の薄さと裏腹に良好なので、ここが残念な部分と言えます。
デッキ仕切り際の座席は、テーブルが大型化されコンセントが設置されたいわゆる「オフィスシート」区画となっています。かつてこの車両が使用されていた「しらさぎ」は現在681系(もちろんオフィスシートは無し)になり、サンダーバードでも683系0番台を中心にオフィスシートが存在しない車両が存在します。ここへ来て、車内のアコモにおいて需要が旺盛で上位にあるべしとされる北陸地区を追い越してしまった格好になります。
289系になってからの変更点はここ、車椅子対応の1人掛け席です。
基本編成では車両連結位置の問題で自由席に存在していますが、この座席のみ指定席となっています。それを区別するためか、ヘッドレストリネンが緑色となっています。
リクライニングの図。窓側には非常ボタンが備わります。しかし、サーモンピンクのモケットとヘッドレストリネンの緑が全然マッチしていません。何やら「サーモンのカルパッチョ」みたいですが、その辺りの視覚のアンマッチさをあえて狙ったのかもしれません。
福知山地区の付属編成では指定席車内にあるため、ヘッドレストリネンは一般座席と同一です。やっぱこれですね。
続いてグレーのモケットの車内です。照明こそ暖色の間接照明で共通していますが、かなりモノトーンに見えます。福知山地区では指定席に充当されることが多いです。
座席です。色が違えば材質も変わるのでしょうか、少し触り心地が異なっています。
続いてグリーン車へと参りましょう。トップナンバーですね。
普通車とのデッキ中間にあるフリースペースです。683系時代の初期は喫煙スペースとなっていましたが、途中から全面禁煙となっています。現在では携帯電話での通話等に使用できます。
こんな所に飲料系のごみ入れが。中々気付きませんねこれ(^^;;
トイレです。こちらは一般仕様となっています。
男子小用トイレです。ここは変わりません。
車内です。やはり683系時代と同じで、1+2の3列配置の大型座席がズラリと並びます。
デッキとの仕切りです。青系の灰色の木目仕様となっています。荷棚には毛布が置かれています。使う時はセルフサービスとなるわけですが、やはりエクストラチャージが発生するからには使用の有無を確認するくらいのソフト面の充実が欲しい所です。
天井です。暖色系の間接照明は普通車と共通です。
荷棚下の読書灯も勿論設置されていますが、こちらは可動式となっています。
窓です。2席に一枚の割り当て・横引き式のカーテンは同じですが、柱部分に飾り照明を仕込んでいます。
座席です。まずは2人掛けから参りましょうか。しらさぎ時代と変わらず、高級感を醸し出しています。
付帯設備はヘッドレストピロー、1面・2面両方で使用可能なインアームテーブル、カップホルダー、土足/土足禁止両面を備えた方向固定式のフットレストです。
ヘッドレストピローは可動式です。ラック式等になっていないので、うまく固定出来ない席もちらほら…。
続いて1人掛けです。
683系時代からそうですが、フットレストは両側に装備されています。靴を脱いで土足禁止面にずっと足を置いていると疲れてしまうことがあります。そんな時に本来使われない方のフットレストを使用すると、足を汚すことなく体勢を変えることが出来ます。
全展開の図。座り心地は「いかにもグリーン席」と言いたい重厚なもので、柔らかさも程よく素晴らしいものだと思います。
デッキ仕切り際にはマガジンラックとコンセントのユニットボックス、フットレストが用意されています。
さて、かつて「北近畿」へ投入された183系がそうであったように、289系についても輸送サービスの適正化を目的として、全室グリーン車を半室グリーン車化する工事を一部編成へ実施しています。
中央に仕切りを取り付けるため窓を半分埋めているのが分かります。
中に入っていくと、かつて携帯電話の通話スペース(の前は喫煙スペース)だった部分はセーフティバーが付けられて荷物置き場になりました。インバウンド需要の高まりによってデカい荷物の持ち込みが増えたためなんでしょうね。
半室グリーン席車内です。座席自体はコンセントが付いた以外は改造前と同様のものが引き続き使用されています。
新たに設置された普通席との仕切りです。LED表示機が追加されていますが、何気にフルカラーLEDになったのはJR西日本の在来線ではこの系列が初なのではないでしょうか。文字もやや大きくなっています。
窓です。飾り照明もそのまま残されていますね。
さて反対側、普通席側へと参りましょう。どこかの妥協策とは違って、普通車側にもLED表示機が設置されています。
天井です。グリーン車時代の読書灯は撤去され、ツルンとした荷棚になっています。まぁ、287系と同様だと言われればそうですが、2号車以降の車両と比べればサービスレベルは下がりますよね、ええ。
座席です。モケットこそ従来車に合わせたサーモンピンクですが、モノ自体は287系と同様の座席が搭載されています。
頭でっかちで座面が短く感じるそれは全く変わらず、どう頑張っても従来の座席に対して勝ち目はありません。この座席設置した担当者、一回両方の座席座り比べてみればいいのに。
半室グリーン車の仕切りをどうするかは、デッキを挟むなりアダプタ的隙間を挟むなり各社によって対応に苦心しているポイントですが、この系列では普通席区画でも1人掛けが設置されています。自由席車に設定された1人掛けは発券ブロックがかかっていますが、この席はどうなんでしょう?