首都圏では郊外から都心への直通運転が盛んですが、2019年に相鉄・JR直通線という新たな直通運転がスタートしました。そんな相鉄が直通運転用に用意したのが、12000系です。
相鉄が進める新たなブランド、ネイビーブルーの塗装に身を包み、前面は最近のミニバンのようないかついデザインになっています。ライトがより目に見えること、「ブルートレインの電気機関車のルーバー」をイメージした装飾がそれを思わせるのでしょう。20000系と違って法律上の地下区間を走行しないことから、非貫通構造となっています。
東急方面へ直通するほぼ同形車の20000系は日立製でアルミ車体ですが、こちらはステンレス車体(前面は加工しやすいように鋼製)となっています。近年は増えて来ているとはいえステンレス車体への塗装は難しく、J-TRECも嫌だったでしょうねぇ(笑) JR車と比べると、やはりインパクトは凄いです。
車内です。カラーコードは20000系に準じていますが、J-TRECが担当しただけあり差異もあります。外観はネイビーブルーですが、内装はグレートーンでまとめられています。
ドアです。基本形態はE235系に準じた形態のため、カクカクした窓に化粧板を貼り付けたスタイルになっています。LCDディスプレイは二面式、右側には非常用のドアコックがあります。
半自動機構も備えているようで、外側に開ける、内側に開閉両方のボタンを付けています。外側は光るのと矢印の絵文字以外は何も表記が無く、少々不親切かもしれません。
車端部です。妻面は黒色の化粧板を使い、メリハリを付けています。消火器を収納している蓋も同じ化粧板を貼っているものの、赤いラインに標準車体のキツネの尻尾が見えた思いですが、消化器って赤色ですから、自然とこうにもなりますよね。
優先座席とフリースペースを有する車端部です。仕切り扉は11000系から引き続き全車設置、この辺りは現在の標準仕様に合わせたとは言え、サービス水準を他社並みに戻したと言えましょう。ここ最近というか、7000系からずっと仕切り扉は一部車両にしか付いてきませんでしたもんねぇ。デザインはE235系とは異なり全面ガラス製、激突防止のためボーダーラインの模様が入っています。
最前面です。こちらも化粧板のデザインに騙されがちですが、構造はJR車両に準じています。と言っても、仕切り扉の窓にも握り棒があったり、境い目の金属を塗装仕上げにしたり、オリジナルポイントも多々あったり。
あとは、一時期省略されていた鏡が復活しています。「相鉄と言えばこれ」という声も多かったんでしょうね。
天井です。意外だったのはラインデリアが塗装仕上げとなり、照明が反射式のLED灯を採用していることです。これまでの相鉄車ではカバー無しの蛍光灯か直管式のLED灯を採用してきた中で、突如としてのこの力を入れ様、「相鉄デザインブランドアッププロジェクト」の威力たるや凄まじいです。吊革は持ち手が俵形となっています。使用感は五角形とはあまり変わらない中で、やっぱりブランドなんでしょうね。
窓です。天井部分は力が入っているものの、こちらは日除けを省略した着色ガラスで済まされています。この辺は手抜いちゃうんですから、もうちょっと頑張って欲しかったところ。
座席です。ドア間は基本的に7人掛けです。20000系と異なる点としてこの座席でして、あちらはA-Train標準の座席ですが、こちらはJ-TRECの標準座席が搭載されています。袖仕切りが荷棚までの高さがあり、外気直撃は防いでいます。が、ひんやり感や頭でもたれかかられた時の汚れはどう頑張っても防げません。
先頭車両、最前面直後のドア間は4人掛け、乗務員室拡大の煽りを受ける形でこうなった訳ですが、ラッシュ時の座席争奪戦は他の区画に比べて激化しがちです。
車端部の3人掛けです。こちらには各席に仕切りが入っており、お年寄りの方などが立ち上がる際に支えられるようになっています。おかげで、座れる方の横幅は大幅に制限されることになり窮屈そうですが(笑)
優先座席です。モケットは赤色、仕切りは黄色になっています。
‥なんですが、仕切りが無い区画も。座り心地はE235系と同様、座面のクッション性は良好なのですが、ロングシートは構成上横揺れという要因が常につきまとう訳ですが、この背ズリの面積の狭さはどうにかならんもんかと思います。何もこんなところまで一緒にせんでも。
フリースペースです。握り棒が3本、非常通話装置とヒーターが備わります。
最前面後ろにはヒーターがあります。立ち席も多く出る区画にして暖房が届かず寒い思いをするのを防ぐためのファインプレーです。その上には広告枠がビタッと収まっています。