JR九州の電車特急の運用のほとんどに噛み付いていると言える787系、2020年から、九州中を走る壮大な観光列車になった編成が登場しました。
36ぷらす3、5日間で九州を一周する観光列車となっており、5日間を宿泊しながら巡るツアーなんかもあったりします。
列車は元BM-15編成を改造した6両編成、近年はTHE ROYAL EXPRESSやWEST EXPRESS 銀河等のように、比較的長編成の観光列車が増えて来たように思います。
編成は列車名にちなんでBM-363編成、塗装は漆黒になり、ライト周りは金色の縁取りがされています。塗装もあいまりダース・ベイダーみたいになりましたね。
全車グリーン車という強気な観光列車で、各車でデザインが異なります。
787系自体水戸岡デザインで登場した系列ですが、観光列車化についても水戸岡氏が手掛けております。画像が多いため、まずは5、6号車のグリーン車指定席車をご紹介します。
まずは5号車からです。デッキの窓が無い部分にはロゴが入っています。この辺もミトーカデザインらしいですね。
デッキ、ドアです。元々シルバーや原色メタリックという「平成っぽさ」が出たものでしたが、外観に合わせてブラックメタリックの化粧板になっております。
南九州を中心に低床ホームが多々あるのでステップがあります。足元にフットライトがありますが、少しばかりシャレたデザインですね。
トイレです。両側に個室があり、男女で区別しています。中に洗面台や鏡等を納めているのがJR九州の特急型車両の特徴ですね。
こちらは向かい側の女性用です。両方ともに飾り照明が付いています。
車内です。暗めのトーンだったリニューアル前と比べて華やかさを全面に押し出したデザインになりました。近年は定期列車にも同じようなデザインのものが出ているので、目新しいかと言えばあまりそうではありません。
デッキとの仕切りです。元々のハットラック式の荷棚は変わらないためロッカーを設けており、新たに設置された暖簾と壁は仕切り扉から少し遠い位置関係になっています。
仕切り扉や案内表示は化粧板が変わった以外はそのまんまですね。
その扉の方から客室方向を見ます。両側共にデザインを合わせた扉がありますが、片側は旅客用の大型荷物を収納するロッカー、反対側は業務用となっています。
天井です。ハットラック式の荷棚は唐草模様風の化粧板となり、中央にはダウンライトが追加されています。
照明カバーも植物の柄になっています。中央にはロゴが入っております。
窓です。木の枠が追加されているのはここ最近のミトーカデザインにかかった特急型車両に共通ですが、加えて障子が付けられています。…これ、閉められている時は見映えとしてはいいんですよね…が、外をみようとした時、窓の半分しか開くことが出来ません。それを承知で見た目に走ったんだとは思いますが、景色がウリな区間もあるだけに、「何だかねぇ…」と思ってしまいます。
座席です。ベースとなっているのは800系新幹線の座席ですかね、グリーン車であろうとお構い無く既視感の塊なのは良くも悪くもミトーカデザインの特徴です(少なくとも私はコストカットの文字が頭を駆け抜けます)。
向かい側はグリーン車指定席の意地か1人掛け、座席の横幅はゆったりとしています。が、シートピッチは普通車時代と変わりません。普通車時代から1,000mmを確保していたからこそ、「グリーン車としてはちょっと狭いね」くらいで済む結果になっております。
グリーン車ながらフットレストの類いが無いのは885系あたりから変わっていません。ここ最近は付いていたものを撤去してしまうくらいですので、メンテに白旗を上げた座席作りに走ってしまった印象です。
全展開の図。800系と比べて肩部分の違和感は少なくなっているようには思います。が、座面の扁平さは相変わらずですね。
壁際や荷棚の座席です。テーブルはインアーム式ながら、固定式のテーブルが付いています。なお構造上仕方ありませんが、足元の配管はバッチリそのまま残っています。一応、何食わぬ顔で「ここも車内空間でっせ」と言わんばかりに化粧板こそ追加していますが…。
2人掛け側はこんな感じ。座席の回転を邪魔しないようにするためにこんな形になっているんでしょうね。それは分かりますが、使う側の実用性は「?」…相変わらず縁取り無いですし…。
車両中央部、かつて荷物置き場があった部分です。テーブルっぽい何かがありますが、今でも荷物置き場になることもあれば、アテンダントさんがお客さんとの行き違いに使ったりしています。飾り照明も付いて、良いアクセントになっています。
続いては先頭(もしくは最後尾)の6号車です。クモロ787-363、編成番号のみならず車番も363になっております。
デッキ、ドアです。号車表示以外は5号車と特に変わり有りません。
各車ともに、額縁に入った号車表示もあります。伊豆急行2100系「THE ROYAL EXPRESS」仕様車でも同様のものを見ることが出来ますね。
仕切り扉は赤色の化粧板となっていますね。
ロッカーです。二段式で、一応上段は滑り出し防止のためのベルトがあるようです。下段の椅子は、靴の脱着を考慮して置かれてるものなんでしょうね。
ロッカーの上部も赤、一時コーポレートカラーの赤を部分的ながら大胆に取り入れていた時期がありましたが、それを彷彿とさせます。照明カバーに注目すると、様々なパターンのデザインを並べたものになっています。中にはこの列車のロゴが入ったパネルもありますね。
6号車には靴箱があり、座席番号と同じ側に自身の割り当てとなる靴箱が配置されています。
荷物置き場⇔靴箱⇔客室との仕切りにはやはり暖簾があります。
車内です。5号車は色調が異なる他、一番の違いは…
こちら、床面です。土足禁止となっておりまして、通路部分には畳にも使われるい草素材のカーペットが敷かれています。近年の鉄道車両で、堀ごたつのような車両以外で土足禁止となる車両は珍しいですね。
デッキとの仕切りです。追加された仕切り壁はやはり赤色となっていますね。
最前面です。元普通車ですが、DXグリーン車のような仕切りが付いています。この奥は後程。
天井です。ハットラック式荷棚の化粧板や照明カバーのデザインが5号車と異なります。遠目には竹製のようにも見えますね。
座席です。フレーム自体は5号車と同様ですね。
インアームテーブルは両面式ですが、鉄道に詳しく無い人からしても「使い勝手が悪そう」というコメントが出るくらいには変な形をしております。なんでそうなったかと言われれば、800系新幹線の項目を見てもらえれば分かりますが元のフレームが1/4円形のテーブルであり、(多分)「それではお料理を載せ切れない」ということでそのテーブル形状を変えないまま両面式にしたためにこんなことになったんだと思います。これ、構造上こうするしかなかったんだと思うんですが、「デザイナーの仕事としてこれでGoサイン出るんやな」と思いました。
座席モケットが色々あるのはいつものこと、目にも鮮やかですね。
800系新幹線ベースに、背面にはレザーのポケットが追加されています。上段のポケットには車内販売のメニューが入れられております。
1人掛けです。左側のアームレストは2人掛けのセンターアームレストをそのまんま流用しております。「広けりゃいいだろ?」というやっつけコメントが聞こえてきそうですが…。その割にコンセントは一つだけでしっかり(?)作っています。
窓枠に木製フレームを取り付けていることから、窓側には肘を逃がせる余裕がありません。まぁ…見た目第一ですもんね、ええ…。
最後に最前面のフリースペースです。乗務員室への扉にはお馴染み暖簾が付いております。両側には固定テーブルがあり、そこには各ルートで貰える記念乗車証が飾られております。