国鉄も末期にさしかかり、民営化がすぐそこまで迫ってきていた時期、地方では新型車両の導入や、特急・急行形からの格下げ車両の置き換えを要望していました。折からの赤字と民営化直前の資金難の中、苦肉の策として北陸地区に登場させたのがこの413系です。制御系・台車などの足回りは471系や473系などから使い回し、車体は新製するという手法を取った系列です。この改造は、一部編成ではJR化後になってから行われたものも存在します。他にも仲間である、東北と九州にいた交流専用の717系や、完全新製系列である417系、その交流用車両である713系などが存在しましたが、717系はどちらも消滅、417系は3セクである阿武隈急行に譲渡されたA417系1本が残るのみ、713系は宮崎で「サンシャイン」として現役と、遠い親戚が残るのみの状況となっています。そしてこの413系も、足回りは1960年代に製造された451系・471系・473系を種車としたヴィンテージもの、北陸本線の3セクへの放り投げとともに廃車が濃厚と思われますが、一部編成は在来線特急廃止による二次輸送力不足を懸念し、リニューアルを施した上で譲渡が決定しています。そちらはまた別項で取り上げましょう。
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車内です。オレンジ色のモケットは北陸ではよく見かけるものですね。
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ドアです。化粧板は貼られていません。北陸本線の低床ホームに対応するため、床にはステップがあります。しかし、冬場はなかなか寒くなると思われる北陸地区、デッキも無ければ半自動機構も備えていないところを見ると、なかなか手厳しい環境となるのではないでしょうか(ドア横に風防アクリル板があるとは言え・・)。
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車端部です。ラッシュ時の混雑緩和を目的として、ドアが中央寄りに配置されているため、奥行きは大きくなっています。
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窓です。二段窓で、日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプです。
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座席です。まずはクロスシートから。ボックス配置で、片側4組設置されています。恐らく種車である急行形車両からの廃車発生品と思われ、国鉄末期からJR化にかけての登場にもかかわらず、持ち手が昔懐かしいかまぼご型となっております。今や近郊型車両でも広島地区や新潟の弥彦線でしか見ることが出来ない希少価値の高い珍品となっています。急行形車両では、「窓側にも肘掛・近郊型車両よりも大型のテーブル」が標準装備ですが、やはり近郊型車両への改造ということもあるのか、どちらも存在していません。せめてテーブルくらいは近郊型のサイズでも構わないので欲しかったところですねぇ・・。座り心地は国鉄型車両によく見られるボックスシートと同様で、背ズリ上部のクッション性の無さには目をつぶるとして、背ズリ下部の張り出し角度と座面の程よいクッションとの組み合わせは職人技と言えるほど安定しています。「転換クロスシートとどちらがいいか」と聞かれれば間違いなく転換クロスシートを選びますが、空いていれば国鉄が生み出した究極の一品を楽しむのも悪くはありません。JR世代の車両が増えてきた現在、このような汽車旅の風情を感じることが出来る車両も少なくなってきました。
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登場当初は車内でも平気で喫煙が出来る時代でした。その痕跡として、灰皿の跡が残っています。
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車端部のロングシートです。2+4+2人掛けと言った所でしょうか。こちらも廃車発生品を流用しています。こちらも国鉄型車両のロングシートにありがちな、座面は程よいバウンズ、背ズリは板の如しと言ったところ。長距離ではやはりクロスシートを選びたいところ。しかし座席が埋まる程度の混雑であれば、脚を伸ばせるロングシートも悪くないかもしれません。人それぞれですよね。