全国で唯一、固定運用でこだま色を見ることが出来る列車、こうのとり、きのさき、はしだてで運用されているのが、くろしお系統への287系投入により転戦してきた381系です。元々はJR西日本更新色くろしおバージョンをまとっていましたが、福知山転属に際して国鉄特急色に塗り替えられた次第。
こうのとりに充当される381系です。元々こうのとりの前身である北近畿に381系を投入する計画があったのですが、485系から交流機器を外した183系を導入するという計画に変更されたため幻となっていました。結果的に381系投入が実現したことになりますが、振り子装置は停止されているため、本来の使われ方はされていませんね・・。国鉄型車両が国鉄型車両を置き換えた形になっていますが、転戦理由としては、287系の新製両数では183系を全車置換えが出来なかったこと。そして、丁度同時期にくろしお系統へ同じ287系を導入して、183系と比べて経年が浅くアコモ改善工事が施された381系が余剰となったことから転属が決まったようです。現在では直接的なつながりは無いものの、置き換えた系列と同じ系列の車両と北近畿を走っています。381系もいささか苦笑を禁じえないか。
きのさきやはしだてにも充当される関係で、くろしお時代にも足を伸ばしていた京都駅にも現れます。
それでは参ります。まずはデッキから。ドアは片開きで、化粧板は貼られていません。よくも悪くも国鉄イズム。低床ホームに対応するためのステップは埋められています。
トイレ横には鏡も設置されています。トイレは和式です。さすがに撮っていませんが、トイレ内はなんとこだま色で塗られています(^^;; 生々しいって・・。
洗面台です。こちらも色使いがなんとも・・。側面には窪みを付けた小物置きがあります。
蛇口左側にはこのように温度調節のレバーが備わります。その下には固形石鹸が。
車内です。くろしお時代と比べて落ち着いた印象ですが、これは恐らくリネンがかけかえられた結果ですね。
天井です。国鉄特急型車両ではよく見かけるものですね。冷房吹き出し口とカバーのかかった蛍光灯以外、余計なものはありません。
デッキとの仕切り部。LED表示などは当然あるわけもなく、便所使用知らせ灯と自由/指定を知らせるサボくらいですね。仕切り扉は窓が長いもので、あめ色をしています。
座席です。回転リクライニングシートです。先述のとおり、くろしお時代は黄色のリネンがかけられていたため明るい印象だったのですが、福知山支社標準のものに交換された結果なかなか落ち着いた感じになりました。シートバックテーブルもありますが、簡リク時代の名残か、窓側には小テーブルがあります。向かい合わせ使用時に物を置くにはいいですね(キャパ云々を別にして)。
アコモ改善でシートピッチが拡大されているため、中にはこのように視界が完全に「…」な箇所も・・。そして振り子車両の必須条件である「低重心」を実現するために冷房装置が床下に配置されている関係で、窓側足元にはキハ40系列のようにダクトが通っています。
背面を見てみます。シートバックテーブルの色が見事にバラバラです(^^;;
各車両中央には、これまた冷房ダクトの関係で1人掛け席があります。
これがその座席です。1人掛けとあり、狙って使っている人もいるようですが、通路側に寄せてセットされているため、窓までなかなか遠いです(^^;;
全展開の図。2人掛け席よりも深く倒れているように見えるのはデフォルトとの比較が出来ないからでしょうか。
ダクトには2人掛け席の半分程の大きさのミニテーブルが備わります。
リネンには北近畿ビッグXネットワークのロゴが描かれています。
裏側にはチケットホルダーがついています。ここに乗車券と特急券をいれておくと、車掌さんが勝手に検札してくれます。ただし、下車時に乗車券の取り忘れには十分ご注意を。
デッキ仕切り際の席は固定式のテーブルが設置されています。やはりシートバックテーブルに比べると多少狭いです。
反対側のデッキ仕切り際は、シートピッチ拡大による調整のためデッドスペースがあります。ご丁寧に固定テーブルも付けられていますが、どちらかの高さを揃えたほうが使い勝手がいいように思います。
普通車最前面は、こちらも調整のためのデッドスペースがありますが、出入り口側と処理の仕方が異なっています。さながら荷物置き場のようになっており、大型の荷物を持ち込んでいる場合にはこちらに置くのも悪くありません。
さて続いてグリーン車です。最新鋭、287系は「クモロハ286」という営業用車両として詰め込められるだけの記号を詰め込んだ半室グリーン車ですが、381系ではくろしお時代から変わらず全室グリーン車となっています。
トイレです。ここは洋式に交換されています。中もこだま色ではなく落ち着いた配色で、この辺り、普通車との格差が見て取れる次第。
温度調節こそ無いものの、蛇口は自動、石鹸もソープタイプが備わります。
天井です。元々普通車だった車両をグリーン車化したものなので、普通車時代と変わりありません。そのためスポット照明などはありません。
デッキ仕切りです。仕切り扉は配列に合わせて左側に寄せられています。
窓です。381系の特徴の一つであったベネシャンブラインドは撤去されましたが、2重窓は静粛性保持の観点からそのままとされています。代わりとして横引きのカーテンが設置されました。これは普通車も同様です。
座席です。まずは2人掛けから。大型で深く倒れる背ズリ、シートバック式と両側収納のインアーム式両方を備えたテーブル、土足/土禁両面仕様のフットレストなど、グリーン車として求められる最低限の設備は持っています。ただ、287系に存在するコンセントが無いなど、最先端を走るグリーン車との設備面での格差は「ハズレ」と捉えられるかもしれません。
全展開してみました。シートバックテーブルとインアームテーブルがわずかに干渉するのみとなっているので、実効面積はなかなか広めです。
冷房ダクトの影響はグリーン車にも出ています。2人掛け側でもこの場所のみ1人掛けとなっています。グリーン車という関係からなるべく窓側に寄せようとはしていますが、逆にフットレストは使えない(後ろの席もまた然り)わダクトで視界は遮られるわで散々たる状況です。まぁ指名買いしない限り、恐らく最後まで売り残す席だとは思いますが・・。
そして普通車からの改造故、窓割がチグハグです。場所によってはこのように柱がどーんと・・。通路側の方がよく見えるんじゃないかと(笑)
フットレストです。デフォルトはこのように土足面をむけてあります。右側の小さなレバーを踏んでやると、バーが下がり土足禁止面に反転します。土足禁止面は座席モケットと同じ柄になっています。
ここからはフットレストパラダイス、パラダイスその1。一応窓割とシートピッチに関して一定の配慮がなされているようで、一部は座席間調整のため、シートピッチが超弩級の広さになっています。どうやら、この区画が営業用列車では先日デビューしたE653系いなほグリーン車に次いでピッチが広いようで、数値だけ見ればE5系のグランクラスよりも約20cm多く稼いでいます。ですが逆によそよそしいですよね(^^;; よってフットレストも設置されているものの現実的に考えて使えるわけが無いと判断したようで、例のごとく三角オットマンが置かれています。3枚目の画像に写っているのですが、センターアームレストの側面に、元々オーディオ機器があったような形状になっています。多分オーディオ機器は搭載されていないと思うのですが・・。
パラダイスその2。例の2人掛け列に唯一存在する1人掛け席の横には、先ほどよりもはるかに大きなデカオットマンが置かれています(^^;; よく見ると、両側で使えるようになってるんですね、これ・・。
パラダイスその3、乗務員室直後やデッキ仕切り際に設置されているものです。基部にかたどられたグリーンマークがアクセントですね。ちなみに、こちらは反転機構は無く、「土足面のみ」となっています。
パラダイスその4、乗務員室直後の2人掛け側です。通路側はスペースの関係か、フットレストが設置できなかったようで、三角形のオットマン(土足禁止面のみ)が置かれています。
パラダイスその5。これは別車両の同じ乗務員室直後のポジションなのですが・・、あるはずのオットマンがありません・・。ただ無造作に置いてあるだけなので盗難されたのでしょうか・・。
パラダイスその6。在庫の関係か、なんと先ほどのデカオットマンが横向きに置かれています。「その5」とこれでは取材日が違うのですが、もしかしたら車両は一緒で、後ほどこのオットマンが置かれたのかもしれません。なんにせよ、本来想定されているはずの使用方法ではないですし、窓側のフットレストが明らかに使いづらいです。
最後にパラダイス7。一見さっきと同じ、フツーの土側面のみのフットレストに見えますが・・。何やら窓側のフットレストの様子が・・。
ああ、故障のため使用停止中ですかそうですか(^^;; ですが、普通席ならば兎も角、決して安くないグリーン料金を払ってこの対応は如何なものでしょうか。差額を払って乗車するからには、その差額に見合った対応でおもてなしをするのが2クラス制の列車を運行する会社としての最低限の礼儀であると思います。もうさすがに修理されていると思いますが・・。
そんな少し疲労も見え隠れする381系、最後の定期こだま色特急として今日も北近畿を走り抜けます。
~おまけ~
2011年3月11日、関西でとある列車が営業運転を終えました。
それがやまとじライナーと、このはんわライナーです。JR西日本としては最初で最後のホームライナーでした。非アコモ改善の国鉄色車で運転されていました。この車両が後に福知山へ転属し183系モノクラス編成を置換え、287系新製までの繋ぎとして走っていました。現在は287系に置き換えられて、このグループは廃車されています。このことからも、如何に183系の経年が相当のものだったかを計り知ることが出来ます。
なつかしのはんわライナーの方向幕。
札幌都市圏や中京圏ではお馴染みかと思われますが、乗車には乗車整理券が必要で、号車と列番のみが指定され、左右窓側通路側どこに座っても良いというシステムでした。どうも関西圏で有料の快速列車というのは定着しませんねぇ・・。
座席そのものは上の普通車と変わりませんが、非アコモ車のためシートピッチは狭いです。小テーブルの下には、灰皿があったであろうビス穴が残っています。
当時そこまで真剣にこの活動を行っていなかったので、テーブルも出してないわ脚台は写ってないわで・・。え、今も大概?言わないでください。