直流区間の3扉近郊型電車のパイオニアとして登場したのが111系です。その後電動車の出力を増強した113系が登場し、JR西日本では令和の世になっても現役で活躍を続けています。
リニア・鉄道館を運営するJR東海では、211系や313系の増備で全車が運用を終了しております。しかしながら、記念すべきトップナンバーの先頭車がここに保存されています。
側窓は非ユニット窓と呼ばれる隅が丸い処理が施されたものになっております。
車内です。アイスグリーンの化粧板に紺色のモケット、3扉セミクロスシートという典型的な国鉄近郊型電車のパッケージです。なお車内は先頭車側の半分が立ち入り可能で、車端部側半分は立ち入りが禁止されています。
ドアです。現在残る国鉄型車両の多くはステンレス仕上げのドアである中、塗装仕上げとされた「塗りドア」が装備されています。化粧板に合わせたアイスグリーンの塗装で、統一感を生み出しています。ドアエンジンの張り出しが中々大きく物々しいですね。
車端部です。仕切り扉もアイスグリーン、窓はビス打ちのキセで固定されています。何気に今の車両では取り入れられることのない作りですね。消火器はデフォルトで置かれていたわけでは無く、保存車を万が一の火災時に少しでも早く消化できるように置かれたものでございます。
最前面です。今残る113系・115系は窓がかなり小さいですが、それに比べると比較的大きな窓となっています。窓が小さくなったのは恐らくATSの関係で、左側にデッドスペース的なボックスは、その関係のものなんでしょうね。仕切りの上には通気孔が備わっています。
天井です。非冷房のまま廃車されたため、弧を描いた造形がそのまんま残っています。中央には通風器と扇風機、両側にはカバーの無い蛍光灯が並びます。あと吊革はロングシート上のみの設置、これも今ではあまり見かけない国鉄のこだわり配置ですね。
窓です。中央二枚は二段窓、両側は戸袋窓となっています。日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプ、戸袋窓の部分はカーテンレールが無く、爪だけが設置されています。
座席です。ドア間はクロスシートとロングシートが二組ずつ備わるセミクロスシートとなっています。
まずはクロスシートから、典型的なボックスシートで、まだまだ各地で見ることが出来るベストセラー品です。この後に、シートピッチや座席幅の拡大を図ったりテーブルが追加されたりした車両が登場してくる訳ですが…。そうなる前のものなので全体的に窮屈、膝を付き合わせて、弁当や飲み物は膝の上に載せて移動してきたことでしょう。にもかかわらず窓の下には灰皿、これも火災防止のためという時代の産物で、今では寝台車と喫煙室を除いて全て禁煙なわけですから、ある意味よい世の中になったものだと思います。肩部にはかまぼこ型の持ち手があり、これも今ではJR線上では全滅、三セクの国鉄型車両で少数が生き残るのみとなった隠れた貴重品です。もちろん、それまでに廃車された保存車ではこのように一定数確認することは出来ますが‥。
ドア横のロングシートです。袖仕切りはパイプタイプ、背ズリは直角でクッションもほぼなし、東京基準で横浜・大宮などまでがちょうどいいくらいです。こちらも、時代が進むにつれてクッション性や角度の改善が図られていくことになります。あと、クロスシート背面にも灰皿が設置されています。
最前面、運転席背後のロングシートです。後付けしたデッドスペースが目につきます。それでも、窓下の握り棒は撤去されずに残されたようです。
車掌台側のロングシートは3人掛けです。乗務員室との仕切りにも袖仕切りがありますが、これは中間に入った際、この仕切りを約90°回転させて客室として開放できるような構造にしていたためです。同様の構造は、現役ですと水島臨海鉄道のキハ30形や、近鉄で見ることが出来ますね。
最後にトイレです。中はもちろん和式、これでも211系3両編成に比べれば、もしもの時にも安心だったでしょう(殴) 広告枠にはJR東海管内の路線図が入っています。
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