西九州新幹線開業に伴い非電化となった肥前浜以西の長崎本線。かつては「36ぷらす3」が長崎駅にまで乗り入れていましたが、非電化となったことによる観光列車の維持と、西九州新幹線開業に合わせた観光列車による旅客誘致のため、新たな観光列車が走り始めています。
「ふたつ星4047」、新幹線と同じ区間である武雄温泉↔長崎の運転ですが運転経路は中々クセモノで、長崎行きは佐世保線・長崎本線経由、武雄温泉行きは大村線・佐世保線と、往復で経路が異なります。往復で行き先が異なることはありますが、経路が異なる観光列車は珍しいですね。
トイレなど壁が出来ればここぞとばかりにロゴを貼りまくるのはもうお馴染み同氏の仕業です。金色のラインは意匠性チタンのTranTixxii®を採用しており、何でも鉄道車両では世界初採用なんだとか。同じ九州の八幡製鉄所を発祥のひとつとする縁を持つ日本製鉄からの売り込みでドーンデザインが採用した経緯があるようですが、実際に素材となるチタンを作っているのは山口県だということは公然のヒミツです。
今回は1号車、キハ47 8092を種車にしたキハ47 4047をご紹介。「はやとの風」から転用された車両ですが、「全然変わってへんやないかい!」とも言いたくなります。3号車のキハ147とは異なり明るめの色調となっております。
ドアです。白い塗りドアで、ドア上の広告枠や窓のロゴなどのデザインが変更されています。ステップは半分程度は埋められており、以前より乗り降りはラクになっています。元々電車やキハ200系列が走っていた区間ですので、逆段差にならないようにするためですね。
車端部です。こちらはトイレがあります。仕切り扉は昔ながらのスタイルのままで、化粧板が貼り替えられた程度です。
最前面です。キハ147と同様、仕切り窓は運転台の背後のみです。
天井です。照明カバーの形状がキハ147と異なります。中央にはミトーカデザインらしいイラストのパネルが等間隔で貼られています。荷棚はパネルが追加されており、改造時期の違いが見て取れます。キハ147側が再改造されなかったのが不思議なくらいですが…。
窓です。普通列車時代のままの二段窓で、下段は少しだけ開閉が可能です。元々は下段の高さ分が開けましたが、現在はストッパーが追加されて開口面積を制限しています。日除けは簾調、爪を引っ掛けるロールカーテンタイプとなっています。柱には飾り照明が設置されています。
座席です。「はやとの風」時代そのまんま、885系のフレームに800系新幹線などで見られた一枚ものの木の板を背ズリに使い、座面、腰部、ヘッドレスト部分にクッションを取り付けたリクライニングシートとなっています。色調は明るめなので、個人的にはこちらの方が好みではあります(それでもモケットくらい変えれば良かったと思いますが…)。なお窓割りは普通列車時代のままなので、この通りガッツリ修行席となる区画が多数あります。
残念ながら国内トップレベルでの駄席っぷりは健在、座面のクッションは薄いですし、何より背ズリ下部のクッションが極悪で、上部のフレームがざっくり背骨に当たります。あと、「はやとの風」時代はヘッドレストリネンが付いていましたが、ここではそれすら省略されています。モケットの汚れが今から心配です。また九州中で存在する1/4円形のテーブル、何を置くことを念頭にしたものなんでしょうね?
衝立がある区画には固定テーブルがあります。窓側はともかく、通路側は面積が狭く設計されているためあまり使い物になりません。
車椅子対応座席です。通常はとあるタイミングまで発券ブロックがかけられた区画となります。
リクライニングの図。武雄温泉行きでしたら固定テーブルがありますが、長崎行きでしたらテーブルの類が全くありません。それもどうかと思いますが…。
車椅子対応区画らしく斜め固定も可能です。回転やリクライニングはレバー式で、九州以外ではあまり目にしない方式です。面白味はありますが、使い勝手はイマイチです。
最前面直後に配置されたボックス席区画です。リクライニングや回転機構は省略し、固定テーブルが設置されています。この時期にはもう折り畳み式の固定テーブルもあったでしょうに、なぜこのサイズにしたのか気になります。インアームテーブルは備えられていますが、使用する局面は少ないかと思います。
車両中間のカウンター席です。「はやとの風」時代はフリースペースでしたが、座席を交換して指定席として販売しています。
背ズリのクッションは下部のみ、テーブルにもたれかかって過ごす方が幸せです。
テーブル下も窓ですので、服装と座り方には注意が必要です。
トイレです。バリアフリー対応で、開閉は手動です。
向かい側のサービスコーナーです。カウンターテーブル下には腰掛けのようなものがありますが、座っていいのか不安になるほどに見えます。
スタンプなどがセットされた状態がこちら。記念乗車証にスタンプを押すスタイルはJR九州の観光列車ではお馴染みですが、この列車では新しい試みとして重ね押しのカードもあります。是非お試しください。くずもの入れはゴミ箱タイプ、定期的にアテンダントさんが回収してくれます。
カウンター奥には荷物置き場があります。ここは二段式、いくらか荷物を置くことが出来ます。