2018年、50000形「VSE」に続いて新たな展望席付きのロマンスカーが登場しました。
7000形「LSE」の後継となる70000形です。前面形状はVSEよりも柔らかな印象で、50000形がプリンスなら70000形はプリンセスと言った感じですね。なお、70000形はこれまでの展望席付きロマンスカーとは異なりボギー台車の20m級7両編成となっており、ちょうどEXEとVSEの中間を取ったような位置付けです。ようやく小田急も着地点を見つけたと言ったところでしょうか。
申し遅れました、やはりロマンスカーと言えば愛称があるもので、Graceful Super Express、略して「GSE」という愛称が付けられています。
先頭にはロゴと系列が入ったエンブレムが付いています。なお、この系列ではロマンスカーでは初となるクラシックの自動演奏機能が付いており、一部区間で流されるようになっています。ええ、カノンを聴きながらの複々線、gracefulのその文字です。
さてさてまずはデッキから、ドアです。片側に寄った細い窓のデザインはVSEと同様ですが、ドア自体は引き戸式となっています。
くずもの入れです。飲料系とその他で分別されているのはVSEやMSEと同様ですね。乗車時には気付かなかったのですが、GSEのくずもの入れは全車海側に設置されているとのこと。何でも箱根湯本駅での折り返し時、くずもの入れが山側にあると降車にどうしても時間がかかってしまうので、ゴミ入れの人と降車の人を分離するためにこうしたんだとか。
連結面の仕切り扉はロマンスカーらしく全面ガラス仕様ですが、スモークをグラデーションとして薄くする手法を用いています。凝ってますね。
トイレです。共用トイレは車椅子対応で、円筒形かつ大型のものとなっています。
トイレのドアはボタンによる半自動式、その隣にはAEDや消火器が備えられています。
男性小用トイレです。ちょっと何だかなぁと思うのはいわゆる「覗き窓」が仕切り扉同様スモークがかかっていること。中に人がいるかどうかが分かりづらく、背が低いと確実に視認できません(実際人が入っているところを勢いで開けかけた人)。
その向かい側には女性専用トイレがあります。
洗面台です。やはりロマンスカーらしくロゴ入りの暖簾が掛けられています。
中に入って一枚。自動式の蛇口や液体石鹸はVSEなどと同様ですが、微妙に配置が異なっています。
近年のインバウンド需要に答えるように荷物置き場があります。ただデッキにあるので盗難に対してやや不安に思うところではあります。
自動販売機です。車内販売の飲み物はやや高めな料金設定なので、駅で買いそびれたりして値を抑えたい時はいいですね。この辺りは庶民のちょっとした背伸びに手を差しのべたような形と言えます(笑)
車内です。色調はVSEからガラッと変えてきましたね。なおこちらは2号車、両先頭車と天井の形状が異なっています。VSEほどではないにせよ、アーチ天井になっていますね。
さて突然ですが座席です。モケットは単色だったVSEやMSEから大転換、モザイク柄になりました。モケットだけで見るとかなり観光寄りに持ってきた感がありますね。テーブルは向かい合わせ時を考慮しインアーム式、MSEで相当叩かれた反省からか面積、形状ともに改善されています。ヘッドレスト裏には「立ち上がりを容易にするため」ということで持ち手が付いています。とは言えすぐ近くには前席の方の頭があるので、使うにしても少し気を使いますね。そうそう、座席回転のためのペダルが見当たらないなぁと思ったら・・袖仕切り左下のレバーがそれらしいです。各所でかがんで手でレバーを引く様子が紹介されていますが、動作としては確実に無駄が生じていますし、ペダルに慣れている方が多いだけに何でそうしたのかと・・。
背面はこの通り、マガジンラックとドリンクポケットが一体になったボードと、フックが固定式×1と収納式×2、傘掛けが付帯設備として付いています。一本足のため、脚は伸ばすことが出来ます。
バリアフリー対応座席です。何やら、この座席は取っ払うことも出来るそうな…。それにしても、日除けが下までキッチリ下がらないのはあまり気持ちよくありません。
リクライニングの図。このフレーム自体は各地のリクライニングシートで見ることが出来るもので、肘掛けは跳ね上げ可能、サイドアームテーブルがありますがそのキャパは一般座席と比べると貧弱そのものです。
向かい側の車椅子スペースです。実際に車椅子が置いてあったのでお手本的に…。
続いて両先頭車へと参りましょう。珍しく後ろ側からご覧頂いておりますが、いやはやこれはこれで圧巻です。
デッキとの仕切りです。仕切り扉は小田急の伝統とも言える全面ガラス張り、壁も上部をガラスにしています。デザインを先述のグラデーションとして、デッキ仕切り際の方の目隠しと車内の様子をデッキ側から眺められるように両立しているのは工夫のなせる業でしょう。仕切り扉上にはLCDディスプレイが搭載されています。通勤電車に搭載されている「パッとビジョン」くらいの大きさで、文字はやや見にくいです。
天井です。両先頭車の天井には荷棚が無く、丸天井にはなっておりません。展望席からの一体感をイメージしたためなんだとか。
で、さすがに荷物の置き場に困るのは目に見えているので荷物置き場があります。こちらは客室側にあります。
さてさて魅惑の展望席です。前面形状は張り出しを抑え目にしていることもありその分非常に窓が大きくなっています。
天井です。VSEでは照明が4列になっていましたが、GSEでは両側の2列となっています。
側面の窓です。非常に分かりにくいですが、ロールカーテン用のガイドワイヤーが入っています。ここはVSEやMSEと同様、展望をなるべく遮らないようにするためで一般座席も同様です。ただうっかり触ってケガしないようにしましょう。なお、個人的には2列目の窓側は隠れた最前列だと思っています。1列目の座席が前面形状に合わせて中央側に寄せられており、ここの座席だと左カーブ部門でかなりの高ポイントを獲得していると思っています(笑) 各方面右側だと代々木上原-登戸間で圧巻の複々線が広がります。とは言え、景色がやや湾曲しているので酔いやすい方は気をつけましょう(^^;;
前面窓です。VSEより張り出しが抑えられているのは、前面展望を良くするため以外にも詰め込みを重視するためというのもあるのではないか、と邪推しています。
・・というわけで最前面からの景色をどうぞ。箱根登山鉄道線内は空席が自由席となるので少しお邪魔しました。10時打ちしても最前列が取れず・・。
座席です。一般席とデザインは変わりません。ええ、座席回転用のレバーを塞いだような所はもう少し何とかならんかと。床面があまり傾斜していないため、展望席と言いながら3~5列目は窓側に座ろうもんなら一般席とそうそう変わりません。座り心地としてはVSEやMSEと比べるとクッション性が向上しています。VSEやMSEの座席への評判が中々酷いものだったために「分かった分かった、増やしゃあいいんだろ」的な開き直り感が無いでもありません(^^;; 座面のチルト機構が廃されていますがなぜでしょう。
ヘッドレストカバーはGSEのロゴが入っています。
肘掛先端にはロマンスカーの新造車では初となるコンセントが設置されています。そういえば、この車両にはフリーWifiが飛んでおり、コンテンツで前面展望や後面展望の映像も見ることが出来ます。が、私のスマホでは「インターネット接続がありません」と言われる始末で・・。ベストアンサーお待ちしています(^^;;