国鉄時代からJR初期にかけて、庶民の安価な速達長距離移動手段と言えば急行列車が主流でした。そんな列車として全国で活躍したのは、国鉄急行型列車でし
た。時代が進むにつれ、急行列車は特急への格上げ、または快速・普通列車に格下げされていき、急行型車両も料金不要の普通列車用に改造されていきました。
そうして国鉄民営化からまもなく30年を迎えようとしていますが、直流急行型列車の165系列、気動車急行型であるキハ58(原型)などは全廃し、客車急行型車両である12系も蒸気機関車用客車として一部が残るのみとなっています。そんな中、交直流急行型車両として最後の頑張りをみせているのがこの455系列です。
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455系は東日本地域交流50Hz対応系列、475系は西日本地域交流60Hz対応系列、457系が両周波数に対応した系列となっています。かつては東北や九州でも地域輸送に活躍していたのですが、今や両地域ともJR型車両に置き換えられて消滅し、北陸地区でしか見ることが出来なくなりました。しかし、北陸地区でも左に写っている521系 が登場したのをきっかけに、伝説の食パン電車、419系全廃と共に数を減らしてきています。今や北陸本線でも金沢以東でしか見ることが出来ません。また北陸新幹線開業後は、今の運行路線は第3セクターへの放り投げが決まっているため、経年が進んだこの系列の先行きは非常に暗いものとなりそうです。新会社への移行はあるのでしょうか。
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こちらは経費削減のために真っ青に塗られた編成です。末青とか魔っ青などと言われています。
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このように北陸地域色との並びもたまに見られます。なお、左の地域色編成はシールドビーム改造されていますが、右側の単色編成は大目玉ライトが残っていま す。JR西日本管内ではシールドビーム改造がほぼ全域で行われており、大目玉ライトの存在はかなり貴重と言えます。やはり、降雪時の視認性を考慮してなのでしょうか。
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そして、こちらは国鉄急行型塗装に復刻された編成です。何かとイベントなどで借り出されたりしていました。2編成存在していましたが、1編成は引退してしまったようですね・・。そしてこの編成も、色褪せが著しく、「満身創痍」の四文字が浮かびました・・。
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前フリがとても長くなりましたが、お待たせしました、まずはデッキからです。北陸本線の低床ホームに対応するためステップ付となっています。これに加えて、ドア幅が急行列車時代のままなので、ラッシュ時を中心にしばしば遅延の元になっているそうです。冬季の長時間停車を考慮し半自動機構も装備しています が、ボタン式ではなく完全手動となっています。重いって、このドア・・。せっかくデッキがあるのにわざわざ半自動化する意味とは・・。
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トイレです。元急行型車両だけあって、各車両に1ヶ所設置されていました。しかし、普通列車格下げ後は編成に1ヶ所あれば十分なので、後の2ヶ所は「業務 用」として閉鎖されています。中が一体どうなっているのか非常に興味深いところではあります(決して見たくはありませんが)。中は昔と変わらず和式です。
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向かいにある洗面台です。鏡と蛍光灯、そして時代を感じさせる痰壷もあります。今でこそ洗面台にそのまま吐き出すものですが、昔はしっかりと分けるという発想があったのですね。ちなみにボタンが二つあり、片方が水、もう片方が温水でした。現在、水を温めるのが面倒になったのか、使用停止としています。編成によっては、温水ボタンを撤去したのもあるようで・・。なお、系列によって化粧板の柄も異なっています。
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・・さて、ここからが北陸の急行型車両のミステリーワールド、閉鎖されたトイレ向かいの洗面所の世界へと。基本的には使用停止処置が施されているわけですが、まずは超手抜き・・お手軽モー ド、蓋をしただけのタイプです。ボタンなどもそのまま残っており、洗面台と痰壷に蓋がされています。その上には、何とも虚しい「使用停止」のステッカー が・・。業務用室として閉鎖されたトイレ共々、今どのような状況になっているのか、非常に興味深いです。尤も、積極的に見たいとは(以下略)
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続いては洗面台完全撤去モードです。痰壷は相変わらず蓋がされただけですが、鏡と洗面台に関してはごっそり取り払われています。しかし、このスペースは普通に開放されているわけですが、一体どう使えば良いのでしょうか・・。サルの腰掛ならぬヤンキーの腰掛か、地元高校生の勉強机か・・。元が洗面台であることがなーーんとなく分かることもあり、あまり入りたいとは思いませんね(^^;;
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最後に、完全撤去モードです。これこそミステリーゾーン、台座含めて何も残っていないあまりにも不自然な空間となっています。恐らく改造順序としては、「完全撤去→洗面台撤去→蓋」と、どんどん手抜きになっていってると思われます(^^;; せめて蛍光灯くらい付けてくれれば夜も悪くないと思うのですが、現状薄暗い空間なんでしょうね・・。ヤンキーがたむろしていそうです(笑) ちなみに、奥に掃除機用と思われるコンセントがあります。挿したわけではないので分かりませんが、多分通電していません。乗務員室での操作となりそうです。ただ、こういう場所でのサービス電源は大概電圧が安定しないもので、場合によっては充電中に電子機器がお釈迦になる可能性があります。リスクを背負ってでも使うツワモノ、お待ちしております←
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さて、ようやく車内です。普通列車格下げに際して、デッキ付近のロングシート化・つり革の増設工事が施されていますが、中央付近は原型に近い雰囲気です。
天井です。蛍光灯は剥ぎ出しです。つり革が増設されているため雑多な雰囲気がしますが、ボックスシート付近はかなりさっぱりしています。元々扇風機も設置されていたようですが、丸い跡が残るのみとなっています。
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窓です。二段窓で、日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプです。窓と窓の間には帽子掛けも備わります。
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座席です。まずは中央部に残されたボックスシートから。転換クロスシートほどの快適性は無いにせよ、全国様々な所で見ることが出来た超ベストセラーとなった逸品です。やはり、駅弁を食べるときはこの座席ですよね。
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さてこの座席、113系 などの近郊型車両の座席とは違い、窓側にも肘掛が備わります。また、テーブルに関しても六角形でやや大型のものになっています(比:国鉄近郊型車両)。庶民の味方とは言え急行料金を徴収する車両、座席周りについてもワンランク上の設備を持っていたのですね。
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続いて改造により設置されたロングシートです。2+2+2の6人掛け、3+2の5人掛けがあります。座り心地は、当時の国鉄型車両によくある、「スプリングは良好、背ズリは板の如し」というスタイルです。ただ、近郊型として長距離の利用も想定してか、通勤電車と比べて座面は少し低めかなぁ、と言った印象です。
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デッキに近い部分はロングシート化されていますが、クロスシート部分に寄ってみると、急行列車として使用されていた当時の光景が広がります。懐かしい人も多いのではないでしょうか。
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オマケ:413系に組み込まれた車両の車端部です。デッキが撤去され、ロングシート部分の袖仕切りを413系と同じ、アクリルの透明板付きで冬季の寒風の入り込みを防いでいます。
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最後に、JRから切り離される在来線富山駅名票と共に。