昨今の鉄道業界ではクルーズ列車を中心に、旅行会社や別会社が専用の車両を鉄道会社が保有するケースが増えています。
その先駆けとなったのが、近鉄の15400系です。同社の子会社となる旅行会社、クラブツーリズム専用の車両となっており、伊勢へのツアーで時折使用されています。車両はかつて汎用特急「スナックカー」として活躍した12200系で、あちらが全車引退となる一方でこちらは今しばらくの活躍が見込まれますね。
列車名は「かぎろひ」、輝く光という意味で、朝日の輝く美しい空をイメージしているとのこと。
側面の方向幕は埋められていませんが、ロゴで固定されています。
2両編成で、トイレがある部分にはこれまたロゴが入ります。菱形のパンタグラフも、いよいよ数が少なくなってきたような気がします。
1号車にはクラブツーリズムのロゴ。
基本的にクラブツーリズムのツアーでのみ乗車が可能で、特急券の購入等一般の乗車が出来ません。そういう意味では、ほんの少しハードルが高い列車ではありますね。
大阪上本町にて、ビスタカーと並びました。
それでは参りましょう、まずはデッキ、ドアからです。昔の近鉄特急では定番だった折戸で、挟み込み防止のためロープが張られています。ここ構造からしてなのですが、客室への面積を極力拡大し、デッキは必要最低限の面積となっています。
洗面台です。かつてはペダルを踏んで水を出す「フェイク自動蛇口」だったのだと思いますが、今ではセンサー式の自動蛇口になっています。左側の仕切り壁には近鉄特急伝統のおしぼりストッカーもあります。
トイレです。中はしっかり洋式になっています。
また向かい側は女性専用となっています。
車内です。元々12200系の中でも更新工事を施された編成を種車に選んでいるということもあり、2021年度以降も残る「サニーカー」よりは車内設備としてはワンランク上のものとなっています。・・というより、そもそもスナックカー時代からも変わってるところは結構変わっています。
1号車、最前面側のデッキとの仕切りです。元々ここにも座席が有りましたが、別の機能になっています。手前の衝立が、クイズ番組の司会のテーブルみたいですね(^^;; あと、壁にクラブツーリズムのロゴが入っています。
2号車の車端部側、デッキとの仕切りです。こちらもカウンターに改装されています。後程詳しく見てみましょう。
天井です。構造自体は更新工事後のまま、間接照明に窓上の補助照明という構成です。ただ、暖色系に交換されており印象が変わっています。
窓です。2席に1枚、横引式の日除け、こちらは大きく変わりません。
座席です。近鉄特急の座席としては珍しい緑系のモケットが目を引きます。赤いヘッドレストリネン・・クリスマスツリーですね()
フリーストップ式のリクライニングシート、登場当初に比べてえらく居住性の改善が図られております。ベースは22000系の座席ですが、背ズリにもある程度のクッション性を持たせたものとなっており、座り心地にも配慮したんだなぁ、とは思います(21020系では再びあんなことになっちゃいましたが・・)。ただ脚台はこれまで通り蹴り込みこそ入ってますがスルーではなく、その脚台の幅のせいか22000系にはあったセンターアームレストが省略されています。また、コンセントもありません。
デッキ付近の荷物置き場です。大きいものだと一つ置くといっぱいですが…。
手前の座席を撤去したスペースを活用して荷物置き場が設置されています。
サービスカウンターです。夏場には、この車両を用いたビアトレインのツアー等も販売され、それに対応するためにビールサーバーも搭載されています。
サービスカウンターを裏側から。車内で本格的な生ビールを飲めるのって、やっぱりいいですなぁ。
「ワレ何見とんねんいてこましたろか」 す、すみませんっっ
向かい側のカウンターです。ここで立ち飲みも出来るということですね。
スナックカーの面影を残す「かぎろひ」、これに乗って伊勢へ出かけるのもいいのではないでしょうか。なお、阪伊間の運用ではもちろん臨時ダイヤで運転するわけですが、定期列車の合間を縫って運転することから運転停車が多いです。添乗員さんも開き直って(笑)、「そういう列車です、ゆっくり向かいます」と言われておりました。乗ることが目的でもあるので、急ぐ旅ではないですね。