西九州新幹線開業に伴い非電化となった肥前浜以西の長崎本線。かつては「36ぷらす3」が長崎駅にまで乗り入れていましたが、非電化となったことによる観光列車の維持と、西九州新幹線開業に合わせた観光列車による旅客誘致のため、新たな観光列車が走り始めています。
「ふたつ星4047」、武雄温泉⇔長崎を往復異なる経路で結ぶ異色の観光列車です。肥前鹿島以西では唯一残った、そして大村線では久々の特急列車となっています。
今回紹介するのは中間2号車に連結されたキシ140形「ラウンジ40(よんまる)」です。キシ140形は、キハ40系列では初登場となる形式ですね。列車名の「4047」はキハ40系列の形式名から取ったものですが、1号車以外は140・147形なんですよね。
前照灯が尾灯横に増やされています。「はやとの風」として登場、その後「指宿のたまて箱」の増結車兼「はやとの風」増結車を経て今に至ります。「万年派遣社員ディーゼルカー」ことキハ183系1000番台ほどではありませんが、地味に遍歴の数を増やしつつあります。
窓が無ければロゴや文字が並ぶミトーカデザインは相変わらずです。ふたつ星とは長崎・佐賀両県を表すものとなっています。
乗務員室横には監視カメラが設置されています。JR九州お得意のワンマン特急列車で、旅客案内はアテンダントさんが行います。なお両運転台のため、3両のうちどの車両が欠けても2両編成で運転できる体制にはなっています。もちろん、その際は座席数半減orサービス制限となるんでしょうね。
車内です。定員0名のラウンジ車両で、カウンター奥に流しなどの供食設備、そして座席なども備えていることから、設備面では「シ」の記号も納得ですね。
ドアです。片開き式の塗りドアで、他の号車と異なりステップは埋められています。しかし窓にある通りこのドアはスタッフオンリー、ラウンジで提供される商品の詰め込みなどをするためのドアとなっています。これも食堂車らしい設備といえばそうですね。
ドア横にはミトーカデザインのイラスト。その下には消化器がセットされています。
反対側には鏡とマガジンラックがあります。なぜか時刻表もありますので、「時刻表は読み物」という方は乗車しながら読み物をすることが出来ます(笑)
カウンターとは反対側の最前面方向です。手前に棚が設置されたため、導線はストンとしていません。
その棚の裏。開けるわけにはいきませんが、恐らく業務用です。
正面より。目隠しのカーテンで仕切れるようにもなっています。
中間に入る乗務員室エリアです。細く長い通路になっていますね。
車掌台側です。こちらも目隠しのカーテンで仕切られており、車掌台側に入れないようにしています。
運転台側はこの通り。開き戸で仕切っています。
再び客室です。様々な種類の座席が並んでおり、見た目では楽しいかと思います。
天井です。照明はそのままですが、化粧板は全て交換されています。パネルごとに違う模様のため、見上げながらの楽しみもあるということですね。
窓です。中央部分は床面近くから天井肩部まで広げられた大窓ですが、肩部には障子風の日除けが増設されています。日除けは簾調のロールカーテン、それとは別に格子状の日除けが追加されています。「36ぷらす3」で見慣れたそれですが、展望も考慮すべき車両にして、「いらないんじゃないかなぁ」と思ってしまうんですよね。
座席が無いとこの通り大味な側面展望が楽しめます。
それではお席へと参りましょうか。まずは大窓の片側に設置されたカウンター席です。席は可動式で、景色に応じて向きを変えることも出来ます。
続いて4人組みグループ席です。円形のテーブルに座席が置かれるスタイルで、窓を囲んで景色が楽しめます。ただ半数は背ズリが木、座る前に席は選んだ方がいいですね、後からのお仲間さんには犠牲になってもらって(苦笑) テーブルには飾り照明がありまして、これまでのミトーカデザインではあまり見かけなかった支持方法ですね。なんというか、チョウチンアンコウみたいな(笑)
2人組みテーブルです。お席はこれまたデザインが異なります。
そして別バージョン。背ズリは木だわ肘掛けも無いわで、居住性はイマイチです。しかし長居すべき場所では無いので特に問題は無いでしょう。ちなみに、始発から終着までこのラウンジで長時間利用しようと企図してもそうは問屋が卸しません。大体始発時点でラウンジは占拠されますが、両便の途中において車内での有料プログラムイベントが開催されるため、その際はプログラムの事前予約をしていない方は一斉排除されます。イベント終了直後を狙えば席にありつけるのでは無いかと思います。
ロングシート配置のソファ席です。車内販売開始直後は長蛇の列となる関係で、ちょっと落ち着かない区画となります。両側には収納できるミニ腰掛けもあります。
車内販売カウンターです。乗車すぐは準備状態、準備が整い次第開店となります。事前予約制のスフレなどは、後方の業務用スペースにて調理されることになります。
向かい側。手前の棚にはコーヒーメーカー、奥には冷蔵可能なショーケースがあります。ショーケースには調理が必要でないドリンクやスイーツが入れられており、お会計を済ませてから取りに行くスタイルです。
業務用スペースの壁はメタリック仕様、飾り照明とパネルが取り付けられています。
最後は乗車の様子を少しだけ。午前便は武雄温泉始発で、新大阪を始発の新幹線で出発すると乗車できるダイヤ設定になっています。発車の10分前に入線してくるので少々慌ただしい感じはしますね。
武雄温泉を出発すると一部複線化された佐世保線を性能目いっぱいで爆走し、江北駅に到着です。
ここでは非電化後の長崎本線でまさかの主力になったキハ47形と並びます。元を正せばこの特急列車もこれだった訳で…。列車は当駅で長崎本線に入るためにスイッチバックします。
まだ架線が残る長崎本線を走り、肥前浜、多良、小長井と、かつての特急「かもめ」が停車しなかった各駅に停車します。各駅では長めの停車時間が設けられており、地元の方々がホームで物産やお酒などを販売してくれます。なおこの区間走行中に、2号車では当日予約制の車内イベントが実施されます。
続いて武雄温泉行きの午後便です。長崎駅到着後はずっと停車していますが、ドアはこれまた10分前まで開きません。お客さんも待ってますから、もう少し早くドアを開けてくれてもいいのにとは思います。
再び長与経由で諫早駅に到着、大村線に入ったところで予約していたスフレを受け取りました。同時に「ふたつ星うれしの冷茶」と「みかGINサワー」を頼みました。いずれも車内で調理されたもので、特にスフレに関しては焼き加減が難しく、試作段階で相当苦労したとのこと。
乗車してしばらく、アテンダントさんからキャンディをいただきました。かつてはつばめが配されたAROUND THE KYUSHU仕様でしたが、現在は手書きの800系新幹線になっています。