大井川鐵道の真髄は、中古電車でもSLでもなくこれ、と言う方も一定数いる井川線。ミニサイズの車両が千頭-井川間を1日数往復しています。
林鉄のような軌道の間に挟まる国内唯一の現役アプト式路線が挟まるというマニアックも甚だしい路線です。千頭方にディーゼル機関車を連結し、井川行きでは推進運転を行います。
こちらはバージョン違い。ヘッドマークも異なりますね。
一方こちらは井川方先頭車。制御車となっており、後方のディーゼル機関車を遠隔操作する役割を担っています。
客車はバリエーションが豊富でして、今回キャッチ出来ただけご紹介。まずはスロフ300形のスロフ302からです。製造は昭和37年、世代的には国鉄型では111系が登場し、私鉄ではステンレスカーが世に出始めた頃ですね。
車内です。眺望を意識したのか全席クロスシートとなっています。天井を撮り忘れていましたが、照明にカバーが付いているのは背が低いからでしょう。なお全車非冷房、涼は窓からの自然風のみです。
車端部です。貫通路は無く、各車で完結する形となっています。
座席です。国鉄型車両に見られるフレームのボックスシートですね。
こちらは向かい側の1列席で、ドア横は1人掛けです。
かつて窓下には灰皿があったのでしょう、撤去痕があります。座席自体はクッション薄めで長時間乗車ではややしんどいですね。
続いてはスロフ314です。
車内です。モケットが変わるだけで印象もかなり変わります。
ドアです。各車両手動の片開き式で、発車の際は車掌さんが1両ずつ閉めていきます。
座席です。モケット以外は先程のスロフ302と変わりません。
この車両は灰皿の撤去痕が有りませんね。車両によって処理の仕方が異なるようです。
お次はスロフ312へと参ります。
車内です。なぜスロフ302と314との間にあるこの車両だけ座席がこんなにも違うのでしょう(^^;;
ドアです。化粧板の色も異なりますね。各車ともにステップが有り、そのステップもかなり段差が大きいものなので注意が必要です。
で、問題の座席。
背ズリ低めでバスの座席のような見た目です。クッションもあまり詰められていないのでハズレと言えばハズレの部類に入るでしょうね。
車端部に関しては2人掛けが2つ並んでいます。
こちらはディーゼル機関車次位に連結されたスロニ200形のスロニ202です。荷物車兼ではありますが、基本的にはお客さんが乗っています。
というわけで車内。他の車両と異なりロングシート、車窓を楽しむという点ではあまり登場頂きたくない車両ではあります。
ドア手前には手動ブレーキもありますが、手を触れてはいけません。
天井です。唯一荷棚が付いた車両で、懐かしい網棚となっています。
座席です。まぁ何の変哲もないロングシートで、袖仕切りも簡易なパイプ式です。
所々モケットの貼り替えが行われており、色味が異なる区画も…。
こちらはかつての荷物車区画。かつては座席が無く展望区画として使われたらしいですが、今は座席が置かれています。
…まぁそれも簡易的なものですが。ロングシートと言えども、移動式とすることで全体的に眺望が良い井川方を向いて右側を向いて座れるとなれば、それはそれで悪く有りません。
最後は井川方の制御車、クハ600形、このクハ601のみスロフ300形のスロフ310からの改造なんだとか。井川線の形式でよく分からないのは、二つ目の記号は等級を表すハズなのに「ロ」と「ハ」が混在していること。いずれも特別料金はかかりませんが、スロニがロングシートでクハがボックスシートだったり…。
乗務員室背後にはアプト式を象ったロゴが入っています。
こちらはクハ602、クハ601とは異なり新造された車両です。
行き先はサボ式、井川行きは青地ですが、接岨峡温泉までの区間便は色が異なります。
車内です。確かクハ602、新造らしく各部も微妙に異なります。なお、井川方右側最前列では前面展望も楽しめます。
ドアです。ドアレールもついており、製造時期らしいスタイルではあります。
車端部です。窓が他の車両と異なり1枚の大窓となっています。
天井です。角張った肩部が異なる点ですね。照明は他の車両同様にカバー付きの蛍光灯が1列配置されています。新製車でも相変わらず非冷房ですね…。
窓です。非冷房だけあり開閉可能で、二段窓となっています。なお日除けは有りません。
窓枠には注意のステッカーが。「ほぼ取れなくなります」(笑)
座席はスロフ300形同様ボックスシートですが、形状がやや異なり座り心地もこちらの方がいいように思います。微々たる差ですけどね(笑)
車端部はロングシートレベルの背ズリの低さです。ちょっぴり遜色出ちゃいますよね(^^;;
優先座席ならぬ「おもいやり席」。車掌さんからの放送では「落石等のため緊急停車する恐れが有ります」など耳を疑う放送が流れますが、実際乗って見るとなるほど落ちてきそうな場所を通るので、おもいやり席だからと言って立っているのは危険です。ホームでも、相席でもいいから座るように案内されます。
そして車掌さんの業務スペース。きっぷ等の確認のため、各車に放送設備と手動ブレーキが備えられています。
井川線の開業から60年、中部電力のおかげで残っている節はあるものの、観光資源としてこれからも走り続けて欲しいですね。
千頭駅の最終列車、まさかの14:44発接岨峡温泉行き。さすがに乗客はまばらですね(^^;;